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エンジニアはエンジニアリングだけをやっているからエンジニアリングがわからない

プロダクトマネージャーとして日々色々なエンジニアさんと接したり、自分自身で少なからずのコードを書く中で、このように思うことがよくある。

私自身、その昔はSIerという業界にいたこともあり、少なからずのエンジニアリングを行っていたのだが、当時はいくら仕事でエンジニアリングを行っていても、エンジニアリングというものがよくわかっていなかった。

よくわからない処理が沢山あるし、それが何に使われるのかはわからないし、誰が使うのかも、どんな感情を持って使っているのかも知らずに、ただただ天から下される命に従いシステムを作ったり保守をしたりしていた。

とはいえそれで仕事は回っていたし、困ることも、トラブルになった時の対応も特に問題はなかった。

その中で一番わからなかったのが「業務」という言葉だった。

ことあるごとに「業務知識が何よりも大切」といったことを社内の偉い人たちから言われていたが、そのSIerを辞める時ですら「業務」というものが何なのかがわかっていなかった。

SIerを辞めてからわかった「業務」の本質

SIerという仕事には未来は無いと考えていたこともあり、なるべく早いうちに脱エンジニア、脱システム業界をしたいと考えていた。(これはあくまでも私の考えであって、成長中のSIerもまだまだ沢山ある)

縁あって事業会社の事業開発のポジションで拾って頂き、そこではコードを見ることも書くことも勿論無くなった。

その代わりに、お金の流れについて考えることや、在庫そのものについて考えること、人の給与や採用について考えること、そして勿論それらのために手を動かすことが増えた。

手元にある在庫を管理するためにスプレッドシートで在庫一覧を作ってみたり、発送状況を管理するためにその一覧に列を追加してみたり。そんなよくあることをする中で、「だからあのシステムにはこのフラグがあったんだ」ということや、「だからわざわざバッチ処理してたんだ」といったことが、やっと腹落ちしていったりした。

「こんな業務があるからこのデータが必要」といった机上で考えていただけの時は何も理解できなかったことが、自分で手を動かしてみて初めてそれらの意味を知ることが出来た。そして、これらが「業務」というものなのだとやっと理解した。

本来は逆の順序であるべき話だが、システムだけを作っていたらこれらは一生わからないし、コードだけを書いていても絶対にわからない。

だけど、エンジニアリングの現場では、エンジニアリングをすることだけが当たり前だった。

良いエンジニア、良いデザイナーであるために

今の私はプロダクトマネージャーとして仕事をすることが多く、その中で何人ものエンジニアさん、デザイナーさんと関わってきた。

その中には仕事がしやすい人もいれば、仕事がし辛い人も勿論いた。

エンジニアリングやデザインのテクニック、クオリティも仕事のしやすさには少なからず影響していたが、それよりも顧客理解度や業務理解度、つまりはそれらを使う人たちのことをどれだけ知っているかという事実の方が数段大切だった。

こんな人が使うからこうあるべきという話が自然と出来たり、こんな業務もあり得るからここはこうすべきという話ができたり、そして、それらを知らなければ知るための行動をとることが普通だと考えていたり。

このような思考特性があるかどうかが、私としては良いエンジニア、良いデザイナーのひとつの条件だと考えている。

とはいえ、「使う人について考えるのは当たり前」だと話す人には沢山会ってきたが、その中で本当に自分がその業務を主体的にやってきて、それらの改善をどうしていくかを考えてきた人がどの程度いただろう。

大切なことは、自分の頭で考え、そして手を動かすこと。それらをもとに、どうすればより良くなるかを考え、それをシステムやデザインに落とし込めること。これらは逆であってはならないし、手を動かすフェーズの経験がなければ、今の仕事を止めてでも手を動かす経験を買う価値はある。

システムやサービスは、人が使うものだし、人が作るものだから。

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