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シュガーロード。通り道に生まれた美味しいお菓子

先日、母から段ボール箱が届いた。
私が、黒豆を煮るための鉄卵を譲ってほしいと言ったからだ。

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母からの荷物には、いつも達筆で宛名が書いてある。テープをびりびりと剥がして箱を開けると、鉄卵はさておき、私のお気に入りの佐賀銘菓「花ぼうろ」が入っていた。

花ぼうろとは、2枚の丸ぼうろの間にアプリコットジャムを挟んだお菓子。

佐賀育ちの私にとって、丸ぼうろといえば最もなじみのあるおやつのひとつだった。実家のお菓子バスケットの中、お仏壇、友達の家、レジ横、、などなど見慣れすぎて景色の一部になっていた節がある。

私が中学生のときの職業体験も、丸ぼうろメーカーさんにおじゃまさせてもらった。佐賀の産業の一端を担う丸ぼうろ・・・!

でも、そういえば東京に来てからほとんど丸ぼうろを見かけないような気がする。町のお菓子屋さんなどに行っても、棚に並んでいるのをみたことがない。コンビニはどうだろう?
・・・

今、家から徒歩20秒のセブンイレブンに偵察に行ってきたが、無かった。うすうす気づいてはいたけれど、丸ぼうろはどうやら全国区ではない。

こんな記事があった。

日本が鎖国していた江戸時代、出島(長崎)ー小倉(福岡)間の道を長崎街道と呼んでいて、交易のあったポルトガルや中国から渡ってきた砂糖・お菓子は、この道を経て江戸まで運ばれた。そのため長崎街道は「シュガーロード」と呼ばれるようになった、とのこと。

このシュガーロードは、佐賀のどのあたりを通っていたんだろう?と地図で確認してみると、我がうら若き日々の通学路のあたり。かつて丸ぼうろやカステラが隊列を組んで行進していた道を、私は横切るような形で学校に通っていたのか!(どんな感動)

シュガーロードは2020年6月に、文化庁の日本遺産にも登録されているらしい。

さらに気になって、砂糖の消費の多い地域を調べてみたら、シュガーロードの発端である長崎市は全国で2位(※)。
佐賀は23位という、多いんだか少ないんだかよくわからない位置にランクインしていて、ある意味裏切らない結果だった。

(※正確には購入量データ。消費総務省統計局家計調査 二人以上の世帯 2017年~2019年平均)


郷土料理やご当地グルメといえば、まずはその地で獲れるものを使った食品を思い浮かべるけど、その通り道にも美味しいものたちが生まれていた。シュガーロードに限らず全国津々浦々○○ロードがあるかもしれない、と思うと眩暈がする。


さて、話を「花ぼうろ」に戻す。

丸ぼうろ自体は素朴さがウリなのに対して、花ぼうろは、アプリコットジャムという粋なものがサンドされ、生地はしっとりしていて、路線が違う。
発泡酒とビールほどの違いはないけど、ローソンとナチュラルローソン、スタバとリザーブドくらいの違いはある。後者の方がやや贅沢。

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パッケージは素敵な六角形の箱で、個包装は金色の光沢のある和紙。和洋ミックスな感じが、花ぼうろにぴったり。
おやつタイムに、牛乳と一緒に食べるのもよし、夜のご褒美にウイスキーと、というのもいいかもしれない。






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