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のらねこ日記いきもの編鳥好きの家

  高校生物部の友達で、家の庭に鳥小屋がある子がいました。
そこでは、数羽のセキセイインコさんが飼われていました。
  ある日、その庭に大きな見慣れぬ鳥が舞い降りました。
  キジくらいの大きさでしっぽが長く、
ウズラのように地味な色味のその鳥は、キンケイチョウ(金鶏鳥)のメスさんでした。
  どこかから逃げてきたのでしょうか?
仕方なく、友達はそのキンケイさんを鳥小屋で飼い始めました。
  すると、数の優位でインコさんたちは、新参者のキンケイさんをいじめ始めました。
  基本、インコさんたちは、止まり木の上、キンケイさんは地面と、住み分けができるはずですが、インコさんたちは、時折降りてきては、自分達より数倍も大きいキンケイさんを、つついたりしていたそうです。
  それから少したって、第2のキンケイさん(メス)が庭に舞い降りました。
  どこかでわざと逃がしてるんじゃないか?と、思いつつも、友達一家はその子も保護して飼いました。
  キンケイさんが2羽になったことで、インコさんたちのいじめはおさまりました。
  それから数年後、地味なキンケイさんたちに、キレイな赤い羽根が生え始めました。
  動物園に電話で聞いてみると、年をとって、ホルモンバランスが崩れると、羽根が雄化するとの事でした。
  その後、キンケイさんたちは、亡くなり、残ったキレイな羽根で友達は、コサージュを作りました。

  インコさんたちもいなくなり、日頃、庭の手入れが大変と感じていたお母さんの意向で、友達一家はマンションに引っ越しました。
  ある日、ベランダに出たお母さんの頭の上に、1羽のセキセイインコが飛んできました。たいそう人馴れしていて、
おまけに「ぴーちゃん、かわいい、ぴーちゃん、大好き」としゃべりました。
  一応保護して、マンションの掲示板に『迷子インコ保護しています』のポスターを貼ったりしましたが、飼い主は現れず、ぴーちゃんは友達の家の子になりました。
  ぴーちゃんの言動から、元の飼い主さんは、男性でぴーちゃん相手に晩酌をしていたのでは?と友達は推理しました。
  何故なら、友達(お酒に強い)が水割りを飲んでいると、ぴーちゃんは飛んできてグラスの縁に止まり、ウイスキーを飲みました。そして友達がグラスを取ろうとすると、羽根を広げて威嚇するのでした。
  一方、お母さんは、ぴーちゃんに新しい言葉をおぼえさせました。
「ママ、ママ、大好き!」と。
  鳥好きのお家には、鳥さん自ら舞い降りるというお話でした。

インコと晩酌

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