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初めての写真展を終えて思うこと

3月12日から21日まで兵庫県は神戸三宮から程近い二宮カフェという場所で初めての個展を行いました。

題して、『L8r2020 - さらば2020』という写真展です。

会場の様子を簡単ではありますが動画にまとめています。

コロナ禍、緊急事態宣言延長、時短営業による展示時間の変更。
展示初日と最終日には豪雨。
なにかと世間が騒がしく展示には不向きな時期に無理やりにでも開催まで漕ぎ着けることができたのはもはや季節です…(開催から一ヶ月以上が経っても関係各所でコロナに感染したという話も噂も聞かないので一安心と言ったとことです)

いろいろ考えていたことを少しでも残しておきたくブログを書きます。

初めての個展

UNKNOWN ASIAや台湾でのWonder Foto Dayなどアートフェアやグループ展示などは経験していました。が個展という形式は初めてでした。大学時代から最近まで映画・映像制作がメインだったので作品を目の前で鑑賞してもらうという経験はあまりありませんでした。個展という呼び方自体があまり自分には馴染みがなかったです。そしてひとりで展示するってかなりハードルが高かったのです。
やってみてまず思ったことは会場いっぱいを自分の写真で埋めるという経験はやはり何事にも変えがたく感激しました。多分自分の作品の一番のファンである自分であると思っています。自分がひとまず満足いく展示に漕ぎ着けることができたということが第一段階クリアといったところです。

この二宮カフェさんはライブスペースとギャラリーがメインと言った空間で自分の展示物が映える壁紙なども相まってよかったです。

展示を終え、すぐにでも文章として残そう!と勢いだけはあったのですが後回しの性格のおかげで今となったのであります。
もうええかななんて思ったりしたのですがふとこの言葉が頭に浮かびました。

やることを周知させて
やってることを知らせて
やり終えたことを報告する

当たり前のようでめちゃんこ難しいことを痛感しました。
展示に来てもらうことの前に、まず知ってもらうことが大前提だと知ってるフリしてました。こういうことって日々の積み重ねなんですよねきっと。

ということで簡単ではありますが
私がどんな展示をしたか、その時どう感じたかをつらつらと書き記していきます。

写真展について

『L8r2020 - さらば2020』写真展のテーマ・具体的な内容については別記事でまとめます。
(書き出したら長くなってしまったのでした)

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簡単にいうと、8つのサイバーパンク的写真を構成するテーマの体現です。
人物建築物ネオンサイン合成アジアという8つの要素がサイバーパンク的写真になりうると考え、それを中心として導線にそって物語を作りました。(詳しくは別記事にて)

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ここではどのように展示を行ったかを伝えていきます。
一貫して言えることは"現場だから伝わるもの"を意識しました。
携帯電話やパソコンで簡単に画像が見れるこの時代、わざわざ現場に足を運んでくれるひとに対してなにかしらの感動を届けることができたらと展示しました。
(小言になりますが…ただ写真のプリントを置いて「展示しました」というのがここ最近自分の周りで多すぎました。プリントして見せることに意味があるとはいいますが何の考えなしにただ並べるだけに何の意味があるのかという気持ち)

しっかり見せたいメインどころは大判(A1サイズ)でプリントアウトしました。ほかの小さいところやサブ的なものも現場にこなければ伝えられないプリント形態や装置を配置しました。

会場入ってすぐのメインビジュアルがまさしくそれです。

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額の後ろにチューブ状のLEDライトを仕込みフチが際立つようしました。
光を発するこの展示形式はSNSではうまく表現できません。現場で展示物と実際向き合ってみて感じるなにかもあると信じています。

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メインの展示は8つのテーマを象徴とする写真を大判で刷るということは最初から決まっていました。(ここは過去の展示での経験ですね)
SNS上だと小さい画面でしか対峙できていないので会場では大きくプリントしたものと向き合ってもらう。自分ですらなにかしらの発見があったので大きくしないと見えないものがありますほんと。こんな展示のときしか大判でプリントする!ってならないので本当にいい機会です。
そしてこちらも重要なことなんですが大きいサイズに耐えうる作品を作る。なんていってますが刷ってからやないとわからんやんってね。個人的には今回の作品はどれも大きく出して良かったと思いました。

