夜と朝のはなし
「明けない夜はない」
有名な言葉だ。
どんなに辛く苦しいときが続いても、きっといつか明るい日々が来る、そういう意味なのだろうと私は捉えている。
しかし、明けない夜はなくとも、朝も昼もまた過ぎ去るのだ。
ふたたび深く暗い夜が来る。
いちど朝や昼を過ごしたばっかりに、昨日の夜よりも今日の夜はなんて絶望的なのだろう。
「今、この瞬間が辛い」
そう嘆く人に未来を見ろ、希望を持て、というのは、場合によっては酷だ。
開けない夜は確かにない、朝も昼も来る、そしてまた夜が来て朝が来て。
その繰り返しなのだ。
生きるってことは、生き延びることの連続だ。
希望を持てないなら持たなくていい。
生き延びること。
乗り越えなくていい。
一日を、一時間を、一秒を、乗り切ること。
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