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「不安」はただの思考停止

新型コロナウイルスの影響で、マスクや除菌関連グッズだけではなく、なぜかトイレットペーパーや生理用品なども店頭で品薄が続いている。

トイレットペーパーの原材料が不足する、輸入・物流が途絶えて国内に行き届かなくなるなどのデマが流布され、不安を煽られた人たちがこぞって買い占めに走った結果だ。

常々、わたしはどこから目線かわからないドヤ顔で「みんな落ち着け」と思うことが多い人間だが、今回も同じように何様かという顔で「いい加減落ち着けよ」と思いながらこの文章を書いている。

・トイレットペーパーがなくなる!
・トイレでお尻が拭けなくなる!
・めちゃくちゃ困る!
・買いだめしておかなきゃ!

とこういう思考の流れだと想像するのだが、本当に落ち着いてほしい。まず、トイレットペーパーはなくならない。実際、スーパーやドラッグストアでは軒並み売り切れ状態になっているけれど、それは集中的に買い占めた人たちがいるからであって、国からトイレットペーパーの在庫が消えてなくなったわけではないのである。

トイレットペーパーの原料である古紙やパルプは、そのほとんどが国内調達。上記事のとおり、東日本大震災でもこんな異常事態はみられなかったそうである。なくなることはありえないとまで断言されている。そもそも中国から輸入されているトイレットペーパーなんてないに等しいこともわかった。

この国にはしっかり国民分のトイレットペーパーの準備があるのだ。お尻をふけなくて困ることなどそうそうない。もし万が一にも本当にお尻が拭けない事態になったからといって、死ぬほど困るでしょうか。家の中だったらシャワーで流すとかウォッシュレットで自然乾燥するとかやりようはあるよね。ちょっと手間はかかるけどさ。

どうして、情報源のはっきりしないデマを、調べもせずに盲目的に信じてしまう人がいるんだろう。

今回はテレビでも政府からも呼びかけがあるのに、さすがに異常だ。

「不安で仕方がない」という感情は、ただの思考停止だという論がある。

そもそも「不安」は目に見えない。実態がない。「ああ~~~~不安だ~~~~不安で不安で仕方がないよ、死にそうだ~~~~~~~~」と思っているのは自分の脳内や心の中だけであって、どこかの偉いお坊さんに「それでは、お前の不安とやらをここに持ってきてみせよ」と言われてもどうすることもできないのである。

目に見えないのだから、ないのと一緒ではないだろうか。

それでも不安で不安で仕方がないという場合は、「なぜなのか?」を少ししつこいくらいに掘り下げて考えてみるとすっきりする。

なぜ不安なのか?

知らないからだ。分からないからだ。知識も情報もないからだ。

どうしたらいいか分からない、正解なのか間違いなのかも分からない、右と左どちらなのか教えてほしい、コロナウイルスって何なのか、ただの肺炎と何が違うのか、どんな予防対策がいちばん効果的なのか、マスクやトイレットペーパーの買い占めは意味があるのか、エトセトラエトセトラ…………。

手元にスマートフォンやパソコンがない人はこの時代、少数派だろう。ちょっと検索してみるだけで大体の道筋はわかるものだ。もちろんネットやSNSだけの情報に頼るのもそれはそれで思考停止だけれど、テレビやラジオではどんなことを言っているか見てみる聞いてみる、人はどんな意見を持っているのか会ってみる質問してみる、自分なりに複合的な情報を得ようと意識することはできる時代なのではないだろうか。

「みんなが買ってるから」でトイレットペーパーを買い占めるなんて、約50年前にもみんな同じことをやっている。学習しないし成長しないんだなあ、私たちは。

もしかしたら、私たちはもともと「なぜなのか?」を考えるのがすこぶる苦手なのかもしれない。

だれかから迷惑だといわれたら、どこが悪いか考えるより、黙って従わなければならないような雰囲気があります。

電車内での通話、公園で大きな声を出してはしゃぐ子どもたち、香水をつけてお寿司屋さんへ行くこと。

「常識の範囲内で考えたら当たり前」「理由なんて考えずとも迷惑でしかない」と思えるマナー違反でも、「みんなが迷惑って言ってるから迷惑なんだろう」くらいにしか考えていないことも、もしかしたらあるかもしれない。

コロナウイルス騒動で、ストックは十分にあるのにトイレットペーパーを買ってしまったあなた、理由をちゃんと説明できますか?

「不安」って、ただの思考停止なのだと思う。


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