記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

コナン映画における鈴木園子の話

 僕と友人は、コナン映画に園子が出てくるとテンションが上がる。園子が良い女っぷりを披露するたびに、「さすが俺たちの園子だ!」と拍手喝采する。

 蘭の大親友・鈴木園子。彼女の魅力は、そのカラッとした明朗な性格と、面倒見の良さだろう。劇場版で便利に使われ過ぎた結果、その魅力に拍車がかかっている節もあり、逆に言えば、コナン映画は「自分から積極的に友人や子供たちのフォローに回る」という園子の良いところがたくさん見れる。さすがは俺たちの園子だ!

 なので、今回は園子の良いところが見れるという視点で歴代映画のピックアップをしていこうと思う。




第23作『紺青の拳』(殿堂入り)

 僕と友人が声をそろえて認める「俺たちの為の映画」。
 この話の主役は、園子の恋人である京極真だ。必然、園子も物語の中心に置かれることになる。
 これは本編でも言えることなのだが、基本的に園子はいつも蘭の恋路を応援する立場であるものの、京極さんと園子のエピソードになるとそれが逆転する。恋する乙女としての園子が見られるので、実は本作は、「普段はあまり見ない園子の魅力」が爆発する作品である。

 スポンサーが突如亡くなってしまい、大会に出場できなくなった京極さん。そのスポンサーに即座に名乗りをあげる園子がかわいい。以降、ずっとウキウキしている。普段は遠恋でなかなか会えない分、嬉しそうにしているだけで見ている僕らも嬉しい。そのままずっと幸せでいてくれ。
 まぁ映画なのでなかなかそうもいかず、京極さんと園子は些細なすれ違いをしてしまうのだが、もちろん最後は解決する。崩壊するホテルの中で、園子を背負って縛り、「絶対に離れないでください」という京極さん。「これじゃ離れられないけど……」と、コメディチックな表情で照れる園子が非常にらしくて良い。
 全部が終わったあとのやり取りも非常に印象的だ。京極さんが文字通り肌身離さず身に着けていた「お守り」は、「やっぱりなー!」という思える形で非常に良かった。この人も大概に愛が重いので、受け止められるのは園子くらいのもんだと思う。

 園子自身は格闘技とか全然興味なさそうなのに、京極さんや蘭の大会はちゃんと見に行くし、全力で応援するところが、本当に良い女だ。恋人や友達が頑張っているのが好きなのだろう。
 京極さんは園子が蘭を応援しているところを見て一目惚れしたらしいが、本当に見る目がある。そういうところなんだよ!

 ちなみに、この映画は怪盗キッドも登場する。園子はキッドのファンガールなので、嫉妬に燃える京極さんが見られる。
 キッドと京極さんの対決はこれが初めてではない。原作で初めて直接対決したエピソードでは、園子が京極さんを家族に紹介する場面から始まっており、交際を反対する母親に強気に出る園子がまた良い。こちらもアニメ化されており、アマプラで無料で見られる。(シーズン19/746話)

第21作『から紅の恋歌』、第24作『緋色の弾丸』

 劇場版において園子は、「少年探偵団を引き連れて、まとめて一時退場」という使われ方をすることがしばしばある。園子も少年探偵団も、話の中核に置いておくと邪魔になるからという脚本側の都合だが、これのおかげで、園子の面倒見の良さに拍車がかかった面はある。
 まぁ、これも「名探偵コナン」という作品の特異性だと思う。基本、レギュラー陣が小学1年生、高校2年生、成人済みの3つで分かれることってあんまり無い。全員同年代だったら、園子が彼らと一緒に行動しても、そんな不自然な感じはしないと思う。
 でも、それが10歳も年下の少年探偵団になるので、「こいつ面倒見よすぎない!?」となるわけだ。

 そしてもうひとつ。園子は、「お嬢様」という要素を毎回上手く使われる。もうフィクション作品において金持ちキャラはこういう運命なのだ。
 蘭は園子の好意に甘えることをあまり良しとはしていないが、それはそれとして、園子は蘭と少年探偵団を誘って鈴木財閥が関わった建物やらなにやらによく招待する。これ、「絶対ガキが驚いて喜ぶ顔見るのが好きなだけだろ」って思っちゃうよね。

