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苦い青春

割引あり

私は中学生になると迷わず美術部を選んだ。「美術」なんて言葉では堅いが、うちの美術部の実際は好きな絵を描いて好きなように駄弁るし何なら手よりも口が動いているような部活だ。

小学校の頃から絵を描くのは好きだったし、クラスでの人権を獲得できた原因が絵だから思い入れは強い。
私は保育園から小学3年まで場面緘黙症で学校にいるときは一切しゃべらなかった。場面緘黙とは特定の社会的状況において、話すことが一貫してできないという特徴がある。
学校内の人とのコミュニケーションができなかったために思い出すのも恐ろしい胸糞悪いいじめも散々受けたが絵だけは私を裏切らないので描いてやり過ごした。
あるとき、私の絵を見た子がいて、その子や周りの子に絵を評価されて初めてクラスのちょっとした中心になれた。それをきっかけに時間はかかったがしゃべることに対しての抵抗感は徐々に無くなり、「コミュ障」程度に落ち着いた。

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