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キリンに雷が落ちてどうする¦品田遊

まず僕は作者の品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)のことを心から尊敬している。作者が同僚のライターARuFaとやっている匿名ラジオを聞くことが毎週の楽しみなのだが、何度も脱帽したくなるほどの思考や言葉選びを見せてくれる。どこかニヒルで独特でかつ面白く、品田遊特有の視点に感嘆させられることがよくある。うわあ、分かるわぁのど真ん中ではなく、そこを掠めてくるような。うっわ、確かにそうだわ、と気付けばじわりと深く食い込んできているような思考をぎこちなく披露することに長けている。主審によってストライクかボールかが変わる境界線を射抜いてくるのだ。
本書はそんな作者が2018年から毎日投稿をしている日記から厳選、加筆修正、再構成された、品田遊の日々の思考を浴びることができる1冊だ。ダ・ヴィンチ・恐山のことも、品田遊のことも知らなくても、一個人の複雑な日々の思考の羅列を第三者的視点で読むことが単純に面白いので心配は無用。そこに品田遊というニヒルなエッセンスが含まれることでさらに面白さを助長してはいるのだけど。とにかく面白すぎて僕は好きな文章にマーカーで線を引いたりもしている。
どちらかというと私は、分かるわ〜よりもその視点オモロ〜となることが多い。
本書に触れ、著者の品田遊という人物に興味が湧いた方は他出版物や様々なメディアで彼の不器用な思考(愛を持って不器用と書いている)を楽しむことができるので、是非。
兎にも角にも1ページ目の「はじめに」という目次よりも前に書かれた一節をまず読んで見てほしい。
他人の一日の思考でしかないのに、僕はどこか他人事ではないと直感させられた。先述した、分かるわ〜という共感とも少し違うので、読んでいただくしかないのだけど。
それくらい、本書には特定の人種を強く惹きつける作用がある。

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