中学生に愛()の物語はまだ早い。



--今から約10年以上前のこと。

僕には歳の離れた姉が二人いてたまにゲームで遊んでくれた。
最新型のゲームはなくてもスーファミ、64、プレステで楽しんでいた。
小学生、中学生時代。しかしソフトを買う余裕もなく、
姉の所有するゲームで楽しむ日々。

「闘神伝」ではホー・ファイを使い、CPUを片っ端から倒していく。
荒れ狂ったポリゴンの「ハリーポッターと賢者の石」では序盤の
ウィーズリー兄弟の悲鳴が聞きたいがために時間をかけて
ボコボコにしまくって遊んでいた。

そんなある日、ソフトが増えていたことに気づいた僕が手に取ったのは


「ダブルキャスト」と「ときめきメモリアル~Forever with you~」


「ダブルキャスト」は見た目的に恋愛シミュレーションかと思い、
お姉さんとキャッキャウフフができると子供ながら、ニヤニヤしながら起動。
かなりウキウキで進めていくと、おかしなことに気付き始める。
物語の方向が良からぬ方に行っていると直感する。
徐々にきな臭くなってもとりあえず目を背ける。
しかし間違えた選択肢に行ってしまい、
思春期の中学生に簡単には忘れられないトラウマを植え付けられてしまう。
一人、また一人と犠牲になっていく。
とても心にダメージを与える作品でした。
というか、変な癖に目覚めてしまったのかもしれない作品の一つです。

成人を迎えた今でも忘れられず、いまだに保管してあります。
大人になった今、再度味わいたい作品の一つです。
きっと以前は見えなかった世界や魅力があるはず。


もう一方の初代「ときメモ」は途中で一人の男を求めて女性同士が
流血しながら 決闘し、最後に残った一人と結ばれる作品になっていく
……わけもなく、純粋なギャルゲーでした。

しかし、時代背景やら、攻略法が分からず、当時はスマホもなく、
ネットもそこまで一般的でもなかったため、調べようにも調べられず、
ひたすらトライアンドエラーの繰り返し。

「ギャルゲーなんて簡単だ」

「それぞれの女性に合わせて好感度あげてくなんて余裕っしょ」

と、イキっていたのは最初だけ。ステふりも難しければ、好感度上げも難しい。
好感度が上がっているのか下がっているのかもわからない。

どうしても幼馴染で、校内のアイドルである藤崎詩織を落としたいと
何度も挑戦するも絶対に振り向いてくれず、一人寂しく卒業したり、
何度もぶつかってくる謎の女・館林(可愛い)に告白されたりと
挫折を味わう日々。

マッドサイエンティストの紐緒に心を奪われかけたり、
早乙女や伊集院の何度プレイしても変わらない絡みに暖かさを感じつつ、
いつもバチバチな伊集院のことを気になり初める自分もいたりと。
しかし、こいつは男だから俺じゃダメだよなと悶々としたこともありました。
(その数年後、伊集院レイの本当の姿を知り、胸が熱くなった)

そして50回ほどやり、いいところまで持っていき、後少しでエンディングというところで、現実世界で風邪を引いてしまい、ゲームを休むことに。

もう、後は時間の問題だったので、ちゃんと休んで、後日改めてプレイする。

ウキウキでプレステの電源ボタンを押し、手汗を拭いてコントローラーを握る。

数々のヒロインたちの誘惑に打ち勝ち、詩織だけを追って来た日々。

部活の後に帰ってきては電話をかけ続け、デートに誘う日々。

一人で涙したあの日にさよならを告げる。もうこれからは一人じゃないーー。

苦労の軌跡である走馬灯が見え、ついに最後の場面。

俺はようやく詩織とーー

伝説の樹へ急ぐ。そこに待っていたのはーー










お前かい、館林!


どこで間違ったのか、わからないし、最初から間違っていたのかもしれないが、

結局当時は一度も詩織(その他も)を攻略することができなかった。

思春期真っ只中の自分にとって恋愛とはこんなにも奥深く、
難しいものなのだと教えてくれた作品だった。

今だったら、攻略サイトを見ながら、悠々と一人、また一人と落としていく、
悪しき大人になってしまっている。

あの頃の全力だった自分にもう一度会いたいので、ソフトを引っ張り出し、






伊集院レイを攻略したいと思う。





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