見出し画像

俳句のアドベントカレンダー2022

 1日  階段をくるんと廻り十二月

 2日  肝油ドロップ冬の陽をこはさぬやうに

 3日  冬の月抱き寄せて真水とおもふ

 4日  枇杷咲いて晩学の頬やはらかし

 5日  ささやきは毛布のなかの湖に触れ


 6日  オリオンや私信のやうに片笑窪

 7日  冬のパフェ誰かの平凡を逃げよ

 8日  初氷あかるい犬ばかり通る

 9日  蕪漬けてきうきうと夜を探すなり

10日  さぼる日の紙袋より小六月


11日  蜜柑のすぢ口の端にあり泣くまぎは

12日  冬晴にティントひろげるみぎひだり

13日  さざんくわの傷む耳たぶ噛むたびに

14日  鉄塔を悍馬とおもふ冬夜空

15日  乳鋲なぞる朝より寒い昼の影

16日  焼鳥はさみし蘊蓄聞き流し

17日  実南天濡れて歩いて醒めてゆき

18日  夕凍つる色変はりゆくハーブティ

19日  ドーナツのまばらに崩れ雪もよひ

20日  もつ鍋を褒めてくちびる輝くよ

21日  クリスマスカードしづかな火照りを閉ぢ

22日  忘れること冬至の饂飩啜ること

23日  寒波来ぬ造花は窓へ草臥れて

24日  樹の街を聖歌替へ歌してひなた

25日  朝告げる唇ぎこちなきノエル

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

昨年、箱森裕美さんのタグに乗っかったTwitterでの俳句のアドベントカレンダーが楽しかったので、今年もやってみた。
日々を味わって生きていきたいという思いとは裏腹に、あっという間に年の瀬がやってきてしまうのだけれど、俳句のアドベントカレンダーを続けるとよりその感慨が深まる。
結局、Life is shortには変わりないのだ。

そんなほんの一瞬の25句でした。
それにしても、食べ物の句が多かったな…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?