見出し画像

顧客志向とは?顧客志向に変革するとはどういうことか?

顧客志向とはいったい何なのか?

企業活動の方向性や目標を顧客の要求や欲求を満たすこととする、マーケティングの基本的な考え方。消費者志向とも呼ばれる。→消費者志向
顧客志向とは Weblio辞書

あらゆるビジネスは顧客志向のはずなんだけれど、バリューチェインの中で個別最適が全体最適ではないことはよく発生する。

顧客志向の「顧客」はだれか?

わかりやすくメーカー・問屋・小売の関係だと、メーカーにとっての顧客は問屋になるし、問屋の場合は小売が顧客になる。

ここまで具体的に言ってみると、実際の消費者が本来の顧客であるはずなのに、単にバリューチェイン上で分業するだけで本来の顧客を見失ってしまうのである。

これは構造の問題であって、各企業の各担当者が悪いとかではない。経営や組織、会計といった会社を成立させている「ルール」が顧客を間違わせるインセンティブをもった構造だからである。

例:家賃保証会社の提供するバリュー(家賃保証)に対して、実際のコストは1/10以下で、残り9/10は営業コストや営業利益になっていて、その負担は最終消費者に転嫁されている。それぞれの企業がそれぞれの顧客に対して真摯に向き合った結果そうなっている。

だから顧客と直接繋がるD2Cは正しい

なぜならバリューチェインがシンプルで構造的問題が軽減されているから。

※D2Cはテクノロジーの発展で顧客と直接繋がれることが出来るようになったため実現可能なビジネスモデルになったと思っている。

電気ケトルという破壊的イノベーション

例えば、顧客のために良かれと思って多機能なポットを作っても、それが価格に転嫁されてなぜか使わない機能にお金を払わされていたりする。

毎年ちょっとずつ改善されて、なぜか価格は据え置きで(むしろ値上がりする)一見良さそうに見えるが何も良くない。

本当にその機能はいりますか?

そうこうしているとティファールが電気ケトルという破壊的イノベーションを起こしたりする。

単機能だけれど、瞬時にお湯が沸かせるから、毎朝コーヒーを入れるのが劇的に楽になって、特定顧客の特定ニーズに劇的にマッチして、生活者の利便性が劇的に改善する。

改善する≠顧客志向

なぜティファールは電気ケトルを作れたか?

顧客志向を語るにあたって、なぜティファールは電気ケトルを作れたか?という課題設定が一番良いと思った。

「取っ手のとれるーティファール」でおなじみ、このキャッチコピーからも分かるようにティファールのものづくりは顧客志向である。

顧客の解像度が高いものづくりをしていて、何が困っているか、どう解決しているかをユースケースで提案している。

「あっという間にすぐに沸くティファール」

似たような企業に小林製薬がある。

デザイン重視の顧客に、おしゃれな家電を展開しているバルミューダも似ている。

共通しているのは顧客に対する解像度の高さ、そしてそこからプロダクトを作っているということ。

2001年 日本で電気ケトルの販売を開始。
それまで日本では、やかんでお湯を沸かし、保温ポットに入れ替えていた。電気ケトルは「必要な分だけ沸かす」という新しい湯沸し文化を日本に作りだした。

顧客志向=顧客に直接聞く
顧客志向=顧客を観察する

Webサービスは顧客の解像度が低くなりがち

実店舗のように肌感を持ったものでもなく、究極的に顧客に直接会うことなく提供できるサービスが故に、顧客の解像度が低くなる。

直接目の前の人を助けるみたいな感覚もないし、「やかんで沸かしたお湯をポットに入れている」ことを単にお湯を沸かしている程度にしか理解していない。

意識的に顧客を観察し、直接聞いている企業はどれくらいあるか?

なぜやかんでお湯を沸かしているのか?

GoogleAnalyticsや各種ツールで数字は見れるが手触り感がないことに対する危機感を持って見ているか?人間の身体性を軽視していないだろうか。

Webサービスは失って初めてわかる痛み

情報消費は消費前にあまり明確な痛みはない。

すごく便利なものが産まれて、それが使えなくなって初めて激痛を感じるのがWebサービスである。

Facebookがなくなったらどうやって、薄く繋がっている友人と連絡を取るのかわからないし、Googleがなくなったら明日からどうやって情報を探せばいいのかわからない。

Googleが出てくる前は本で調べる、新聞を読むというのは当たり前過ぎて、痛みだと思わなかった人がほとんどに違いない。

構造的な情報メディアの欠陥

これまでのことを整理すると

1.バリューチェインには欠陥があり、D2Cなどシンプル化が起きている
2.破壊的イノベーションは顧客志向によって起こる
3.Webサービスには痛みのある需要に気づかない

いわゆる情報産業、マッチング領域、情報誌とかWebメディア、マスメディアの領域もD2CとかC2Bとかの進化の中にいて、情報のバリューチェインを統合して顧客志向のものづくりに変化していくことで、構造的欠陥を解決した新しい企業のあり方なんじゃなかろうか?

