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[北白川に場をひらく] 高校生Tくんと行く シスターフッド書店Kanin

こんにちは、北白川文化研究員の綿野です。前回レポートした北白川のブックカフェ「シスターフッド書店Kanin」に友人の高校生Tくんと一緒に遊びに行ってきました。

Tくんは通っている男子校の「ブラック校則」の頭髪検査に反発して、学内で色々な活動や呼びかけをしています。高校でTくんが出会った理不尽さをきっかけに、社会のあらゆるところにたくさんあることにも気づき始めたそうです。
自分にとってわからないもの、納得ができないものを広く視点を変えてみるための糸口として、もともと好きだった歴史や、哲学思想、社会学、人類学など人文系の勉強をたくさんしている、とても頼もしい高校生です。
ちなみに嫌いな言葉は「絆」「姦通罪」「良妻賢母」「家族愛」…。笑

そんなTくんとシスターフッド書店Kaninの京極さんとの会話を一部抜粋してお届けします。

右:シスターフッド書店の京極さん

ー「フェミニズム」について、Tくんはどう捉えてる?

Tくん(以下T)「NHKで『100分de名著』っていう番組でフェミニズム特集をしてたんです。そこで紹介されてた本や内容にびっくりして、僕は男子校に通ってるんですけど、学校のみんなもフェミニズムについて知らないとまずいんじゃない?!と思って、社会の先生にその話をしたら、授業で流してくれることになったんです。」

京極さん(以下K)「ええ!それはすごいですね。同級生はどういう反応でした?」

T「みんな、ボーゼンとしてて。ちょっとわからない…。って感じでした!『侍女の物語』という女性にとってはディストピア小説のような設定の作品が紹介されてたんですが、みんな「無理!」とか「うあー!」っていう反応でした。」

ギレアデ共和国の侍女オブフレッド。彼女の役目はただひとつ、配属先の邸宅の主である司令官の子を産むことだ。しかし彼女は夫と幼い娘と暮らしていた時代、仕事や財産を持っていた昔を忘れることができない。監視と処刑の恐怖に怯えながら逃亡の道を探る彼女の生活に、ある日希望の光がさしこむが……。自由を奪われた近未来社会でもがく人々を描く、カナダ総督文学賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。

K「この小説でなにが暗喩され指摘されているのかも、はっきりはわからないけど「わからない」ということ自体も聞けない、という感じかもしれないですね。男性はわからないっていったら「怒られる」って思っちゃうのかもしれないですし。」

T「フェミニズムに触れて自分がそれと共通して、されていやだなって思うのは「らしさの強要」なんです。「男らしさ」「女らしさ」「自分らしさ」とか…、色々ありますよね。それって何なんだろう?って。学校である頭髪検査もその「らしさの強要」にかなりつながっているので、僕は反発してるんです。」

K「フェミニズムで描かれ問題にしているのも大きくは「らしさ」の強要でもありますよね。」

ー Tくんのように学校でみんなに「これっておかしいと思わない?」呼びかけたりすることって大切だけど、なかなか勇気がでないしできないこと。どうしたらいんでしょう?

K「まずは自分が素直に怒っている、ということを知ることって大事だと思います。あと一人でやってるとナメられちゃう、つぶされちゃうから、複数でいって役割分担するのがいいんじゃないかな。
先生にツッコんでいく役、まあまあっておさえる役、論理が破綻してるところを冷静に指摘する役、とかね。」

T「なるほど。一人で戦うなってよく言われます。笑」

K「あとは本を読んで言葉や歴史を知ると、ちゃんと適切に言い返せるようにもなっていきますよね。」

/// 研究員まとめ🔍
Kaninでは不定期ですが頻繁に読書会(読んでなくてもOK)も開いているので、興味がある方はぜひ。フェミニズムに関わらず、ジェンダーや社会の色々な課題をゆるく話せたり相談できる場としてこういうお店が北白川というローカルにある意味はとても大きい。
ここでは異なる他者の考えや思いに触れることができる。お店に集まる人同士や、本を通じて。

■シスターフッド書店Kanin (📍北白川堂ノ前町)

▶︎オンラインショップもあります https://kanin.base.shop/

高校生Tくんが選んだ「よりフェミニズムを理解するための3冊」

「ジェンダー目線の広告観察」小林美香著
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5950-8.htm

コンプレックスを刺激する脱毛・美容広告、バリエーションの少ない「デキる男」像。公共空間にあふれる広告を読み解き、「らしさ」の呪縛に抵抗する。

「よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門」清田隆之著
https://www.shobunsha.co.jp/?p=5411

女は「わかる!」、男は「マジで?」
“すれ違い”の背景がわかる、衝撃のレポート

恋バナ収集というちょっと変わった活動を行うユニット「桃山商事」の代表を務める著者が、これまで1200人以上の女性たちの失恋話や恋愛相談に耳を傾けるなかで気づいた、嫌がられる男性に共通する傾向や問題点とは? 女性たちの生の声を聞いてみると、男女でこんなにも違う景色が見えているのか、ということが浮かび上がってくる。ジェンダー観のアップデートが求められる現代を生きるすべての人たちに贈る、より良い関係を築くための“心の身だしなみ”読本!

ここに書いてあること、オレに関係ねぇ〜もん、って男に会ってみたい。
その自己認識のなさもとっても「男らしい」ーっ!
上野千鶴子氏 推薦!

「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」カトリーン・マルサル著
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309300160/

哲学者アダム・スミスが研究に勤しむ間、身の周りの世話をしたのは誰! ? 女性不在で欠陥だらけの経済神話を終わらせ、新たな社会を志向する、スウェーデン発、21世紀の経済本。

「人々の欲望をあおり、富める者はより富み、貧者はより貧しく……を現実のものにした新自由主義と経済学。そこに欠けているのは、アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か、という視点だということがよくわかる本。トリクルダウンなど起こらない。このままいけば貧富の差は広がるばかり。我々はではどうしたいのか、どうすべきなのかを考える時に来ていると思います。ちなみにこの本に書かれている「フロイトが考えた、女性が掃除が得意な理由」をぜひ知っていただきたい。驚愕です!!!(店主S)」

報告:綿野香織(北白川文化研究員NO.2)
北白川歴 5年

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▼公式サイトCONTEMPORARY COCOON ROOM702


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