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ここがすごい!高校魅力化による地方創生3つの事例

全国に広がる高校魅力化プロジェクト。
島根県立隠岐島前高校の成功事例から始まり、様々なまちの変化を生み出しています。

高校魅力化とは、地域ごとにいろいろな意味合いで使われていますが、僕はこう考えます。

『地域の強みを生かして、ここでしか得られない学びをつくること』

これにより、高校に目的意識を持って進学してくる生徒を増やす取り組みです。

なぜ高校魅力化が地域に必要かというと、理由は二つあります。

一つは、高校がなくなってしまうと、地域の衰退につながるためです。

遠くのまちまで通学する負担が増えたり、子どものいないまちからいっそ引っ越してしまおうと、子育て世帯が都市へ流出してしまう要因になったりします。

地域から子どもが減ると、活気がなくなるだけでなく、公共交通が維持できなくなったり、働き手がいなくなったり、いろんな地域の課題につながっていくのです。

もう一つは、高校生には地域を変える力があるからです。

例えば甲子園に出場したら、試合のときなんてまちの仕事を止めてしまうほどの力があります。

特色ある授業で高校が有名になれば、生徒たちはまちの誇りになります。小さなボランティアだって、子どもたちが考えたことなら大きなことです。

子どもたちのチャレンジは、地域の大人たちの刺激になります。「負けてられない!」と。
まさに、地域のエネルギー源なのです。

学びとは、教科書に書かれていることはほんの一部であるはずです。

挑戦し、行動することによって得られることがたくさんあります。数々の失敗を通して得られるものがたくさんあります。教科書では教えてくれない、将来のため、生きていくための学びを得られるのが高校魅力化です。

今回はそんな高校魅力化を進め、地域に変化を起こしている3つの事例をご紹介します。

以前の記事では、高校魅力化を全国に広げた島根県立隠岐島前高校、「奇跡の学校」と言われ美術と木工芸といったものづくりを学べる音威子府村立北海道おといねっぷ美術工芸高校の取り組みをご紹介いたしましたので、ぜひご覧ください。

イベントでは即完売!食を学び、高校生レストランを運営する三笠高校

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北海道内で唯一の食物調理科がある三笠高校。当初は道立高校でしたが、定員割れが続き、廃校の危機が生じたため、三笠市が運営を引き継ぐことにしました。

このままだと生徒数の多い隣町の高校にみんな進学してしまう。特色が必要と考え、北海道の産業の大きな柱である「食」と「観光」を活かせる調理の専門科をスタートさせました。

食の学校。調理技術だけではなく、スウィーツづくりや商品企画といった食にまつわる幅広い分野を学ぶことができます。

イベント出店も行います。北海道のハイレベルな商品が並ぶなか、いつも数十分で完売してしまいます。

商品企画、デザイン、調理、販売まで一連の流れを全て体験しながら学ぶことができるのはすごいですよね!

地域とのつながりも強く、交流活動には積極的に参加し、住民と直接触れ合い、日頃の感謝を伝えています。また、市内のお店とコラボして商品開発するなど、まさに高校生が地域の主役になっています。

地域の中で活動しながら、高校生は成長を重ねていき、「調理技術コンクール全国大会」の北海道代表に選出されたほか、「全国高校生食育王選手権大会」でも優勝。「スウィーツ甲子園」でも優勝という、数々のコンテストで結果を残しています。

その集大成の場として、「高校生レストラン」を運営しています。

和食を中心に提供するレストランは、数時間待ち、満席が続いていました。ここでは、生徒が作ったケーキやスウィーツ、パンなども販売しています。料理体験ができるところもあって、子どもから大人まで楽しめます。

僕も行ったことがあるのですが、昼頃に着いたらレストランは満員で数時間待ち、料理教室も親子で賑わっていて、パンも売り切れ間際でした。

高校生の力で、今まで人の流れが全くなかった場所に人が押し寄せ、まちに活気を与えています。

国際観光課を創設!英語と観光を学び高校生ホテルに取り組む白馬高校

白馬高校はスキーの強豪校として有名な高校。少子化や人口減少によって最盛期の半数ほどまで生徒数が減少し、分校化、統合、廃校の対象となっていました。

近隣の白馬村と小谷村は、地域存続のために白馬高校を守ることを決断し、高校魅力化をスタートさせました。

長野県教育委員会は地域の願いに応える形で、平成28年度から国際観光科を新設。生徒の全国募集を開始しました。

国際観光科では、「世界をつなぐ人材」となるための実践的な英語や異文化理解教育、観光の知識や技能を学ぶことができます。

白馬以外の生徒が生活している寮を視察させていただいたときは、生徒自ら案内してくれました。それだけで、いかに生徒が主体的に学んでいるかを感じました。

寮監の方は、いかに生徒が充実した生活ができるかを考えて、みんなで料理をしたり、地域ボランティアをしたりと、いろんなイベントを生徒と企画していました。

寮から生徒会長を出そう!とみんなで話し合っていると言っていたのが面白かったですね。

国際観光科では、自然豊かで外国人観光客も多い白馬のフィールドを使って、ツアープランづくりといった取り組みを行っています。

その集大成として、高校生ホテルの取り組みを行っています。

本物のホテルを使って、高校生がホテル業務を担って、お客様をおもてなしする取り組みです。

僕らが泊まるときに見えているのは、フロントでのチェックインや清掃くらいですが、裏側にある見えない部分の運営も体験します。

実際のアクションから学べることは、本当に多いです。この数日で、緊張したり、イメージ通りいかなかったり、たくさんの失敗を重ねた分、たくさんの学びを得ることができます。

こうして学んだ生徒たちが、次の白馬の担い手、もしくは全国の観光地で活躍する日は近いかもしれません!

働きながら学ぶ。大学進学資金を自ら貯め、社会経験を積める天売高校

北海道にある人口300人ほどの天売島。
天売高校は、全校生徒10名という超小規模高校なのですが、その取り組みに注目が集まっています。

多くが島外から進学してきています。天売高校は夜間定時制なので、島の地場産業に従事し、働きながら学んでいます。島外から来た生徒は、当然一人暮らしなので、急遽の自立ですよね!

また生徒数10名に対し、教職員は12名なので、密度の濃い授業を受けることができます。

300人の島に、若い子は少ないです。産業の担い手もおそらく少ないでしょう。その中で、生徒が地場産業を支え、成長しながら活躍していく、まさに『地域の主人公』なんです!

稼いだお金を大学進学のために使う生徒もいるそうで、お金が理由で大学進学が難しい場合でも、島の方々に支えながら、自ら道を切り拓き、社会経験や人付き合いを学び、誰よりも深い学びを体験しながら、大学そして社会に羽ばたいていくことができるのです。

高校魅力化を通した地域の未来づくり。地域の魅力発信や課題解決を高校生が主体的に取り組むことで、確かに地域が変わりつつあります。

高校時代に過ごした場所は、「故郷」と感じることが多く、将来にも関わりたいと考える生徒が多いという研究結果もあります。地域の大人と深く関わるほど、その想いは大きくなるということです。

チャレンジのレベルはステップアップ。高校生のときに、小さなことからチャレンジできる風土があることは大事なことだと思います。高校魅力化の後、地域を本当の意味で変えていくプレイヤーが現れてきたらいいですね!

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