余白
カーテンが騒ぐ背中が春の部品
雨水かな顔すれ違ふ螺子工場
菜の花忌くすんだ釘を奥にしまふ
襁褓捨てて蝶のゆく先帰る先
不満なんて千切つたつもり羊歯萌ゆる
ピアス捨てて菠薐草がむず痒い
指輪そろそろ蛤にしていいかしら
ものの芽や勇気しかない余貴美子
手紙焼く春林の余りをください
いぬふぐり余白がすべて風の中
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暫定句会に出会うまで、ひとりで俳句を作っていた。
句会との出会いは刺激的で、人と場に大いに恵まれたことで、私はたちまち句会にのめり込んだ。
コロナ禍で、メールやLINE句会ばかりになったけれど、それはそれで純粋に俳句だけでやりとりしている感があって、ストイックな充実(自己満足かもしれない)に満ちている。
そして今年に入って、子連れ句会に加えていただいた。なんだか皆さん素敵に飢えていて、自分の不実さに気付かされる。まだまだ自らの余白に、意識を凝らさなくては。
要は、今のところ俳句の世界の出会いに恵まれっぱなしである、というお話。
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