この大きなトレンドを作っているのは紛れもなくテクノロジーの発展で、ITがなければD2Cなんて業態は不可能である。

Alibabaのジャックマーが描いた新業態

(2020-03-23追記)

D2Cの世界で、メディアがどうなるべきかはAlibabaの描いているビジョンが正しいと思う。

Eコマースに代わって、台頭するのが「5つの“新産業”」(マー氏)です。例えば小売業はこれまで、インターネットやEコマースによって大きな打撃を受けてきました。マー氏によれば、これは「彼らが新しいテクノロジーやビッグデータの把握と適用ができなかった結果」です。しかし、テクノロジーが企業や社会にもたらす“破壊力”に気づいた今となっては「Eコマースはあくまでも“渡し船”に過ぎない。これからの10年、20年には(テクノロジーを前提にした)新産業しか成り立たない」(マー氏)というわけです。
新流通(リテール)への変革
これからの10年、20年では「Eコマースという表現は消え、『新流通』としか表現できなくなる」(マー氏)と言います。その理由は、「既存のオフラインの企業(実店舗を展開する企業:筆者注)が必ずオンラインの領域へ踏み込み、逆にオンラインの企業は必ずオフラインの領域に参入する」からです。この新流通は、オフラインとオンライン、さらに物流機能までも結合して初めて実現するとします。そこでの物流の本質についてマー氏は、「より速く配送することではなく、在庫をなくすことだ」と指摘しています。新流通におけるコンテンツについて、Alibabaのモバイル担当シニアディレクターである庄卓然(Zhuoran Zhuang)氏は、「必ず2D(次元)から3Dへシフトする」と話しています。AlibabaのECサイトである「Taobao」)を例にとれば、コンテンツは、テキスト中心から画像中心になり、現在は動画が中心になっています。今後は、3Dのほか、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)を有望視しています。既にVRを使ったショッピング用のVRデバイス「Buy+」を2016年9月に発表(動画)。「造物神计划」と呼ぶ、商品をバーチャル3Dモデル化するプロジェクトでは、出店者らと共に3D/AR/VRのコンテンツを作っていく計画です。
新製造への変革
過去20〜30年の製造業の重点課題は、規模の拡大と標準化でした。これからの30年は「知能と、個性、カスタマイズに変わる」とマー氏は指摘します。いわゆる人工知能(AI)やスマートマシンの活用です。「未来の機械の動力源は電力ではなくデータになる」ことから、新製造の変化はすべて、「流通の変化によって引き起こされる」(マー氏)とも言います。既存のB2C(企業対個人)の製造モデルは「C2B(個人対製造)へ変化し、需要に合わせたカスタマイズが不可欠になる」(同)のです。供給者は「マーケットや消費者に適応するための自己変革が不可欠」との指摘です。


オンラインとオフラインが統合される、統合すべき環境下で、メディアはどう振る舞うべきか?

今後のメディアの振る舞い方
・リッチコンテンツ(動画、3D、ARを投入する)
・メディアコマースとオフラインの物流機能を統合する
・需要に合わせたカスタマイズ、C2Bへ適応する

テクノロジートレンドの行き着くメディアの新業態はたぶんこの3つで、リッチコンテンツが満たされたその先にはメディアからバリューチェインの統合と、C2B化を行わなければならない。

改めて僕が考える「顧客志向」とはなにか?

このバリューチェイン構造問題の解決はテクノロジーによる構造自体の合理化・統合化がまず1つで、次に顧客志向なものづくりが必要という意味で、つまりは「D2C」・「C2B」を目指さないといけない。

具体的にどういった顧客志向なプロダクト開発があるべきか。

・ユーザーに直接聞く
・ユーザーを観察する
・ユーザーである

こういった活動は、2つの理由でこれまであまり積極的に行われてこなかったと思う。

理由①:めんどくさい
理由②:データを取得できない

2020年現在、気軽にクラウドソーシングできたり、アンケートを取ったりできるようになったし、行動データを取り扱いやすくなったという意味で今は顧客志向への変革期で、そこにチャンスがある。

顧客志向なものづくりをする企業はしんどい

顧客の声を聞き、データを取り、分析・検証し、プロダクトに反映させて、また顧客の声を聞き...というのはいくらテクノロジーが進化してもまだまだしんどい。

ときには作ったプロダクトがクソだと言われるし(自分で思うときもある)、言われたことを作ったのに実はそう思ってなかったとか人間の矛盾もある。

しんどいけれど、正しい方向にチャレンジをしている自負がある。

もっと快適な世の中とか、今まで出来なかったことが実現できている社会を作るために1つでも多くの顧客志向な企業が誕生することを期待したい。

弊社は、産業を顧客志向に変革するということをビジョンに持っていて、ウェディング業界を変えようとチャレンジしている。

仲間を募集しているので、ご連絡をお待ちしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?