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演奏家が開業届を出すタイミング

自分の仕事を仕事とする準備はしていますか?

音楽大学を卒業するからと言って、誰しもが演奏家として生きていけるわけではありません。
まずはその気持ちがあるかどうか、という当たり前のことを自分自身と向かい合って考える必要があります。

何故ならば、その仕事をきちんとする、ということはそれなりの手続きが必要になるからです。

とは言え、特に何か手続きをしなくても、演奏の仕事も指導の仕事もすることができます。
しかし、それらについてきちんとした準備と勉強をしているかどうかで、その先の自分への信用度がどの程度のものになるかが変わってきますし、自分を守ることにもなります。

当たり前ですが、何かをすることによって報酬を得たのであれば、その報酬に対してほったらかしにするのではなく、何か取るべき対処を取らなければ運が悪いと大きなしっぺ返しを食らうことになりますよ、ということです。

少しずつ紐解いてみましょう。


卒業前であっても卒業後であっても起業は可能。大事なのは、「手続き」をするかどうか。


例え話として、私の話を・・・。

私は、音楽大学4年生の時に音楽教室の講師になるためのオーディションに受かり、9月から楽器店が運営する音楽教室の講師になりました。

わーい!やったぁー!
と、喜ぶだけでも良かったのですが、私の実家が自営業ということもありすぐ母に言われました。

『開業届を出しなさい。青色申告会にも入りなさい。』

さて、ではここで疑問に思うのが、「開業届は絶対に出さなければいけないの?」ということ。

A. そんなことはありません。出さなくても罰則はありません。

【基本的には開業してから1ヶ月以内に開業届を出すこと】という決まりがありますが、出さなくても仕事はできます。演奏家が開業届を出すことのメリットはきちんとありますが、それよりもデメリットをしっかりわかっていた方が良いでしょう。


演奏家が開業届を出さないデメリット

個人事業主という言葉を聞いたことはありませんか?
フリーランスもおよそこの個人事業主に含まれるものです。
個人事業主は開業届を税務署に提出するすることで、個人で事業を始めた人として独立したことになるのです。
すなわち、その手続きをしていない人は、自身の事業をきちんと形として成り立たせていない人として扱われても仕方がないということです。

そして、開業届を提出し個人事業主となると、毎年3月に確定申告する義務が発生します。
確定申告についてはまた別に詳しく書きますが、確定申告をきちんと終えるためには、それなりの確定申告に対する知識を深めることや税金に対する勉強を最低限はしなければならないということです。

その作業をめんどくさがらずにきちんと取り組んでいるのが個人事業主ですので、それをやっていないということは、のらりくらり面倒なことから逃げているだけの人、というレッテルを貼られても文句言えません。

個人事業主としてきちんと開業届を税務署に提出し、毎年確定申告をしている。それだけで社会的信用度が変わってきます。

演奏家はフリーな人間だから自由に生きないと!、と適当なことばかりしていると、どんどん肩身の狭い生き方しかできなくなっていくでしょう。
40代にでもなれば、十分にだらしのない人間として扱われます。

演奏家として生きていきたい。そして、行く行くは、自分の活動をどんどん広げていきたい!

そう思ってるならば、演奏家としての収入が発生した段階で、開業届を提出するべきか否かをしっかり考えましょう。


音楽に関する収入なら全部該当する?開業届出した方が良い?

例えば学生の時、卒業した先輩がリサイタルを開催する時に受付の手伝いをした。としましょう。

そして、そのアルバイト代として7,000円受け取りました。

この場合、この7,000円は継続的な収入ではなく、一時的なものですので、これに対して報酬を得たからと言って開業届を出す必要はありません。

また、学生時代もしくは卒業後にJazzBarのようなところでアルバイトをして生計を成り立たせている時も、音楽に関係する仕事だからといって開業届は出す必要がありません。この状態は、雇用されている状態で、自身が事業を成り立たせているわけではありませんから。

またまた私の話になりますが、私が大学4年生の時に始めた楽器店の音楽教室の講師、これは私がその楽器店に就職したわけではありませんので、社員ではありません。アルバイトでもパートでもありません。
業務委託のような形になるので、私自身が個人事業主として確定申告する必要がありました。 

当時の私としては、何もわからず母の言うがままに開業届を提出しましたが、提出して正解だったと言うことです。

社員なのかアルバイトなのか、または業務委託なのか。
契約の段階で自分自身の雇用形態はしっかり確認するのもポイントです。

私のように教室の講師をするわけでもなく、単発の演奏の仕事や単発の指導の仕事のみで、安定した収入と言えるのかいまいち不安な場合もあると思いますが、この仕事でやっていくという決意があるならば迷う必要はないと思います。
迷わず開業届を提出すべきでしょう。
個人事業主の開業届と廃業届は、法人のそれよりも手続は非常に簡単です。
迷った結果、タイミングを失ったら特に青色申告の場合には勿体無いことになりかねません。

と言うのも、青色申告の場合、開業届を出してから2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があるからです。


次回は、青色申告と白色申告について、演奏家が知っていた方が良いことを書きたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。




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