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『魔法骨董ここに眠る』プレイ記録Ⅲ

本記事はソロジャーナルTRPG『魔法骨董ここに眠る』を遊んだ記録です。
一回目のプレイ記録及び概要はこちら↓

  日付:9月4日
《セットアップ》
【魔法道具の形】書くもの
【道具の効果】変化
【効果の程度】4(ちょっとした効用)
【道具の概要】七色に変色するペンキ

《リーディング》
1d6 (1D6) > 4
この魔法道具から聞こえる思い出は4つ。
カードを4枚めくる。

【黒5:持ち主が代わった時のこと。合意はあったのだろうか?】
このペンキは元々小さな街に住む魔術師が作ったものだった。彼は老年まで様々な色を作る、絵の具職人であった。宝石類などの貴重な物質から丁寧に色を抽出する。その中に、魔力を秘めた結晶も時折混ざっており、いくつかの色に光ることがあった。
このペンキはその職人の目を盗んで奪われたものだと思われる。

【赤K:人間、あるいは世界について何かを学んだ。何がきっかけになったのだろう?】
このペンキは塗る際に魔力が込められることによって綺麗な七色に光る。魔力とインクの相性が良いほど、そのまま色の輝きへと影響する。それは魔力の強弱や、芸術的なセンスとは一切関係がない。
盗み出された先では、子供を殺したことのある男が1番鮮やかな七色を描きだすことができた。すると、その男は特別な絵を描くことができる男としてもてはやされるようになった。そして三度結婚し、三度とも妻を殺した。

【黒4:一番長く使っていた人間のこと。大事に使われていたのか?それともたまたま置かれていたのか?】
男は絵が描きたかったわけでも、地位がほしかったわけでも名声がほしかったわけでもない。ただただ、己の内から湧き出す欲望を御しきることができなかった。それでも、男は絵を描いた。その絵は瞬く間に人を魅了し、今でも男が書いたとされる作品が数点残されている。そして、それには破格の値が付く。男は殺すことも、描くこともやめられなかった。
世界から賞賛される絵を描いた手で、妻を殴り鉈で頭をたたき割った。そのときも、このペンキは側にあった。

【赤A:どのようにして造られたのか?魔力を込めながら造られたのか?職人の手によって造られてから魔法をかけられたのか?】
このペンキの原料は、いくつかの仮説はあるが断定することはできない。色を変える魔法石ともなると種類が多く絞りきることが困難である。また、配合されている比率や分量も具体的に算定することは難しい。奇跡、あるいは偶然の産物である。
しかし、含まれている内容物のほとんどは本来魔力を持たない鉱石である。その鉱石が光を放つようになったと考えられるのは、絵の具職人の道具に付着していた魔法石が微弱な魔力を持って血液と反応し、見る角度によって光り方を変えていたと考えられる。
このペンキは、試作品、あるいは失敗作の一つで、魔力はあれど七色に変化する効能が発見されたのは男の手に渡ってからである。

《エンディング》
この魔法道具には2つ質問を聞く時間が残っている

Q1:あなたが誇りに思っていることは?
「今でも、私を使って描かれた絵が残っていることだ。いくつか燃やされてもしまったけれど、私は自分が絵を描くために使われる日が来るとは思わなかったから、すごくうれしいよ。」

Q2:あなたが好きになったものは?
「赤茶色の絵の具だ。私は鮮やかな赤い絵の具が、私の中に溶け込んで徐々に濁った茶色になっていくのを感じた。そのときに私は『こんな風に、姿を変えてみたい』と思ったんだよ。ただの絵の具ではなく、時間によって姿が変わる絵の具になりたい。そんな風に思った。私を長く使ってくれた人は、何度も何度も私にその絵の具を継ぎ足して使ってくれた。だからほら、全然減らないんだ。魔法みたいだろう?」

その言葉を最後に、魔法道具から声は聞こえなくなった。私は少し迷いながらも、そのペンキを棚に並べた。

商品名:かつては画材だった液体



日付:9月6日

《セットアップ》
【魔法道具の形】入れるもの
【道具の効果】記憶
【効果の程度】6(人はそれを呪いや奇跡と呼んだ)
【道具の概要】この魔法道具は記憶を保存することができる。呪文によって他人に移動させることが可能。

《リーディング》
1d6 (1D6) > 2
この魔法道具から聞こえる思い出は2つ。
カードを2枚めくる。

【黒Q:修理した人間のこと、その形を直したのか?それとも魔力を込めなおしたのか?】
現在は人差し指ほどの長さをした棒状の物体である。本体と思われる部分は灰色で、先端に青色の突起物が見られる。これほど小さなサイズのものだが、中に保存されている記憶は時間にしておよそ500年である。
修理方法も中には記録されているそうだ。また、形も時代に合わせて変えられており、頻繁なときは年に一度姿を変えている。しかし、現在の形へと形を変えた技師はその記憶をこの魔法道具に保存せずに死亡した。
よって、現在、この魔法道具を使う方法は魔法道具自身にも不明である。

【黒4:一番長く使っていた人間のこと。大事に使われていたのか?それともたまたま置かれていたのか?】
この魔法道具は、貴族に代々伝わる魔法道具であった。この魔法道具に知識や技術を集積させていき、その知識や技術を得た人間はさらにその人生をこの魔法道具へと忘れないよう記録した。
さらに、この魔法道具を用いれば全く同じ記憶を持った人物をもう一人作り上げることができた。この道具に記録された記憶は、他人にそっくりそのまま移し替えることができたのだ。
それ故に、この魔法道具の使い方は、この魔法道具自体が教えてくれる。
最も長く使われたのは、そうして生まれた二人の王の記憶を持つ人間だった。片方が死ぬともう一人はその記憶をこの魔法道具へと移し、自分と、もう一人の若く、健康的な体へと記憶を移した。
そうして記憶を重ねていくうちに、時代も記憶も、名前さえ曖昧になっていった。その二人を「最も長く使った」と形容して良いのかさえもわからない。

《エンディング》
この魔法道具には2つ、質問をする時間が残されている。

Q1:あなたが後悔していることは?
「自分より、賢い人間に記憶を移したことだ。驕っていた。それ故に、私は今、誰にも何も残せずに、ここにいる。永久に記憶しておくための魔法道具の最期が、この中にあるたくさんの記憶の一切を全て失うことであるなど、許せようか。」

Q2:次に引き取られるならどんな人が良い?
「考えたこともなかった。私は常に、選ばれる側であった。私が誰かを選ぶ。そうだ。子供、子供がいい。何も知らぬ、何も臆せぬ。無知で無邪気な、そんな子供の元へ行きたい。そして、再び、必ず、この記憶を。」

その言葉を最後に、魔法道具は沈黙した。

商品名:愚かなるメモリー

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