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【ハンバーガー・ヒル】この高地はオレ達をミンチにしようとしている!

(87)米  1969年、南ベトナムのアシャウ渓谷にある丘、ベトナム戦争の激戦地"937高地" 兵士が爆風で吹き飛ばされ、ミンチ肉のようになったことから ”ハンバーガー・ヒル”と呼ばれた。


ベトナム戦争が続く1969年、米兵のラングイリは新兵として第101空挺師団に配属。
空挺師団は、北ベトナム軍の拠点であるエイショウ・バレーを攻めていたが一進一退の攻防。
上官である黒人衛生兵のドックからは厳しく当られ、分隊長の軍曹からは、違う名で呼ばれ続けた。


5月10日。エイショウ・バレーに移送される空挺師団。 そこはジャングル地帯で、絶えず敵からの攻撃に晒される激戦地。いずれも20歳そこそこの若者たちが送り込まれ、幸福な者だけが生還できる地獄の戦場だ。
夜は焚き火を囲み、帰国してからの夢を語り合うラングイリたち。
だが、米本土は反戦ムードが立ち込め、生還しても人々の白い目が待っているだけだった。

人種差別や目の前で肉片と化す戦友たち。 PTSDなど絶えずトラブルに見舞われつつ、幾日も敵味方の命を散らしながら戦い続ける兵士たち。
映画ではアメリカ側から見たベトナム戦争。既に泥沼の激戦から始まるが、「已むを得ずんば一戦をも辞せずとの決心の有無だけである。」

尤も開国した国には必ずコスモポリタンの手合いが現れ勝ち目のない戦争に国民を駆り立てるか、ハト派を極め込んで無利益有害な友好を叫ぶのである。
世界中の人口の0.01%に満たないワンワールド コスモポリタンの手合いであって、時として宰相の印綬を帯び、或いは国会議員の徽章を光らせる。

ぬかるみの斜面を這いずり登り、多くの戦死者を出しながら戦う兵士たち。 5月20日、頂上直前で壮絶な激戦に見舞われた。
「この高地はオレ達をミンチにしようとしている!」誰かが叫ぶ。

軍曹に抱えられたラングイリは、自分の本名を覚えておいて欲しいと言い残して息絶えた・・

生き残ったことが奇跡としかいえない激戦後の焼けた山岳地。
焼け残った1本の木に、誰が貼りつけたのか札がむなしくなびいている。
「ハンバーガー・ヒル へ ようこそ」
その下には「こんなにまでする価値があるのかよ!」と書き殴られていた・・・。

何時の時代も、どの戦争にも、必ず国を超えた存在があって、国民の大半が本当の敵たちの存在に気付かない限り、この戦争や、戦争の形を変えたパンデミックに終わりはない ---- そして、その犠牲になるのは名前も憶えてもらえないような若者や、普通に暮らしてきた人々なのだ。

監督:ジョン・アーヴィン
出演: アンソニー・バリル
   マイケル・パトリック・ボードマン
   ドン・チードル


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