【小規模事業所の採用ノウハウ】『右腕が欲しい』と言う前に、“右腕を育てる土壌”ありますか?|30日間投稿 Day17
『右腕が欲しい』と言う前に、“右腕を育てる土壌”ありますか?
「“即戦力の右腕が欲しい”と願う経営者こそ、
自分の“徳”や人間力を磨きつつ、土壌を整備できていますか?」
はじめに
前回(Day 16)では、新人や未経験者を短期間で育成するための“3か月投資”についてお話ししました。
今回のDay 17は、その先にある「右腕が欲しい」という経営者の本音にフォーカスします。しかし、いくら優秀な人材を採用しても、経営者自身の姿勢や社内の環境が整っていなければ“右腕”として活躍してもらうのは難しいのです。
1.そもそも“右腕”は経営者の“徳”に惹かれて集まる
「右腕が欲しい」という願いは、多くの経営者が抱える共通の悩み。ところが、その“右腕候補”が入社する前の段階では、基本的に経営者自身がプレイヤーとして奮闘している場合がほとんどです。
経営者が“徳”を磨いておく
人間力やビジョンがしっかりしている、スタッフへの配慮がある
そうした経営者の人柄や考え方に共感して「この人のそばで頑張りたい」と思う存在が、実質的に“右腕”へと成長する
“よい意味で騙す”くらいの熱意や行動力を示す
たとえば「この事業を一緒に盛り上げよう」「自分の可能性を広げよう」と魅力的に誘い込み、実際にそれを実現できる場を用意する
喜多自身も、そうした経営者の元に飛び込んだからこそ、ここまで“採用や教育の分野”で力を発揮してこれたと言えます。
2.“右腕を育てる土壌”とは何か?
経営者がプレイヤーとして“実績”や“熱量”を示している
経営者が頑張っている姿を見て、「この人と一緒に働きたい」と思うスタッフが生まれる
口だけでなく、実際に動いているところに惹かれる人が出てくる
権限や意思決定の一部を委譲する仕組み
“所長がすべて決める”状態では、右腕は育たない
失敗があってもフォローする姿勢、失敗を許容する文化
チャンスを与え、成果を共有する
新しい提案を自由にしやすい
成果が出たら経営者がきちんと讃え、社内へ共有する
「即戦力が突然現れる」とは思わないで、徐々に能力を発揮してもらう余地がある仕組みを作ることが重要です。
3.右腕に必要な能力は、経営者と“同じ”である必要はない
“右腕”というと、経営者と全く同じ思考・性格を持つ人を求めがちですが、実は異なる強みを持っていたほうが補完関係を築きやすいです。
喜多自身の例:経営者と性格が似ていなくても、採用や教育への強い関心を持っているおかげで、事務所運営を補佐できた
経営者が苦手な部分をフォローしてくれるタイプを育成すると、チームがより強くなる
経営者としては「似ていなきゃダメ」と排除するのではなく、**“自分が得意ではない分野を得意とする人材”**を伸ばせる環境を作ってあげると、右腕としての役割が自然に生まれるかもしれません。
4.「良い人がなかなか来ない…」と思う前に
経営者は自分の“人間力”や“徳”をどこまで発揮しているか
スタッフへの接し方や仕事への姿勢が、中長期で“右腕候補”を惹きつける
社内の仕組みや情報共有は“右腕が活きる”レベルに達しているか
ローカルルールだらけ、文書化されていない、所長が忙しすぎて打ち合わせできない…
こうした環境では、仮に有能な人が来ても疲弊しがち
右腕を獲得するには、まず小規模の強み(柔軟性・親密性)を活かしつつ、経営者が**“騙す”くらいの熱量**で魅力を伝え、権限を委ねる準備をする必要があります。
5.まとめ
「右腕が欲しい」と願う経営者ほど、まず自分の徳を高め、プレイヤーとして必死に動く姿をスタッフに見せることが大事。そこに惹かれて入社してきた人や、元々いたスタッフが成長を遂げるとき、自然と“右腕”は誕生します。
経営者が全情報を握らず、権限や責任を少しずつ渡す
未経験や性格が違う人材でも、補い合って強くなれる
育つための土壌(情報共有・失敗許容・フォロー体制)を用意する
こうした環境がないまま「いい人材がいない!」と嘆くのは、もしかすると順番を間違えているのかもしれません。
次回予告
【小規模事業所の採用ノウハウ】“離職率0%は無理”と本気で思ってますか?|30日間投稿 Day18
次回は、「離職率0%なんて夢物語じゃないの?」という思い込みに挑戦してみます。実際に驚くほど離職者が少ない事務所や、その理由を探ってみましょう。お楽しみに!
この記事は、喜多が“小規模事業所”での採用・育成を行うなかで、「右腕が欲しい」という経営者の声に応えてきた経験を踏まえています。結論として、右腕は“突然現れる奇跡”ではなく、“育てていく存在”であり、経営者の徳や環境づくりが最優先だと感じています。