私は初志貫徹ができない
私は気まぐれだ。借り物競走で取ったカードに「今朝言っていることとまったく違うことを、平気な顔で昼間に喋る人間」と書いてあったら、真っ先に私を連れていってほしい。それにしても、いまも借り物競走ってあるんでしょうか?
私のタチの悪いところは、自分の気まぐれさに最も疲れているのは自分である、と堂々たる自覚があるところ。そして、その自覚ゆえに、もう誰しも私の気まぐれな性質には触れてくれるな、とハリネズミよろしく尖っているところである。
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一本、まっすぐな筋が通っている人に、憧れる。まさに初志貫徹。軸が通っている。その堅実さ、誠実さは、使う言葉やふとした所作にも表われる。言っていることがコロコロ変わらない人のことは信頼できるし、やっていることがアチコチ転がらない人と行動を共にしたいものだ。誰しも、振り回されるのは疲れるからである。
対して、私はどうだ? 朝起きてすぐに「今日はステーキの気分」と思っても、私は私のことを信頼しない。お昼前くらいの時間になれば当然のようにその気分は消し飛び、海鮮丼を食べているからである。「今日こそは人にやさしくするぞ!」と思っても、話半分に受け止めることにしている。そう思った数分後には、排水溝を詰まらせたくせに知らんふりしている同居人の悪口を言っているからである。どうしようもない。
なぜ、私はこうも気まぐれなんだろう?
私は私の気まぐれな性質に、どうしても答えみたいなものを出しておきたく、「ふたご座 性格」で検索してみた。何か困ったことがあると星占いに頼ってみるのは、私の癖です。
書いてある。すっごく、書いてある。「気まぐれ」って。類語でもなく、そのまんまの言葉が書いてある。「繊細」とか「知識」とか良さそうな言葉も書いてありますが、そのなかで一際輝く「気まぐれ」……。
退屈が嫌い、常に面白いことをしていたい。これはつまり好奇心の強さや飽きっぽさにも繋がっているのでしょう。自覚はある。要は何事も同じ状態が続くのが嫌なんである。だから朝と夜で真逆なことを言ったりやったりするのだ。これはもう、そういう星の元に生まれたってことですから、仕方ないのかもしれません。
おまけに、こういうことも書いてあった。
これは事実に照らし合わせると、若干疑問が残ります。
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言うこと、やることに筋が通っていたり、年始の目標をしっかり年末に回収する「初志貫徹」な人に憧れます。しかし、星の巡り合わせから考えると、なかなかに難しそうです。
このエッセイのテーマは「自分のできない部分を見つめ、できる部分を浮き彫りにさせよう」みたいな感じなので、気まぐれな自分を受け入れてあげつつ、溢れる好奇心をどう生かすか、を考えていこうと思います。手始めに、今日スーパーで買った「糖質ゼロこんにゃく麺を使ったソース焼きそば」は本当に美味しいのか? 試してみるか。
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