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【短編小説】言の葉の本

足元の水面に浮かぶ言の葉

色とりどりの落ち葉が撒かれてる


そこから耳ざわりの良い、好みの色のものだけを

すくい上げて自分という本に挟んでいく


こころに響くひとひらは実は沢山あるはずなのに

えり好みしているうちにどうでもいい言葉の森に紛れ込み

雑踏の沼へ消えていく


時にしおりになり

時に押し葉になる言の葉たち


積み重なったページはいつしか本となり、心の棚に好きな色が集められた、あなた色の葉の本が増えてゆく


ページの間に置き去りにされた押し葉を何かのきっかけで開いて

もう一度今のページへ戻すこともあるかもしれない


どのページだって自分の好きな色の葉でいっぱいで

それらは自分を作っていく


常に新しいページへ挟んでいくお気にいりの栞

本のタイトルに貼り付けると決めた大切な一枚


どれも素敵で

どれも大切なあなたを作る色だけど


たまには


違う本を一冊用意してあげて欲しい


足元の落ち葉から好みではない色の葉をひとつふたつ

こんなものもあるんだと、心の本に挟んでおく

その本は本棚の一隅にひっそりと

異彩を放つ一冊はきっとあなたの人生のアクセントになる

サラダの緑もそっと添えられたミニトマトの赤でより輝くから


9枚の耳ざわりの良い好きな色の葉と

避けた中から一枚の違う色の葉を


けれどそれは自分の本棚の邪魔をしない冊数にしよう

色鮮やかにしたくてミニトマトを入れすぎると緑が負けちゃうかも


あなたの人生という本棚が、より鮮やかに輝くように

ほんの少し、少しずつ

自分の色のために


小説を書く力になります、ありがとうございます!トイ達を気に入ってくださると嬉しいです✨