"8つのテーマ"を展示してあるので本来であれば8つの写真以外にもテーマを補完する写真が存在しています。欲張りなので壁いっぱいにL版サイズ相当の写真を散りばめて展示することも考えていました。でもそうやって量で見せるやり方で成功した試しがないと思い至りシンプルに見せたい写真をしっかり見せるということにシフトしました。

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大判サイズは黒いノリパネにA1サイズのプリントを貼っています。
ノリパネに綺麗に貼るところまではよかったのですが展示準備・初日に大雨に見舞われたことでパネルに必要以上の湿気が含んでしまったことで一週間の展示中に撓んでしまうというアクシデントに見舞われました。こればっかりは実際展示してみないとわからないことでした(いままでは外気が入ってこない展示会場ばかりでこういった失敗を経験できてなかった)
パネルをひっつき虫(練り消しみたいなの)で止めてあったのですがそれだけだと心許ないので展示中盤からレールから吊り下げたワイヤーで作品を固定しました。

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大判サイズ以外の写真は会場内に必要に応じて展示し、物語的な流れを作る要素としました。
上の写真はこの写真展の物語最後の写真です。真っ白に見える写真ですが果たしてどんな意味があるのかは会場で確認して欲しかったですね。

今回はノリパネと額、ふたつの形式で展示を模索しました。
最初に写真をお見せしたメインヴィジュアル、じつは二パターン作っています。LEDで装飾するものと、単純に額に入れて展示してあるものです。

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見え方、見せ方の違いで印象の変化みたいなものも個人的に体感したかったという思惑です(単純にライブ配信時に背景でメインビジュアルが使いたかったということもありつつ)

写真展示に関してはこんな感じでしょうか。

あ、ライティングに関してはもう単純に写真上部からスポットライトを直当てしてます。もう少し絞って見せてもいいかと思ったのですがそこまでしても大きな違いがないので今回は保留でした。

GIFではありますが映像展示もありました。

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iMacをバーカウンターに置きループ再生して見せています。この作品群も気がつけばかなりの点数があるのでプロジェクター投影でしっかり大きく見せることも視野にいれつつなにかしらの展示をして見たいと思うのでありました。

展示の模索

今回のL8r2020のシリーズとは違う次なる新しいシリーズ(表現)にも挑戦しました。
動画に後半で映る、ブラックライトと蓄光塗料を使った展示です

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この白く発光しているところに蓄光塗料を塗られてあります。

韓国のサイバーパンク系アーティストが前々からUVインクを使ったプリントを模索しているのを見て「これは!」と自分で挑戦してみたかったのが始まりです。蓄光って昔から好きだったんですよね。なんだろうあのほのかな光と色に心踊る感じ。

制作してるシリーズに『侵略色』というものがあります。

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高層ビルから撮影した街の風景。見下ろした街の中にある電飾の光が空に向かって伸びているように加工した作品。これの光が伸びているところを蓄光にしてはどうかと思い挑戦してみました。
この写真を展示しているところだけブラックライトを配置し、常にライトが当たるようにしています。枠部分にも蓄光塗料を施したおかげでこの作品がなにか違うぞと伝えることができたのではないかと思っています。

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ブラックライトに反応して光作品。これこそ、"現場だから伝わるもの"になったのではないかと思います。

展示期間中にイベントを行うという願望

個展をするとなったとき絶対になにかイベントを行おうと思っていました。
個展だからこそ自分がしたいことを詰め込めるのです。!

オープンとクローズのイベントは必ずやろうと色々模索しました。
やるからには他のひとがやらないようなものをしたいというのがアーティストのサガじゃないですか。

今回の展示にも被写体として登場していただいたシナヤカーンさんとトークするのはどうか。考えました。他の展示やグループ展などでは絶対にできない。だって、突然怪人とトークしますなんて意味わかんない。
過去の制作でご協力いただいたガルフさんも含めた三人で怪人についてトークするって面白いやん!となったのが始まり。
現実と虚構が入り混じるトークがこの写真展のコンセプトにもあっている。なんて思ったのが運の尽きです。

シナヤカガルフ

実際のトークの内容はこちらにアーカイブが残っているのでぜひチェックしてみください。

クロージングイベントは、もう出会って10年以上になアーティスト"Hirotaka Shirotsubaki"にお願いしました。

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出会いは大学時代にとあるバンドで映像をライブで投影してほしいという依頼からでした。そこから紆余曲折なにかと出会う機会があったのですが一緒になにかをやるとタイミングはなくって。定期的になにかできないかなぁとなるんだけど実現しなかったので、もうここで実現させるべきでは?!という気持ちで依頼したのでした。

