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1日1冊読書日記

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1日1冊小説を読む試みを3年続けるための素晴らしい計画を建てた。1000冊読むための最も冴えた方法。名付けて、三年計画である。計画を完了したとき、私は小説を誰よりも愛する、活字中…
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#辻村深月

2冊目/辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(下)』

2冊目/辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(下)』

 高校3年の、雪が降る日。いつも通り学校に向かったが、集まったのは8人の生徒だけだった。他の生徒や先生がいないことを確認して帰宅を試みるが、扉や窓は凍りついたように固く閉ざされている。冷たい校舎に閉じ込められたのだと知った。

 昨日に引き続き、辻村深月先生のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』を読む。時間がかかるとわかっていたので、朝から読み始めた。物語の終盤に近づくにつれ重苦しい雰囲気になって

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1冊目/辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(上)』

1冊目/辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(上)』

 私が生まれて初めて辻村深月先生の作品に触れたのは、高校三年の夏休みだった。受験勉強のために開館時間に合わせて図書館に出かけ、昼ごはんを食べ、勉強を再開する。息抜きをしようと、館内の小説を物色して回ったことを覚えている。

 著者順に並んだ棚で、目についたタイトルのひとつが辻村深月先生作『スロウハイツの神様』だった。人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ、という秀逸なあらすじを見て心臓を鷲掴みに

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