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息子が不登校になって初めてHSCを知った

HSCをご存知ですか?
私が初めてHSCを知ったのは
息子が8歳で不登校になってから。

HSPとHSC

みなさんは、HSPをご存知でしょうか? 
最近芸能人が立て続けに「自分はHSPだ!」と告白し、ちょっとしたブームになってTV・新聞・雑誌などメディアで取り上げられるようになってきました。

HSPは Highly Sensitive Person の略で、「繊細さん」。 
HSCは Highly Sensitive Child の略で、繊細さんの子ども版。 「繊細な子ども」とか「ひといちばい敏感な子」と呼んでいます。

大阪市教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当生涯学習推進グループ


HSCの特徴についてわかりやすい文章を
下記に引用させていただきました。


HSCのしんどいところ

脳が、細かな目の網のように“些細なこと”まですくってしまうので、強い刺激が苦手です。

*「触れるものに敏感」 チクチク、ざらざら、ベトベトや体を締め付けるのがダメ
*「ニオイに敏感」 タバコに香水や整髪料、香りをつける洗剤など、きついにおいがダメ
*「音に敏感」 騒々しいのが苦手、小さな音でも気になりだすと眠れない
*「味に敏感」 食べ飲み慣れない味が苦手、味へのこだわりがすごい
*「見えるものに敏感」 外光や蛍光灯がまぶしい、ごちゃごちゃを見ると疲れる
*「身体の内外の変化に敏感」 痛みに弱い、空腹・気圧などにも反応しやすい

高性能アンテナのような感受性は、他者の感情まで取り込んでしまいます。 

*ほかの子が叱られているのに、関係ない自分までドキドキ
*災害など、悲しいニュースで気分が落ち込む
*先生や親の顔色をうかがって、気を遣いすぎる
*自分のことは二の次にして、他人を優先してしまう
*場の雰囲気が悪いと、いたたまれなくなる
*その程度で?と周りが驚くような、些細なことで深く傷つく

ね、結構大変そうでしょ。 
さまざまな刺激と感情が飛び交う園や学校に行くだけで、HSCは疲れ果てることもあるのです。


大阪市教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当生涯学習推進グループ

HSCさん全員が
「上記の特徴の全てに当てはまる」という訳ではないそうです。

我が家の息子は
上記の特徴が8割くらい当てはまります。



おぉ、不登校!

小学校2年生で息子は不登校になりました。

入学前は「もしかしたら不登校になることもあるかも、、」と
うっすら考えました。
しかし
実際に不登校になってみると
かなりの衝撃!



息子の幼少期の特徴


幼少期は本当に口数の少ない子どもで、
自分の意見を言うことがあまりありませんでした。

でも
自分のやりたくないことはやらない
静かに、確固たる態度で主張する子どもでした。

幼稚園の頃はこんな特徴がありました。

恥ずかしがり屋
プライドが高い
頑固
おとなしい
あまり話をしない


幼稚園時代、息子は口数が少なく、
母親の私でさえ何を考えているか掴めないことがよくありました。
そのため
「それほど多くのことを考えていないのかも、、」と
考えの浅い私は思っていましたが

大間違いだったんです!

息子が9歳になった頃「幼稚園の時はこのように考えていた」等
私に伝えてくれて、いろいろ深く考えていたんだなぁ!と驚きました。



息子が楽しく生きられる小学校はどこだろう


いよいよ小学校へ入学。


小学校はのびのびと自分のペースで学べるところが良いのでは?!と
私は思い、
息子は
「ずっと座っている小学校より活動が多いほうがいい!」とのことで
そのような小学校を探しました。