展示会場で何かを鑑賞するための音楽に興味があった。と言われそういう考えを持ち合わせていなかったので新しい感覚でした。
写真展示・ブックを見るときに聞く音楽。視覚と聴覚から作品を鑑賞するってありそうであまりないですよね。クロージングイベントにはもったいなかったなとイベント最中に感じました。

60分一本勝負の音楽というのもなかなか良いですんでぜひこちらもアーカイブから見ることができますのでぜひ聞いてみください。

写真展示って展示されている写真をふらっと見終わってしまったらそれで終わりって感覚になってしまいませんか。
映像的な感覚でいると鑑賞者の時間を制御できないもどかしさを感じました。烏滸がましいことかもしれないけれど、映像ってある程度こちらの匙加減で見る時間見せたい時間を決めることができるんですよね。そして画面に映る映らないっていうことがそのまま直結して見る見れないになるという。空間の中に展示するということは自分の身体を移動させるってことなのでこちらが言えることではありません。写真だけをやってたら感じれない感覚。
それを音楽作品と一緒にすることである種その空間の中に閉じ込めることができるのではないかなんてのも考えに至りました。作者側の視点が強すぎるのでこの辺りはもう少し考えていかないといけないところです。

終わりに

個展のお誘いをしていただいた二宮カフェの後藤さん、展示のプリントや蓄光塗料の色付けほかでめちゃ協力してくれたたにもとかなこさん(ポートフォリオサイトを作ってくれっていってるのになかなか作ってくれないけど造形物も作ってるすごいひとです)、展示会場用ではありませんがLEDライトを個人的に提供してもらったFunkyLamaさん(こんな感じで会場が華やかになりました)

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様々なひとに気にかけてくれて、手伝っていただいたからこそ開催することができました。この場を借りて感謝の気持ちを。ありがとうございました。

そして、こんな状況下でも会場に足を運んでいただいたみなさんがいてこそです。SNS上でも気にかけてくれた方がたくさんいたのでここで止まらずしっかり続けていきたいと思います。東京でやってくれたらいったのに。なんてことを言われることが多かったのでそこは確実にこなしたいところです。

神戸でやる。ということで自分の身の回り関係各所のひとにしかリーチできないと踏んでいました。業界の人や著名な方なんかはどうしたって東京とか大阪になってしまうだろうし…(プレスリリースの配布がそこまで行き渡れなく個人領域外の広報活動があまりできなかったのが心残りです)
それでも会期中、平日含め毎日誰かしら来てくださったので全日在廊したのですごくすごくありがたかったです。

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まずは何事もやってみる。話はそこからだって思っているのでひとまずここでスタート地点に立った。そんな気持ちです。

次なる目標は東京での展示とそれと並行して写真集の制作です。
今作『L8r2020 - さらば2020』はブックを制作するつもりで望みました。
いままで28ページほどの写真集ばかり作ってたので今回は分厚く見応えがあるものにしたいと188ページ構成で写真を一旦組んでいきました。
こうなってくるとそれを印刷するだけでもかなりの費用で一冊あたりの単価もかなりのものになってきます。なので一旦写真集を作ってる出版社に営業をかけて流通想定でなにかできないかと考えています。
それが叶わなかったとしてもクラウドファンディングなどを使って広く知れ渡るような流れを作れたらと思いつつといったところです。
といってるけど営業の掛け方もやりかたもわからないので手探りです。

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L8r2020と名付けたので今年中には形にしておかなければならないですよね。頑張ります。秋〜冬辺りでブックとして形になって展示できるが理想です。夏にあるオリンピックがひとつの区切りとなりそうなのでそれ次第で今後の動向を探って行けたらと思ってます。コロナ禍と、世間の流れもあるので強く言えないのが苦しいところですね。

長々と書き殴ってしまいましたが『L8r2020 - さらば2020』の個人的総括をここで締めたいと思います。
ありがとうございました! 展示にブック制作頑張るぞ〜〜

PS. 写真展内で自分のポートレート写真を撮るのをすっかり忘れていました。ぐぬぬ。そして意外と展示物の写真を撮れてなかったので次はしっかり撮っておくんやで未来の俺よ。

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