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小数点以下の感情(0.999…)子



焦げ付くように灼き付くように鮮烈に。

あなたの首筋からはリスボンの市場の香りがする。

ぬれた獣のように毛羽立ったこころ。

ざらついた甘えは結局自分をコロす。

あなたとわたしから蒸発した水分は空気中で混ざり溶け合う。

体内温度は狂ってばかりの自意識とのたたかいで世界一ちいさな戦争。

甘い慕情を製本して販売する社会とそれを手にするわたし。

ひっくりかえった胃には光跡が点々と灯っている。

宇宙色に染まったわたしの歯カチカチカチ咬合音。

わたしの心臓肝臓小腸はわたしを美しいと思っている獣の本能。

ずっともがいているのはただ溺れていることに気が付かなかっただけなんだ。

指先ひとつで世界を滅ぼすことができる。

白く染まる春の時間は冬の吸殻を纏って佇んでいる。

きみが近付くたびにわたしはけずれて痛さに泣いている。

冷凍庫にねむる氷は生々しく蠢くときを待っている。

希薄な存在としてそばにいたい。

腑抜けの脱皮を拵えて袖を通す。

ゆっくりと創る笑顔はサスペンス。

わたしの空洞は肉体へ埋没していく。

きみが帰り道を忘れたらもっと一緒に居られるのに。

舞浜駅のホームは妖精だらけのパラダイス。

ほんとうに自分に血液が流れているのか曖昧になるとプラスチックの心臓の鼓動が聞こえだした。

わたしから遠のいていく夕陽は星を連れてくる。








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