羽田トキヲ

己の萌えを満たすために小説を書いています。

羽田トキヲ

己の萌えを満たすために小説を書いています。

記事一覧

「大切な人の死」という概念が消える技術について

 わたしが大学を卒業してすぐに父が死んだ。  病気だった。  お母さんはずっと泣いているし、妹は……意外と大丈夫だな。妹のことだから何も考えていないのだろう。まあ…

9

「大切な人の死」という概念が消える技術について

 わたしが大学を卒業してすぐに父が死んだ。
 病気だった。
 お母さんはずっと泣いているし、妹は……意外と大丈夫だな。妹のことだから何も考えていないのだろう。まあいいんだけどさ。 
 家族がこんな風だったから、お通夜とお葬式はわたしが手配した。
 とにかく慌ただしくてわたしは泣く暇もなかった。
 ただ大変だったとしか記憶にないお葬式で、お経をあげてくれたお坊さんのありがたいお言葉だけは今も心に残っ

もっとみる