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零細経営者の思う日本の男性育休

株式会社ワーク・ライフバランスが推し進めるプロジェクト「男性育休100%宣言」に、株式会社Kitamura Japanとして参加している。

Inked宣言企業一覧-scaled_LI

当社の宣言内容は、こちらから。

◆株式会社ワーク・ライフバランスについて
2006年創業、以来14年にわたり企業の働き方改革により業績と従業員のモチベーションの双方を向上させることにこだわり、働き方改革コンサルティング事業を中心に展開。これまでに自治体・官公庁も含め企業1,000社以上を支援。残業30%削減に成功し、営業利益18%増加した企業や、残業81%削減し有給取得率4倍、利益率3倍になった企業など、長時間労働体質の企業への組織改革が強み。https://work-life-b.co.jp/

名の知れた大手ばかりにあって、「まくらのキタムラ」の存在はややヘンテコな感じはあるが、今の世の中、売上や事業規模、そんなのカンケーねぇで、大義を掲げて、それに向かい、自分たちができることを実直に積み重ねているかが問われている。自信を持てと言い聞かせ。

2021年3月現在、2人の男性社員(1名は5日間、1名は4か月間)が取得済みで目下、宣言通り。これからも、地球にとっても、人にとっても、「やさしい会社」を目指していく。

さて、この育休に関して、日本は制度は世界最高水準といわれているそうだが、取得率は、消費税の半分なのだそう。制度を導入した零細企業側の意見として、数字が上がらない理由を考えてみたい。

「だったら、普通に働いときたいっすね」

確かに、国からの補助により、当事者は6割以上の給付金を受けられ、これには社会保険が免除されるため、実質の手取りとしては、感覚的に8割くらいだろうか。たくさんの人がものすごい議論を尽くし、ここに帰結したことは明白だが、一方、たとえ2割であっても、やっぱり今の収入は絶対減らせない人もいる。仮に、育児休業中に週に数時間は働けたとして、その対価を会社から給与を支払おうとすれば、それに準じて給付額は減らされていく。ならばと、無条件で会社が2割を補填しようという提案も、相ならん、と憚られた。

つまり、どこまでいっても減収は否めないのだ。
ただでさえ、これから何かと要り様が増えていくのだから、稼げるうちは稼いでおきたい本音がある。もちろん誰にとっても抜けもれなく完璧な制度はないので致し方ない。「制度は一流」はおそらく本当なのであろう。ただ、困るのは海外の事例をそのまま日本にはめ込んで推し進めるのは無理が生じる。変革は必要だが、文化や歴史の上にそれぞれの民族は形成されてきたので単純比較はできない。

1名の男性社員は必要最低限の5日間だけ申請し、今は自宅でのリモートワークにしているため、時間の割り振りが細切れにはなるかもしれないが、育児とバランスよく働けているのではないか。これは正直、コロナのポジティブな側面といっていい。

制度を整備したが、ややもすると強制的に休みを取らされているというおかしな流れになりつつもある。有給消化は規定された日数を必ず取得させることが義務付けられたばかりだが、「会社を休んでもやることないです。。。」という社員はいるのだ。「余計にお金を使っちゃう。。。」とか。(知らんがな。)

彼らにとっては職場の方が居心地がよかったり、いろいろ都合がよかったりする。これは独身に多い傾向だろうか。(家に帰りたくて残業しているという人もいるが。)無論、育児休業していて、「やることがない」などということにはならないはずだから、本人やその家族の想いを尊重した選択肢であってほしい。当事者じゃない外野がどうこういうことではなく。

雇用側が強く、働く人の対場が弱い、のか?

ある監査法人で働いている知人の話では、社内の雰囲気として、男性が育休を取得するのによく思っていないようだ。おそらくそんな会社がまだ多くあるだろう。会社は雇用する従業員の成果に対して、対価を給与として支払う。何より、課せられた仕事をきちんと果たしていないと話にならない、と。厳しい言い方だが、「やることもやってないのに」という枕詞がついてくるのも、もっともだ。社員が貢献してくれているからこそ、抜けられては困るから福利厚生を充実させていく。お互いにイーブンの関係の上で成り立つものであり、制度があるからといって権利ばかり主張されては、たまったものではない。それを咎めた企業が非難を浴びたケースがあった。

取得率が低いのは、実は雇用主が求めていることと自身の働きと育児休暇の、それぞれの折り合いがつけられないからではないか。日本人ならではの特異な気質の表れなのかもしれない。子供ができたから、こんなことを始めました、という投稿がSNSで散見されるが、親だったら、そういうことはやって当たり前でしょう、と。がんばっていますのアピール材料として子供を利用してはいけない。

かつて伊藤忠商事の社長だった丹羽宇一郎氏が、著書「汗出せ、知恵出せ、もっと働け!」の中で、「働くとは、傍(ハタ)を楽(ラク)にすること」と説かれたのを読んで、こう解釈をした。企業規模ではなく、男性女性ではなく、キャリアや立場ではなく、働ける大人たちが一生懸命に働いて、自分や会社が納税をしたことによって、それらが還元されて世の中がより豊かになっていく。目先の私利私欲で、子供たちに明るい未来など到底残せるはずがない。ましてや自分の子供だけがよかったらいいなどという話にはならない。そこを誤解しないでほしい。

だから、わが社は、男性育休100%宣言をしたのだ。義務ではない、責任を果たそう。力を合わせて明るい日本にしよう。

まくらのキタムラ
北村圭介

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