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5.ときには最適でない相談相手

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 子供の頃、日々の生活でうまくいかないことを親に相談するのって、よくあることだと思います。しかしそれが命取りになるかもしれないということについて書きます。

 私は物忘れがひどいです。何かをするために別の場所へ移動すると、ついた途端に今自分が何をしにきたのか思い出せません。作業をしようとノートパソコンを開いた途端に、何をしようとしたのかわからなくなって途方に暮れます。

 こういったことを母に相談すると「私もそうよ!みんなそんなもんよ!」と返事が返ってきます。しかし、そう言う人ばかりでもないでしょう。その差があるから、外で問題が起きたからわざわざ相談しているのです。

 親子関係ということは、半分は同じ遺伝子が入っているということです。ということは弱点も似ている可能性があります。母は、全く物忘れなど気にしない人生を送っている可能性はゼロではありませんが、なんらかの方法で「物忘れ」を克服し、現在に至っている可能性があります。
 母と私は生きている時代も、置かれた環境も、交友関係も、全てが私と違います。当たり前です。違う人間なのですから。
 母は母の環境で育ち、環境に適応したのだと思います。そして母は母なりのサバイバーバイアスが働いていることは想像に難くありません。私もどうにかうまくいったから、あなたも多分大丈夫だよと。
 それはある程度、こちらに余裕がないと励ましとして受け取れません。実際私は、自分の感覚はあてにならない、そして相手にされなかったような感じが強くしました。とにかく自分の感じる困難感に、少しでも理解を示してくれないと次に行けるような気がしませんでした。母ですらわかってくれないので、他の人はもっとわかってくれないだろうと思い、せいぜい冗談話としてネタにしていました。

 だから、これを読んでいる人が学生さんなら、親に相談しても手応えなしと思うことがあったら、スクールカウンセラーや、親ではない信頼できる大人に頼ってください。何か突破口があるかもしれません。
 親御さんだった場合、子供が「くだらない悩み」を再三口にする時は、よく観察してください。そして話を聞いてあげてください。本当に困っている可能性があります。子供が話をしてくれた場合、それでご本人がどうしたいかまで聞いてあげてください。答えは彼らの中にあります。

つづく


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