というのも息子が通っていた幼稚園は
”個人の興味を伸ばすことに重きをおいて、
その子の成長に合わせて活動をする”
という場所でしたので


息子は主に
紙を切ったり、小さく切ったストローを糸に通したり
編み機で小さな袋を作ったりして過ごしていました。

息子は自分のペースを崩さない人で
みんながサクサクやっていることを
その半分くらいのペースで
焦ることなくじっくり少しだけやる。

そのようなスタンスで幼稚園生活を送り
他の子が鉛筆を持ち始め、字を書き出したときにも
マイペースで自分のやりたいことを進めていました。

そんな彼を見ていて、思ったこと。

自分のペースでやりたいことを進めていく方が
彼にとって居心地がよく、自己肯定感が上がるのでは!と考え、
そこを小学校選びの焦点にしたわけです。

一条校にこだわらず、オルタナティブスクール等も
何校も見学に行き、
ご縁のあった小学校に入学しました。



しかし、、

小学校に入学してから息子は
”友達にできること”が
”自分はできない”を強く感じ取るようになりました。

一般的な小学校と比較すると
かなりゆるりと、個人のペースで進んでいく授業だったのですが、、、

息子は幼稚園時代より成長して、
他人と自分を比較する意識がより芽生えたのかもしれません。

そして母親であるわたしが考えているより、息子はずっと繊細でした。

HSCの特徴を濃く持っている息子は

恥ずかしい
失敗したくない
なんて思われるだろう
みんなが見てる気がする
笑われてしまいそう

そんな思いをかなり強く持ったようです。


劣等感を感じるようになった息子。
「どうして自分はみんなと同じようにできないんだろう」
自分を責める日々。

しばらくすると
息子は「学習の時間」がキライに、、、


HSC息子の特徴 こんなことも

息子が持っている特徴として、
他にはこんなものもあります。

<正義感が強く、共感性が高い>

わたしは良い特徴だと思いますが、

当時そのクラスのメンバーの中に
他人をからかって楽しむ、まだ幼稚な子どもたちがいました。

そんな中、誰かが からかわれていると息子は間に入り
「そんなことを言うのは可哀そう」と、その子をかばう。


そして次の標的になる。


弁当箱を踏まれたり
カーテンの裏に隠れて爪を噛まれたり
叩かれたり
掃除用具入れロッカーに閉じ込められたりしていたようです(本人談)。

これは学校を辞めた後に、息子がわたしに言ってくれたことで

学校に通っている期間には、
残念ながら私は
息子がそんなことをされているとは全く気づきませんでした。

人の悪口を全く言わない息子
他にもいろいろな出来事があったかもしれません。

しかし
わたしは息子からの意見しか聞いておらず
現場を見ていないので実際の状況はわからない、ということも心に留めておきたいと思います。

遊びの中でちょっとエスカレートしちゃった、という出来事だったのかも、、

ただわかるのは、
息子は「小学校に行きたくなくなるほど辛く感じた」ということ。



息子の葛藤

不登校になる半年前くらいのこと。
息子が電柱を拳で殴るようになった時期がありました。

私「何してるの?」
息子「〇〇くんと△△くんが遊んでる途中で僕を叩いてくるから、
鍛えてやり返すんだ」

この話を聞いたとき
いじめ?
いや、男子の遊びってそういう激しいもの?? 
やりかえそうとするなんて、 幼稚園のときには全く無かったこと。
たくましくなったもんだな、なんてのんきに思っていた私。
でも話はそう単純ではありませんでした。

話が前後しますが
幼稚園のとき、息子は仮面ライダーにはまり、
エア戦いごっこ(仮面ライダーの型を真似るだけ。実際には戦わない)が
好きな時期がありました。

幼稚園帰りの公園で
エア戦いごっこをしていると
同じ幼稚園の子がやってきて、戦いごっこを思いがけず受理されて
相手に軽いパンチを入れられる。

自分がパンチされても決してやり返さない、返せない。
息子は泣き出し、もう帰る、と言う。

そんな幼稚園時代でした。


そのため

小学校に入ってから
遊びの中での多少の叩かれ具合なら「息子を鍛える良い機会だ」と思い、
見守っていたのですが
彼にはとてもキツイ状態だった、と私は後から知ることになりました。



ついにその日が来た

ある日の朝、布団から出ずに
小さな声で
「今日、学校行かなくて良い?」と聞いてきた息子。

わたしはその言葉を聞いたとき初めて
学校が息子にとって
非常にキツい場所になっているのだと知りました。

何でも聞く態勢で息子に接していたつもりでしたが
小学校でこんなことがあった、と
わたしに言わなかった/言えなかったのは何故か。

母親に悩みを見せまいとしたのか、
もしくはどう伝えたら良いのか、わからなかったのか
私を悲しませる、と考えたのかもしれない。

または移住して入学した小学校で
自分がうまく溶け込めないことを私に伝えることで
私ががっかりする、と思ったのかもしれない。

彼は昔からとても思慮深いタイプで
「これを言ったらこの人を悲しませそう」
「これをしたら相手はイヤだろう」ということを絶対にやらない、言わない
大人びたところがある子どもだったから。



母親の思い込み

「自分の子どもをよく観察して、その子の特性を伸ばしてあげよう」という幼稚園に通わせていたので
子どもをよく観察していたつもりでしたが

母親であるわたしは、
幼稚園のときも
小学校へ入学した後も
彼の心が全く読めないままだったと気づきました。



不安


不登校になって何ヶ月か
家の中で息子は暗い表情で
1日を過ごしていました。

心の中でいろんな葛藤と考えが入り混じっているように見えて
彼の心の痛みの大きさを思いました。

そんなに学校に行くのが辛い状態だったのか、、

どうして気づいてあげられなかったんだろう。

不登校になる半年くらい前にクラスの先生から
「息子さんは自分の気持ちや意見を友達にうまく言えず、
遊んでいる最中に泣いてしまうことがあります」との報告を
受けたことがありました。

その時こちらからは
「自分で対処していくことも生きる勉強になるので、
先生はあれこれ手出ししなくても大丈夫です」
と伝えたことがありました。

間違っていたのだろうか、、
自分を責めました。
あのとき、先生にもっと対処してもらっていたら
違う結果になった、、?

