見出し画像

のらねこ旅日記≪プチ・豪華客船の旅≫

  アメリカの9.11テロ以降、空港のセキュリティが厳しくなりました。
あの小さいモルディブ空港でさえも、乗客以外の入場を禁じるようになりました。(以前は旅行代理店の人がいろいろと空港で手続きしてくれていました)
  そんなわけで、海外に行かなくなった私と友人A ですが、珍しくA の方から、夏休みの旅行プランを持ってきました。
『横浜の花火を観る2泊3日豪華客船の旅  神津島』
  豪華客船『飛鳥』で横浜の花火を観てから、神津島に行き、海水浴やトレッキングを楽しむ、夏休みファミリー向けプランでした。
『豪華客船には興味がある。しかし、私の最大の弱点の船酔いが怖い』
と、私は悩みましたが、日程が短いことと、酔い止めの効果を信じて、参加することにしました。
  料金は船室のランクによって6段階にわかれていて、2泊3日の旅にしては、やはりお高かったので、私たちは下から2番目のお部屋にしました。
(それでも、ハワイに行ける料金でした)

  旅行初日、私たちは横浜港に着岸している豪華客船飛鳥に乗り込みました。
船内に入った私は足元がなにかフワフワしている感じがして
「やっぱり、揺れている気がする」とAに言いうと
「えっ?船停まっているでしょ。これで揺れているなんて、ホントにあんたは精密機械だね」と、また笑われてしまいました。
  私たちの部屋は、甲板よりも下ですが四角い窓がついていました。
(1番安い部屋はさらに1階下で丸い小さな窓です)
部屋も思ったより広くトイレ、シャワー付きでした。(日本の船なので他に大浴場もあります)
  豪華客船なので、ちゃんとドレスコードがあり、スマートカジュアルまたは、(花火大会なので)浴衣も可となっていて、1人で浴衣を着ることができるAは早速浴衣に着替えました。
  夕食のレストランでは、大きなテーブルを他のお客さんと一緒に囲む形式でした。
『船旅は、社交的でない人にはむかない』と、何かで読んだことがありますが、同じテーブルだったお客さんたちは、年配で旅慣れた感じの人ばかりで、私たち若輩者(そこそこいい年ですが)にも、気軽に話しかけてくれました。
  お客さん同士の会話からも、豪華客船の常連さんのようでした。
  他のテーブルをながめてみると、祖父母と若夫婦と孫といった感じのお客さんも何組かいて
『やっぱり、ファミリープランなんだな』と思いました。
  夕食が終わると、いよいよ甲板で花火見物です。
見やすい場所にイスがならべられていて、ビールサーバーやおつまみも用意されていました。
  事前の席取りはしないように、と注意書きがしてありましたが、数名のオバサマ方がイスにハンカチをおいたり、ひじ掛けに縛りつけたりして席取りをしていました。
でも、すぐにスタッフさんが席取りハンカチをどんどん回収していて
『さすが!豪華客船!席取りなんて下品なまねは許さないのね』と思いました。
  船上で観る花火は最高でした。
私たちの船のまわりには、屋形船や小型のクルーザーが寄ってきて、何故かこっちに向かって手をふるので、とりあえず手をふり返してみたりしました。
  花火の途中で、後ろの席からこんな会話が聞こえてきました。
  年配のご夫婦のやりとりで
「部屋に戻ってナイター観ていい?」
「まったくもう!しょうがないわね、お父さんは…」
『お父さんは家に居たかったのかな?』と思いました。
  花火が終わると、船は神津島目指して出港しました。
  甲板を散歩していると、ジョギングしている人がいました。
船のホールではダンスパーティーが行われており、熟年のお客さんが社交ダンスを踊っていました。
以前、上司の定年退職パーティーで、科長さんが踊っていたことを思い出し『あの年代の人はみんな踊れるのかな』と思いました。
パブでは『船上のマジシャン』さんが、お客さんの目の前で、テーブルマジックを披露していました。
  斜め後ろからのぞいて観ていましたが、全然見破ることができませんでした。

  翌朝、船は神津島沖に停泊していました。(船が大きいので港に入れません)
神津島にはボートで上陸します。
私たちも海水浴の準備をして、ボートに乗り込みました。
  神津島の海水浴場には、やはりファミリーのお客さんばかりで、客船のスタッフさんたちが、スイカ割りなどのアクティビティを用意していました。
  私たちのパラソルの斜め後ろには、テントを持参してきた親子3代ファミリーがいました。
  小学校低学年のお姉ちゃんと弟くんが砂遊びをしていると、アクティビティのスタッフさんが
「スイカ割りやりま~す」と声がけしました。
お姉ちゃんは、スイカ割りに行きましたが、弟くんは砂遊びを続行していました。
お母さんや、お祖母ちゃんが行くようにすすめても、弟くんは動きませんでした。
すると、お祖母ちゃんが
「せっかく高いお金をかけて来ているのに、もったいない…」とグチり始めました。
『それは、子供には関係ないでしょ、お祖母さん』と、思いました。
  お昼、ボートで船に戻って食べるのが面倒くさかったので、私たちは海水浴場の浜茶屋でラーメンを食べて、午後も海水浴を楽しみました。
  船に戻ると水着の塩抜きを兼ねてデッキのプールで泳ぎました。
なんかゆったりとした1日でした。

  翌朝、朝食をすませて少しすると、船は横浜港に到着し、私たちの短い船旅は終わりました。
  船はあまり揺れなかったので、船酔いはしませんでしたが
『これが本格的な海外クルージングだと、私にはちょっと無理、これくらいがちょうどいい』と思いました。
  そんな私の思いなどお構いなしに、
その後10年間、毎年旅行代理店からクルージングのパンフレットが送られてきました。

  



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?