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躁鬱(双極性障害)の人向け 気分のコントロールのために用意すること

今日は20代後半〜30代前半にやっていたサーフィンの話で始めてみたいと思うのですが、サーファーが海に行く時にしていることって何だかわかりますか?

すぐ答えを言ってしまいますが、

「情報を集めること」です。

・天気
・気温
・水温
・風向き
・風速
・満潮・干潮の時刻
・駐車場の有無
・体についた砂を落とせるシャワーの有無
・家からの所要時間

この辺りは予想がつくものですね。

他にも行ったことがない場所であれば、チェックするものがあります。
例えば、海底の地形によっても波の割れ方に違いがあるので、そのポイントの波の特徴や、※カレント(離岸流)がどこで発生するのか、岩場の有無など。
※カレント=岸から沖に向かって流れる早い流れ

なぜそれらをチェックするかというと、どこに危険があるか知らないと適切に対応できず、本来の“サーフィンを楽しむ”という目的を果たせないのはもちろん、怪我や命の危険もあるからです。

事前に情報を集めると少し安心ですが、それだけでは不十分です。気をつけていたけれど、大波にまかれそう、カレントに乗ってしまった、という場合が出てきます。

その時のために、具体的な対処方法を持っていないと、焦ってパニックになってしまいます。大波が迫ってきたら、サーフボードと体を沈めて、波の下をくぐる(ドルフィンスルー)。

カレントに乗って沖に流されているなら、岸に向かって逃げようとするのではなく、真横に向かう(カレントから逃れる)、またはある程度沖に流されて(カレントの力が弱まったところで)横に逸れてゆっくり岸を目指すなど。

このような具体的な対処法を持っているからこそ、やみくもに海を恐れずに楽しく波乗りができます。

ここまで、サーフィンの事しか書いてないのですが、躁鬱のコントロールについて触れていきたいと思います。

サーファーが海についての事前情報を入れることが、躁鬱の症状をコントロールすることと似てると感じます。

台風の時には大きな波が立つのは知られています、大概の人は海に近づかないですが、“自分は大丈夫”と思い込んでいる人が、溺れて救助されることもありますね。

大きな波を躁鬱の人にとっての、何らかの危険と例えた時、それは人によって、プレゼンのプレッシャーなのか、知らない人との交流なのか、PTAの集まりなのか、様々だと思います。

自分にとっての危険が何なのかをリストアップする必要があります。

大半の人にとって問題のないことが、自分にはできないのではないか?と悩む必要もなく(できないか・しない方が良いこともある)、別のやり方なら大丈夫!を考えてみることも出来ると思います。

私の場合は、子どもや地域に関する集まりはパートナーに任せていたり、大勢が集まる場所には行かないか、家族と一緒に行くなど。知らない人の顔をたくさん見ると疲れるので、出かけても関わらない人の顔は見ないようにしています。

再発のキッカケになりやすい場面(ストレス)などを、気分が安定している時に把握し、気をつけること、不安定になりそうな時にとる具体的行動を決めておくのが大切だと感じます。

サーフィンの時、海に浮かんで友達と楽しく話していると、知らないうちに横に流されます。流されているのに気付けるのは、入った地点の岸の建物を目印にしているからです。

躁鬱でも誰かの意見に影響を受けすぎて(流されて)考えがかた寄った結果、発症に繋がる危険に気づけず、対処のタイミングを失うかもしれないので、こまめに目印となる人(信頼できる人)と現在地確認が必要だと考えています。

自分のための躁鬱ハザードマップを持っていると、「この時はこうすればいい」と決まっているため、不安は小さくなります。

・再発の危険因子
・危険回避の具体的な方法
・再発しそうと感じたらすぐに行うこと
など

数週間前、いつもより子どもに怒りっぽい日があったので、その旨パートナーに伝え、頓服を1錠飲みました。胃が痛かったり、腰が痛かったりしたのですが、一つ一つ対処し、躁になることなく通常通りの生活ができています。

「違和感を感じたらまず、隠さずパートナーに言う」というのがわたしの決め事なので、その通りにし、医師からも“自分の判断で対処できているところは素晴らしい”と褒めていただきました。

躁鬱のコントロールは自分にしか内側の感覚がわからないので、我慢せずに人に伝えて、出来るだけダメージを少なくできるよう協力をお願いしておく必要があると思います。

これまで、気分の安定について何度か書いています。それはこれからの人生にとって重要だと考えるからです。

以前、読んだ本に印象的な文章があったので引用します。
「もっと知りたい双極性障害」加藤忠史著

芥川賞作家の絲山秋子さんは、世界双極性障害デーフォーラムの折、創造性と躁状態の関係について質問されたとき、「小説は躁状態では書けません。寛解期でないと書けないのです」とおしゃっていました。躁状態のときはどんなことも中途半端にしかできないのです。いい仕事ができるのは、躁でもうつでもなく寛解期なのです。躁状態は人生を台無しにする危険性があります。気分が高揚しているだけで創造性が高まっているわけではないことを心に留めておいてください。

躁や鬱に翻弄されないよう、正しい情報を集めて、用意できるといいと思います。



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