羽田トキヲ

己の萌えを満たすために小説を書いています。

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「大切な人の死」という概念が消える技術について

 わたしが大学を卒業してすぐに父が死んだ。  病気だった。  お母さんはずっと泣いているし、妹は……意外と大丈夫だな。妹のことだから何も考えていないのだろう。まあいいんだけどさ。   家族がこんな風だったから、お通夜とお葬式はわたしが手配した。  とにかく慌ただしくてわたしは泣く暇もなかった。  ただ大変だったとしか記憶にないお葬式で、お経をあげてくれたお坊さんのありがたいお言葉だけは今も心に残っている。 「死は終わりではないんです。ずっと記憶は残り続ける」  父が死んだ

    「大切な人の死」という概念が消える技術について