Twitterの鍵垢とプライバシーの話

世の中ではTwitterは鍵垢にして内容が知られなければいいとか、知られて困るようなことを呟かなければいいというような人もいるようであるが、私は全くそのように思わない。

というのも、私がまさしくそうだからなのだが、TwitterないしLINE,facebookをやっていること自体がすでに秘匿したい情報である人もいるのではないだろうか。

例えば、あまり仲良くない知り合いや、職場の上司などに、もしSNSを介して自分とコンタクトを取りたいと思われた際に、TwitterやLINE、facebookをしていることが知られていたら、大抵そのアカウントを訊いてくるだろうし、今後の付き合いを考えたら断るのも難しいだろう。

つまり、誰に聞かれても困らないという奇特な人を除けば、自分がある特定のSNSサービスを利用していること自体、情報として重要で、内容が知られなければいいという問題とはならないと私は考える。

第二に、これは自分の思想等の表現としての話であるが、自分が情報発信する内容は、それが他者の利益を害するものでない限り、つまり公共の福祉に適合する限り、本来自由なものである。政治の話も宗教の話も贔屓の野球チームの話も、僕にもあなたにも保障されている。どこかの店の接客が悪かったとか、映画がつまんなかったとか、お金を払ってサービスを受けているものに関しても同様なはずである。

しかし、それが知られると、人間関係が悪くなるのではないか、阪神ファンに絡まれるのではないか、行きつけのメイドカフェのメイドが俺にだけ冷たくなるのではないか。だから言わない、もしくは、安全性がある程度担保されているであろう場で言う。リスクはあるが、表明の方法自体はある。

だがこれは、私は一種の言論統制ではないだろうか。本来自由に言えるハズのものが、公然とは言えないばかりか、そもそも表明できない可能性もあるのだ。

だからこそ、ネットのような、匿名の立場としてモノを言うことができる、SNSがこんなにも普及しているのではないか。自分の特定されうる情報をうまくカモフラージュしたり、フェイクを入れ、または選択し、SNSで自由に意見をいい、炎上したり、支持されたりする。あまりにひどいと現実世界へも影響を及ぼすことはあるが、どんなツールであれ、間違った使い方というのは存在するし、それは自己責任である。

ただ、私が許せないのは、個人情報を扱うことが可能な立場の者、例えば会社の上司や、就職活動における人事、その他公共サービスの利用に従事する者などが、その立場によって知りえた情報を用いて、ある程度カモフラージュされた個人を特定し、リアルとバーチャルを繋ぎ、SNSを利用していることを突き止めたり、つぶやきの内容を自粛させることである。これらは、表現に対する規制に他ならないと私は思う。

無論、今あげたような例であれば公権力による監視や表現規制とは言い難く、特にTwitterを始めとするSNSに対する日本社会の一般的な考えは、「じゃあ言わなきゃいいじゃん」という立場が法律的にも幅を利かせているようで、私が調べたところでは罪にはならない。

しかし、もし誹謗中傷した際は、名誉棄損になってしまう可能性がある。

「公然と事実を摘示」し、「人の名誉を毀損した」者には,「その事実の有無にかかわらず」名誉毀損罪が成立しうる(刑法230条)

ので、読者の皆様にはくれぐれも気を付けてほしい。

あと、必要かは全く存じ上げませんが、この名誉棄損罪には違法性阻却事由もあるので、あくまで参考として以下に載せておきます。

第230条の2
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

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