 そういうところも「俺たちの園子」なわけだが、「から紅」と「緋色」は「さすがにやり過ぎだろ!」とゲラゲラ笑ってしまった。

 「から紅」は、大阪と京都を舞台にした作品で、平次と和葉を主役に置いたエピソードだ。和葉ともうひとりの少女が、平次を巡って百人一首の対決をすることになる。
 園子はどうやって登場するのかと言うと、熱を出してしまい来れない
 ホテルは園子が予約したホテルで、鈴木財閥パワーで広い部屋を用意させたり、和葉の特訓に備えて夜食の融通を効かせようとしたりしている、病床の園子のワンシーンが入る。
 「園子が部屋を取ってくれた」の一言だけで済むところを、松井菜桜子(と檜山修之)のギャラを発生させてまで彼女の友達想いなシーンを描く意図が、「制作側に強烈な園子推しがいる」か「俺たちを喜ばせるため」以外にわからず、嬉しいを通りこして面白くなってしまった

 「緋色」では、超電導リニアの試乗へ行きたがる少年探偵団のもとに、園子が招待チケットを6人分持ってやってくる。
 少年探偵団は5人。蘭と園子を合わせて7人だから、ひとりどうしても余る。恒例の阿笠博士クイズで行ける人を選抜するのだが、最後に元太、歩美、光彦、園子という、「ここから元太や歩美だけが行けないなんてことある!?」という面子が残ってしまう。
 園子は「負けないわよガキんちょども」と言いながらも、露骨なヒントを口にして3人にチケットを譲る。園子が「私は超電導リニアとかそんな子供っぽものに興味ないし」と言えば済む話を、ただ園子を好きにさせるためのシーンにして尺を割いてくれた制作陣には感謝しかない。
 なお、このあと、リニアで事件が起こる可能性を察知したコナンにより、元太たちはヒーローショーへと誘導されるのだが、なぜかこの引率もヒーローに興味のない園子がやっている。面倒見良すぎるでしょ!

第4作『瞳の中の暗殺者』、第17作『絶海の探偵』、『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』

 蘭ピンチの場面でコナン=新一が「蘭ぁぁぁ―――ん!」と叫ぶのは映画のお約束だが、父親である小五郎のおっちゃんや、親友である園子が蘭の安否を気遣う場面というのも当然ある。
 「絶海」では、海に放り出された蘭の発見が絶望的となったときに、目暮警部の胸を叩きながら泣く場面が、「ルパンvsコナン」では、ベルツリー(スカイツリー)から落ちそうになっている蘭の手を離すまいと必死になっている場面が、どちらも印象的だ。

 「暗殺者」は、蘭が記憶喪失になってしまう話である。園子の活躍場面は決して目立つわけではないのだが、病院のベッドで眠る蘭の傍らで、「記憶が戻らなくてもずっと親友だからね」と涙を流すシーンに始まり、蘭に対してずっと献身的な対応を見せている。
 暗殺者は、記憶の戻った蘭が笑顔で「鈴木園子。私の一番の親友」と言い、感極まった園子が泣きつくところまであるので、ふたりの友情にフォーカスを当てた話としても完成度が高い。

第19作『業火の向日葵』

 園子メインの話ではないのだが、園子の従兄弟叔父である鈴木次郎吉が、ゴッホの名画「ひまわり」を落札するオーディションについてきている。
 「鈴木財閥の令嬢」としての鈴木園子の姿が見られる珍しいシーンで、園子界隈(僕と友人)でも貴重な一場面としてたいへん盛り上がった。落札後、記者に対して世界中「ひまわり」を集めた展示会を開くと発表する会見があるのだが、ここでその発表をするのが園子の役割なのである。

 次郎吉おじさまは抜け目のないお爺ちゃんなので、「こういう華々しい発表は、園子にやらせた方が良い」と踏んでのことだろう。記者相手にも物怖じせず、(おそらくは英語で)世界中に向けて発信をする園子の姿は、非常にサマになっていた。
 僕は、こういう「キャラ設定に忠実な一側面」を見せてくれるシーンが非常に好きだ。どんな愉快なキャラでも、お嬢様ならば社交界で相応しく振る舞うし、元刑事の探偵には検死の心得がある。普段の行動とのギャップも相まって、そのキャラの魅力が深まる場面だと思う。

 園子は「鈴木財閥を継ぐ気はない」と言っているが、正直なところ、めちゃくちゃ適性はあるだろうなと思わされたシーンでもあった。園子としては、京極さんを鈴木家に婿入りさせて縛り付けるような真似をしたくないのかもしれんが。まぁ、ねぇ……?


 というわけで、「俺たちの園子」について語ってきた。映画では何かと出番のあるキャラだろうが、もうじき放映の「100万ドル」ではどうかなぁ。
 もちろんメインではなくても良いので、またどこかで、令嬢としてきちんと振る舞う園子を見たいなとも思いますね。本当にかっこいいんだ。

この記事が参加している募集

私の推しキャラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?