そして
わたしは
これからどうなる?
息子はどうしたいのかな、
子どもが家にずっといることについて、近所の人になんて思われるだろう

思いあぐね、何日も泣いていました。


何かしたい、、わたしは何をすれば良いのだろう、、、



先の見えないトンネル


クラスの先生から「様子はどうですか?」と電話が来れば
「あ、家でゆっくりしてます。学校には行きたくないそうです、、、」と
言いながら息子にバレないように電話口でシクシク泣いていた。

ばあばからも頻回に電話があり
ばあば「今日も◯くんは学校に行かなかったの?」
私   「うん、行ってない。」
ばあば 「どうしたもんか、困ったねぇ、
    勉強が遅れちゃうねぇ、寂しいんじゃないの?
    地元の小学校に行けばよかったのに。」

このような会話を繰り返し聞かされ不安が増幅し、
電話口でオイオイ泣いていました。


息子からの「ママ、僕って何にもできないんだよ」
という言葉を聞いてポロポロと涙がこぼれ、、、

誰かに話を聞いて欲しい、と
精神科に電話をしたり、、

とにかく泣いてばかりの2ヶ月でした。


息子の変化

状況が変わったのは、息子が不登校になって3ヶ月ほど経った頃。

「ママ、僕、パソコンでマイクラがしてみたい」

ふいに息子がはっきりと、自分のやりたいことを言った。
何かをする意欲がでてきたのか!嬉しい!

安い中古のノートパソコンを購入。

息子はマイクラを始めた。
キーボードの操作を覚えたいと言うので
自宅にあった紙製のあいうえお表に、わたしがアルファベットを書き足し
自分でキーボードの入力をできるように環境を整えると
息子は一本指で熱心に入力し始めた。



息子が笑った。

久しぶりに!


机での勉強をほとんどしていない息子
鉛筆をほとんど握っていない。
画面の見すぎで目が悪くなるかもしれない。。

でも、、、
でも、、、、、、、


疲れ切っていた表情をしていた息子が

自分で「やりたい」と言い出したこと。

思い切りやらせてみよう。

そう思ったんです。



今まで知らなかった世界

息子が不登校になったことで
同じく子どもが不登校です、という親御さんと話す機会が増えました。

あるお母さんが話してくれたこと。
「うちの子が不登校になったとき、
ものすごく、ものすごく子どもが疲れていて。
今にも死のうとするじゃないかと心配で目が離せなかった。
学校がツラくて死んじゃうくらいなら、どれだけ家にいてくれてもいい、
どうか死なないで!そう思ったんです。」


またある人は、ご自身は不登校ではなかったが
成長過程でこのような辛さを抱えていたと話してくださいました。

「子どもの頃から
親や周りの人と自分の意見が合わなかったにも関わらず、
自分の気持ちを曲げて、親や周りの人に言われるがまま人生を送ってきた。

30代になって自分がやりたいものはこれではない、
本当に自分のやりたいことは何?わからない!! と気づいた。

そこから自分を発見する心の旅を始め、びっくりするほど沢山泣いた」


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今回、息子の不登校は衝撃の出来事でした。

でも

息子が自分の気持ちを閉じ込めずに
「やりたくないこと、やりたいこと」
「自分が許せること、許せないこと」を
表に出してくれたということは

息子が自分を発見する機会でもあった、
自分を確立していく過程で必要な出来事だったと思うようになりました。

学校へ行きながら、それを見つけられる人は幸いかもしれません。

でも息子はそういうタイプじゃなかった。
それだけのこと。



HSCの息子の特性を理解するのが難しい非HSPのわたしだが

HSCという言葉を初めて聞いたのは
息子が不登校になって
親子で行けるフリースクールに通い始めてから。

息子がHSCだと知り
私が今までわかっている、と思っていた「人間の多様さ」は
どれだけ狭く小さい範囲のことだったかを思い知りました。

HSPでない私は、
HSCの息子の気持ちを汲み取ることを難しく感じています。

息子から出てくる言葉をそのまま彼の考えとして
受け取って対処してしまう。

しかしHSCの息子は
「発した言葉以上の複雑さを彼の心の中に秘めている」と
私は最近知りました。

息子とのコミュニケーションの中では
言葉を受け止めた後、
さらに
「息子が繊細な感覚でどんな想いを抱いて発した言葉なのか」を想像して
言葉がけをしないといけない。


私はそこを理解できていなかったんです。


息子がHSCの良さを伸ばしながら
よりステキに彼らしく成長していける手助けができるよう
最近私はHSCの講座を受講するなどして学んでいます。

講座の中では
「へぇ〜、そうなの?!」と思うことがたくさん!
目が覚める思いをしている最中です。


終わりに

ここまで「不登校」「HSC」我が家の場合を書かせていただきました。

HSCに関して
HSC、繊細さんと一口に言っても
ひとりひとりそれぞれ感覚が違う、ということを知り
まだまだわたしは学びの途中です。

人間は かくも複雑な生き物で、
だからこそ面白く、愉快なこともあるけれど、諍いも起きる。

息子が成長するまでのストーリーを一緒に紡ぐメンバーとして選ばれたことを
光栄に思いながら
より俯瞰の目で人間を見ることができるよう
自分を鍛えていきたい。

そんなことを思いながら筆を置きたいと思います。

END




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