あのころの夢女子の話をしよう

ようこそ。あなたは23586人目のプリンセス。

真っ黒な画面に自分の顔が反射しながら何度も見てきたお決まり文章。
夢女子バリバリのころは占いツクールから始まり、フォレスト、ハーメルンと通っていくのが鉄板だ!
小説を開けば私は何者にもなれた。そこに夢中だった。

あの時は、ちょうど黒子のバスケが流行ってるくらいで、美術部のオタク友達がこれまた夢女子必須アイテムのふゅーじょんぷろだくとのアンソロジー本「カレシシリーズ」を貸してきて、そこで夢に足を入れるきっかけになっちゃったんだと思う。カレシシリーズは4コマの一人称視点で物語は展開されており、キャラクターがカレシで自分がカノジョといったようなそれはもう夢漫画の先駆けである革命的な本だ(と思っている)。実際めちゃくちゃ衝撃を受けたし、自分が作品の枠に飛び越えて干渉することが斬新であった。
たまに描いてる同人作家が腐女子で、コメント欄とかに腐っぽいコメントを残してしまっているというのがあるのは、それだけ当時夢創作や夢女子・男子などはマイナーもマイナーな存在であるだけに配慮に欠ける部分はある。

そう、夢女子とはそこまで主流じゃなかった。今でこそ芽は出しつつあるが、夢女子はオタクとしての一種という認識はほとんどなく、他者からの反応は乙女ゲーマーその他みたいな区分けだったように感覚的に思う。
元々、ふゅーじょんぷろだくとの「カレシシリーズ」もDSのゲーム「ラブプラス」をオマージュ作品であり、昨今タグで見る(版権名)プラスというタグももちろん「ラブプラス」が元であり、源流がそういったギャルゲーないしは乙女ゲーといった疑似恋愛ゲームから発想は展開されたことは推測できる。

中学くらいの時にファイナルファイトという格闘ゲームのコーディというキャラクターの夢女子をしていて、密かに頭の中で自分と彼のストーリーを描いていた。
ゲーム自体は父からもらった古いものだったが、何かのきっかけで遊んでそれから興味がわいた。彼は町を救うヒーローだったのだけど、平和な暴力の無い世界は刺激に欠いて、暴力沙汰を度々起こしてしまい捕まる。以降度々脱獄を繰り返すというヒーローからの暗転っぷりがやっぱ私が好きになるだけある設定だなと思う。
夢妄想では私は売れない花屋で彼を匿って生活するというものだった。設定は何となくで、弱い蛍光灯と花と流血の組み合わせが、いうなればエモい感じがしたから。
頭の中で動かす感覚はすごく楽しかったけど、友達は腐女子ばかり。唯一カレシシリーズを貸してくれた子が夢女子だったが、そもそも自分が熱烈に好きなその作品が古いのもあって伝わらないだろうと思ったのと「夢女子」なんてワードも確立しきってないくらい時で何となく異端な感じがして言わなかった。

占いツクールにハマったのは、クラスメイトの友達がきっかけだ。カゲロウデイズの夢小説をルーズリーフに書いていて、それを朝読書の時間に読ませてもらうのを何回かした。思い出すと痛いが中学生だからまだ許される。毎日新作を書いていて、尊敬するところがあったので書いた小説はどうしているのかと聞くとネットに投稿していると言う。それが占いツクールであった。
占いツクールとは、創作物語を自由に書けるだけでなく、日替わり占いが作れたり、名前を記入することで小説の登場人物になれるといったシステムがある。当時のイメージだが、書き手は大体小学校高学年から中学生までといった印象だ。書き手の年齢が上がるごとに、フォレスト、ハーメルンと移っていく。内容もそれだけしっかりしたものになり、文豪作家を漁る日々だった。

およそ小説と同時期か少し後に流行ったのがきっとメル画だろう。これが爆流行りしたのは私が夢女子になるもう少し前な気がするので推測で語る部分が多い。
ガラケーのメールっぽい作りに背景にはキャラの画像。(これがサイズが合ってなくて時折がびがびだったり余白があったりする)そしてメール形式であるのにも関わらずメールというよりも官能小説のようなやり取りがなされている内容。これもなんだかんだ中学生ごろに見かけていた。特徴的なのはさらに文章末に(暗黒微笑)(妖笑)などといった表情を表す文字である。キャラクターの傾向はドSにある。
昨今見なくなってしまったワードだが、俺様キャラというのも確かに小学生時代はよく目にしていたし、その影響もあるだろう。俺様、ゲス、鬼畜といったガン攻めスタイルは時代的な配慮もあり丸くなっていってしまったように思う。私は結構好きだけどな。
メル画の十八番の(暗黒微笑)等の言葉群はそのまま占いツクールにも度々目にしており、かつて使っていたオタクが成長するとともにそれらは黒歴史を示す言葉にもなってしまっている。かつての萌えが今の恥になってしまうのは無常なことだが、当時の好きだった熱い気持ちまで恥じてほしくはないなと思う。

