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ちょっと名古屋城下できしめんを

名古屋へ行く用事ができた。前にきたは和歌山まで那智の滝を見に行ったときに乗り換えるために寄ったくらいで、その前はたしか、ゼップまでライブに行った気がする。たしかひつまぶしを食べたような。正直あまりよく思い出せない。最近になっていろいろ出かけているけれど、コロナ禍が始まってから、前にあったことがぼんやりしている。

数時間ほど暇になった。どこか喫茶店に入ってゆっくりするかな、とか旅先で銭湯に行くのが好きなので探すか、といくつか検索したりした。

いやそれはちょっともったいないぞ、次いつこれるかわからないし、少しは名古屋観光しなくちゃ、と思い直し名古屋城まで行ってみることにした。

ところで城についてあんまり思い入れがない。けっこう周りには城好きがいて、どこそこに行った、とかと話を聞く。いつも「ふーん」というくらいの薄いリアクションしかしてこなかった。姫路城をバスで通り過ぎた時も、「城だな〜、でかいな〜」くらいしか思わなかった。お城を作ったみなさん、本当に申し訳ない。

まあふらふらしていたら、と地下鉄からあがり正門を目指すが、けっこう歩く。そりゃそうだ、外堀でかいんだから。当たり前のことを驚きながら、横丁でバーベキューなんてやっているのを恨めしげに眺めつつ、城内に入った。

殿様(尾張徳川家)の住処、である。敵からの襲来も防ぎ、なおかつ力ある者の贅を尽くした内部、本丸御殿を見学すると、よくわかる。寺社とは違う豪華さなのだ。「いいね! いいね!」とインチキカメラマンになったみたいに写真を撮ってしまった。海外旅行者らしき集団や、おじいちゃんに連れられた小学生など、お客はさまざま。とくに小学生がけっこうなもんで、城好きらしい、あれこれ連れ(おじいちゃん)に説明したりしている。彼は城が好きなのか? 歴史? 戦国武将が好きなのだろうか? ちょっと知りたくなったけれど、まあ全部が好きなんだろう。こういうふうに好きなものから知識が派生していくんだなあ、なんて呑気に思いながら彼らのあとに続いた。

さすがにうろうろしていたら腹が減ってきた。ちょうど店が見えたので入ってみる。きしめんがどうやらメインらしい。セットを頼んだ。味噌カツもまんじゅうもついている。みんなあたたかいやつを頼んでいた。冷たいのにしたのは失敗したんだろうか、とちょっと思ったけれど、うまい。

名古屋城できしめんを食う。なんだか思いがけない時間だった。

こんなふうに名古屋は更新されたのだった。

用事の終えたとき、「××のひつまぶしがおすすめです! 弁当もありますよ!」と言われ駅で探したのだけれど売り切れていた。やっぱり人気商品は夜にはもうないのだ。旅行者が多い、というのはよいことだけど、ひつまぶし腹のまま新幹線に乗った。


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