ウンチが運を持ってくる！

1072文字の#思い込みが変わったこと

30年前の秋、小学校2年生だった私は、秋の遠足に行った。
仲良しなクラスのみんなと、小さいふれあい動物コーナーがある地元の公園への遠足だった。
朝から、お弁当はリクエストしていた、くるくるサンドウィッチを作ってもらって、うさぎの形に切ったりんごもあって、とっても嬉しかった事を覚えている。
今になると、どうしてそんなに詳細に覚えているのか不思議でならない。あれから30年、色んなイベントもあったし、何回もお弁当を作ってもらっているし、5年生の時の遠足のお弁当と言われても思い出せないし、行った場所すら忘れている。
あの日の小さな出来事が、今後の私を何回も助けてくれるから、あの日は忘れないように詳細をおぼえているのだろうか。
とにかく、30年前の小学校2年生の秋の遠足は、くるくるサンドウィッチとうさぎ型のりんごを持って、仲良しクラスのみんなで小さな動物ふれあいコーナーがある公園に行った。

遠足の帰り道、2列になって歩いていると左前を歩いていたモッチーの右の肩に空から白いものが降って、ベチャとついた！
隣にいたジュンジと後ろを歩いていたカナ、そして私は一斉に
あー！モッチーの肩にウンチが付いたー！！汚ーいと騒いだ。その瞬間、先頭を歩いていた吉田先生が、
モッチーすごい！めちゃくちゃラッキー！いいなーって大きな声で、私たちの汚いと騒いだ声が消えるぐらい大きな声で笑顔でモッチーに言った。
みんなで、キョトンとした。
うんちが付いたら汚いし、全然嬉しいことじゃないのになんで先生あんなに羨ましいそうに言うんだろうと。
吉田先生は続けて言った
みんな、ウンチって運が着地するって事なんだよと。運とは目には見えないラッキーなことがこれから来るんだよと。
そのウンチが、あーんなに広い空からモッチー目掛けて着地したんだよ。モッチーにはいい事が来るからめちゃくちゃラッキーなんだよと。
今なら分かる、ウンチが付いたとかは、エンガチョ遊びが流行っていたその頃、子どもに取ったらいじめにもつながるかもしれない大きな問題だ。
きっと先生は機転をきかせてウソをついた。
モッチーには本当にラッキーな事がきた。その日のヒーローになった。

そして、その優しいウソは、大人になった私を何度も助けた。車に鳥のうんちが付いていても、なんとなくラッキーな事が来る気がする。空から降ってきたウンチは汚くない。運が着地する！

遠足の最後に吉田先生はフォローも忘れなかった。
地面に落ちているうんちやトイレでしたうんちを付けてもラッキーは来ません。付けないように！広ーい空から降ってきたウンチだけがラッキーですと。