それまで夢女子というのはほぼ字書きで展開されているものだと思っていたし、実際そうだったと思う。しかし、急速にTwitterが流行りはじめ、字書きとして水面下を生きていた夢女の姿が露わになる。それまで繋がりづらかった夢女子は結集し大きく夢界隈を発展させた。このときTwitterなんて傍観するくらいで実際にはアカウントを作っていなかったが逆に言えばはたから見ている分にもそれだけの勢いを感じられた。
そこで観測した夢松というタグ…これは夢界隈を急速に進化させた。夢松とは、おそ松さんの夢を指している言葉であり、おそ松さんキャラクターとイラストまたは文章で友情や恋愛をはぐくむ二次創作である。
当時おそ松さんはものすごく流行って、その分様々なオタクが生まれた。純粋なオタク、腐女子、リョナラー、夢女子、男女カプ派とにかくここには全てのオタクを生み出してしまうほど人気があった。当然気質として夢女のオタクが二次創作し始め、タグが生まれたことで新規に夢女子になったりして、ピクシブには夢絵が大量に置かれ同人誌も大量に売られた。ここで夢女子というオタクはかなりオープンにいれるようになったし、オタクの種類としても用語としても馴染みのあるものになった。これはでとんでもない大進歩である。

私はそこまで知名度を獲得したことに正直あまり喜べなかった。それは自分の中で密やかに楽しむことに喜びを感じていたからで、それが広まったのは自分だけの花園を踏み荒らされたような気持ちにも少しなったのだが、それはただ単に羨ましさからくるものだろう。簡単に同志と繋がれて、イラストも小説も求めるだけにあるその潤沢さが私は羨ましい。

でも、自分の夢女子絶頂期のころがそんな不便な過去で良かったとも思う。今は簡単に夢女子が見つかりやすいぶん、同担拒否や地雷がゴロゴロ転がっている。私の夢女子の油が乗っていた時はそんなワードなんて聞きもしなかった。ましてやコテキャを作るということさえ比較的新しいと思う。それまで小説の中での「個性ありの主人公」という夢主だったものが、それぞれ個人によって自分だけのアバターを作り二次創作をしている。界隈的には広がったと感じるが、創作のあり方としては閉じたあり方になったなと思うのが興味深い。
だからこそ対人での解釈違いの問題はあるだろうし、昔よりかは供給はあってもストレスのかかることも多いだろう。

私は高校生の頃、流行りに遅れてやっと黒バスを見て、伊月というまたマイナーなキャラの夢女子になった。思えば時代的な他者の情報収集不足という点のほかに周回遅れに作品を摂取して夢女になってきたからこそ、同担被りそれに基づく同担拒否にならずにすんできた。
伊月はかっこいいのにマイナーでグッズはかなり少なかったが、流行りが廃れているおかげで中古だがわりかし手に入れやすかった。その頃には自分の絵にもまあまあ萌えられていたし、話を作ることも難しくはなくそりゃもうめちゃくちゃに夢絵を量産しまくった。朝5時に起き、夢絵を描いてガンギマって朝ごはんを食べて学校に行く。これが日々のルーティンであった。ファイルの中に入れてそれらを大切にしていたのだが、どこにやったか覚えていない。地雷原をどうか両親が踏み抜かないことを願う。
普通の二次創作の違うところは土台二次創作である中に夢主というイレギュラー要素を加えることである種オリジナル要素が生まれるということである。半分二次創作であり半分一次創作でもある。ので、キャラの私物化と言われると我々は非常に気まずい立ち位置にもいることになるが、そういってしまうと全ての二次創作そのものも程度の差はあれ私物化している部分はあるのでそれぞれの良識を持つことが大前提必要である。

私の場合、夢主にビジュアルは求めておらず、無ければない方がいいという考えで、どちらかというと一人称視点な絵作りがまさしく夢!という感じを抱く。
それはやっぱり乙女ゲーム的な感覚からきている気もする。キャラクター自体にはデザインが凝っているのも多かったが、ゲーム進行的には一人称視点であることが多い。おそらく20代後半以降の年齢層の夢女もこっち派であることの方が多い気がしている。私が含まれる20代前半あたりが夢女子の種類が混在していて、10代になるとコテキャの傾向が高いという感覚である。

そして夢女子であったことを忘れ、私は自創作にハマりゆくが、基本的な土台が夢女子であるので、自創作でも夢自創作を始める。東というオリジナルキャラクターとそれを見てくれる方との恋愛をこの手で生み出すことはかなり斬新で楽しい。あなたがいくつの歳になっても東はあなたを想うのでどうか見守ってやってほしい。今のところ、見ている人と東の年齢のギャップが生まれてしまうのが気になっているので、新しく20代になった姿を描いていって更新し続けるのも手かなと思う。まだ高校生として描きたい部分もあるので、長期的にとらえてほしい。枕カバーも作ったし、次はベッドシーツとか?うーん、この辺は乙女ゲームグッズなどを参考にしたいと思う。小説も最近書き始めたが、イラストが忙しくて描けない時、スマホ片手に隙間時間があれば打てるのが強い。これは継続して書き続ける。目標は小冊子でも本を作ることだ。

書きたいことは大体書けたかも。目まぐるしい進化の様はまだまだ続くのかもしれない。追って観察しているうちに、昔読んだあのサイトの文豪家たちに巡り会えたらいいなと思う。
最後の締めはやっぱあれっしょ。

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東「こんなとこで占いツクールで書いてたスキルを披露する時間があるなら俺の小説をさっさと書きな?(圧)」

駄作者じy((殴「…おっと、ここらでおいとまするかなっ☆じゃあまた次のnoteで会いましょう!」

東「読んでくれてありがとう。夢の中でまた会おうね......?//////」


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