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受け入れられやすい意見の言い方~ことタネvol.3~

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vol.1「ポジティブに伝える言葉のチョイス」はこちら
vol.2「リスペクトのキモチが伝わる話し方」はこちら

――ここは、とある会社の、とあるオフィス。そこにいるのは、人間の会社員「アオイさん」。え、なんかちょっと今日は怒ってます?

アオイ:同期のカオルさんから企画書のたたき台を見てほしいって頼まれたんだよね。それで「カオルさんの企画はここがわかりにくいよ」って意見を言ったら、ちょっとムッとされちゃった。せっかくアドバイスしたのにさ。

ポワワワ

なぞ:どうも、いつもお世話になっております「なぞの生命体」でございます。

アオイ:営業の人みたいに来た。

なぞ:同僚に意見を言ったらムッとされてイラっときたと、そういうわけですね。

アオイ:そうなんだよね。企画書を見てほしいって言ってきたのは、カオルさんのほうなのにさ。

なぞ:なるほど……

アオイ:私の指摘は正しかったと思うんだよね。それなのに聞き入れないなんて、おかしくない?

なぞ:同僚カオルさんは自分から意見を求めたにも関わらず、アオイさんの的確なアドバイスに拒否反応を示した。それは間違った態度なのではないかと、アオイさんは思っているんですね。

アオイ:そうだよ~だってそうじゃん。あそこはどう見てもわかりにくかった!

なぞ:たしかに、アオイさんの言うことも間違っていないと思います。その上でですが、コミュニケーションってのは、50:50なんですよ。

アオイ:どういうこと?

なぞ:聞く人と話す人、どちらかだけが努力したり譲ったりしなければならないわけじゃない。聞く人の聞く姿勢、話す人の話す姿勢、どちらも大切なんです。ただ、自分が話し手のとき、相手の聞く姿勢はコントロールできないですよね。だからこそ、自分が話し手として、相手ができるだけ聞き入れやすい言い方をすることが大事なんです。

アオイ:なるほど、話す内容だけじゃなくて、言い方にも工夫が必要だってことか。

なぞ:そう。特に、今回のように意見を言うときなんかは、ね。

アオイ:じゃあ、どういう言い方をしたらいいの? 私「カオルさんの企画はここがわかりにくいよ」ってやさしく言ったつもりだったのだけど、それじゃダメなの?

なぞ:ダメなわけではないですが、ちょっと上から目線に聞こえてしまったかもしれませんね。人によってはそれを気持ちよく思わないかもしれません。今日は、アドバイスしても上から目線に感じられない、相手にとって受け入れやすい意見の言い方をお伝えしますね。

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なぞ:「カオルさんの企画はここがわかりにくいよ」という言い方がなぜ上から目線に聞こえるかというと、指摘や評価をしているように感じられるからです。そうならないようにするためには、こんなポイントをおさえましょう。

スライド2

1.「自分」を主語にする
「カオルさんは」というように相手を主語にした言い方だと、相手に対して評価を下しているように感じさせてしまいます。自分を主語にすれば、簡単にそれを避けられますよ。

2.「感想」として伝える
「ここがわかりにくいよ」という言い方だと指摘になってしまいますが「ここがわかりにくいと思う」のような形式にすると感想として伝えられます。

具体的な例を説明しますね。

スライド3

なぞ:「こうしたほうがいいですよ」だと指摘や評価になりますが、「私は」と自分を主語にして、最後に「思いました」をつけると、自分の感想というかたちになって上から目線じゃなくなります。

アオイ:なるほど、ちょっと言葉を変えるだけで、印象が大きく違うものなんだね。

なぞ:そうなんです。こちらなんかも……

スライド4

なぞ:「感想」であることを明確にすることで、指摘や評価っぽさがなくなりますね。そしてさらに、

ことタネ3_意見

なぞ:「使いにくい」ではなく「こうしたほうが使いやすい」というポジティブな表現に置き換えることで、さらに相手には受け入れられやすくなるでしょう。

アオイ:そうか、私が言った「カオルさんの企画はここがわかりにくいよ」は「ここをもっとこうしたらわかりやすいと、私は思ったよ」みたいに言えばよかったんだなあ。

なぞ:そうそう、さすが理解が早い。

アオイ:でも、もう今さら言い直せないよ~~

なぞ:そうですかね。たしかに言った言葉は取り返せないけれど、コミュニケーションは続いていくんですよ。

ー-翌日ー-

カオル:……アオイさん、おはよう。

アオイ:お、おはよう。

カオル:あの、昨日はごめんなさい、せっかくアドバイスしてくれたのに。

アオイ:え、あ、いや、私こそごめんなさい、言い方が、その、悪くて……

カオル:いえいえ! アオイさんが言ってくれたところを修正して主任に提出したら、そこが特にわかりやすいってほめられたんだよ。だから、ありがとう!

アオイ:そうなんだ、いやいや、そんな……でも、よかった! そうだ、私もね、昨日あれからカオルさんのおかげで勉強になったことがあったんだ。

カオル:そうなの?

アオイ:あのね、意見の言い方のコツっていうのがあってさ、なぞ に教わったんだけど。

カオル:えーっなになに? ってか、なぞ ってなに?

アオイ:あっ、なぞ はおいといて……コツっていうのはね……

――どうやらアオイさん、同僚のカオルさんに「受け入れられやすい意見の言い方」を教えてあげたみたいですね。しかし、カオルさんにとって なぞ の存在はまだ謎のままのようです。

というわけで、今回はここまで。北村朱里のマガジン「明日の仕事が楽しみになる ことばコミュニケーションのタネ」次回11月14日更新のテーマは「部下や後輩への指導・注意の仕方」です。お楽しみに!

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