猫のきなこと、うさぎの道明寺。ふたりだけでいる時は、かの子(お世話係)がいる時よりもすこしだけおしゃべりです。寝る前に読める、穏やかで心のざわつかないお話。(に、なる予定)
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2018年3月の記事一覧
おしゃべりは、いつもふたりで(3)
『二本足サイド(1)』「あら、きなこチャン。お久しぶり、元気ぃ?」
頭のてっぺんから噴出したような高い声で、母はきなこにあいさつをした。
「相変わらずゴージャスなしっぽねぇ。襟巻きにしちゃいたい」
シルバーフォックスの襟巻きを外して壁のハンガーにかけながら、うふふと笑う母。彼女を見るきなこの視線はいつにもまして冷たい。
「で? こっちの黒いうさチャンは……さくらチャンだった?」
「道明寺だ