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インタビューのアポ取りから取材当日まで〜京都ライター塾9期/第4回受講レポ

2023年7月8日に始まった京都ライター塾。全6回の講座のうち、今回は既に4回目。毎回の受講レポを書くことにも少しの慣れを感じつつ、前回からちょっとでも進化したポイントを作りたいと格闘しております。第4回の講義では、インタビュー取材のアポ取りから当日の取材までを一気通貫で説明していただきました。

なんでも講師の江角さんによると、インタビュー取材ができるライターは単価が高い傾向にあるそうです。これからライターデビューを目指すみんなたちへ。大事なことだからもう一度言います。

インタビュー取材ができるライターは単価が高いぞぉーーーー!!!!!!こういう話の時だけいつも以上に耳聡い私。今回のレポでは、講座内でも特に印象に残ったパートを中心にお届けしていきます。

京都ライター塾とは、ライター歴17年の江角悠子さんが主催する全3ヶ月の商業ライター養成講座です。書くことを仕事にしたい人たちを対象としており、少人数制で記事の書き方から仕事の獲得方法まで、未経験からライターとしてやっていくために必要なことを網羅的に学べます。さらに、講座内では毎回自己分析のためのペアワークに大きなウェイトを置いており、「ライターになって幸せになる」ことをコンセプトに掲げています。詳しくは江角さんのブログをチェックしてみてください。

▼第3回のレポートはこちら。


作成した企画書のフィードバック

第4回の講座は、前回同様に課題へのフィードバックからスタートです。第3回の最後には、江角さんへのインタビュー企画を各々考えて企画書にまとめる課題が出ていました。今回はその企画を編集部にプレゼンするという想定の元、1人1分ずつみんなの前で発表。発表が終わるごとにランダムに選ばれた別の受講生1人と江角さんにそれぞれ感想をもらうというサイクルを全員で回しました。

みんなの表情やリアクションがある中で発表すると、お互いの良いところや工夫もわかるし、自分の企画の練り方の甘いところも見えてきます。当然ながら、経験もないのに最初から良い企画を作れるわけがありません。それでも、他の受講生さんによるユニークな企画の切り口や、読者に対する豊かな想像力を目の当たりにすると悔しい・・・!

江角さんからは個々の企画の良いところをほめて頂きつつ、「全体を通して、口頭で補足したり質問したりしないと分からない企画が見受けられる」とのお言葉がありました。

例えば企画書を書く時は、読者は江角悠子さんが何者か知らない前提で書くべきとのこと。ライター塾のメンバーには江角さんの元からのファンも多いので、これは盲点だと感じました。具体的には、企画書の中で簡単な経歴を説明する、企画タイトルの中にも江角さんが何者で、どんな実績があるかといった情報を盛り込む、などの点に気をつけるとわかりやすくなるとのことです。例として、江角さんに添削いただく前後の私の企画タイトル案を紹介させてください。

添削前:思いを仕事に。チャンスをつかむ発信術!
添削後:好きで続けていた⽂章を書くことで、オンラインライター塾の講師に。思いを仕事にする発信術!

比較すると、添削後の方が具体的な記事の内容と、取材対象がどんな人物かが伝わりやすくなっていませんか。

相手に質問させなくても伝わる明確さと、企画書を用紙1枚にまとめるシンプルさ。両立するのは難しいですが、精進したいと思います。

また、読者にとってのメリットを考えるというお話も刺さりました。自分の企画を振り返ると、ターゲットの分析を頑張ったようでいて、実は「記事を読むと得られるメリット」にフォーカスしきれていなかったように思いました。提供したいメリットを明確にすることで芯を食った企画が生まれるし、コンテンツの中身を細かく決めていく時にも迷いが減るはず。本質的な部分から逃げず、突き詰めて考える姿勢を大切にしたいです。

取材アポを取るための企画書の書き方

さて、ここからはいよいよアポ取り〜取材について教わっていきます。自分で企画を立てて実現を目指す時、企画を通すべき相手は編集部だけではありません。取材対象となる人やお店を決めたら、今度は取材相手の了承を取り付ける必要があります。

あらゆるインタビュー企画では、取材先の協力が必要不可欠。だからこそ、先方にも取材を受ける目的やメリットをわかりやすく伝えなければなりません。ライターや編集者は、そのために取材先に向けても企画書を作るのだそうです。

企画書に書く内容
・自分は誰か(どこの媒体の編集者かライターか)
・媒体についての説明(コンセプトや読者層、発行部数など)
・取材をする目的を説明/取材日時の提案/撮影許諾のお願い

出典:京都ライター塾 講座資料より

取材を受ける側の立場に立ってみれば、面識のないライターの素性や、掲載媒体の雰囲気がわからないのは不安ですよね。特に、媒体の知名度が低い場合は自分たちが何者なのかについて丁寧な説明が欠かせません。たとえば、これまでに100号刊行している、こんな読者層に支持されている、などの情報を伝えられれば取材先に信頼感を持ってもらいやすくなるのだそうです。

また、取材目的も相手が取材を受けるかどうか判断する上で重要なポイントです。昔、江角さんの知人の方が京都のとある老舗和菓子屋さんに取材を申し込んだそうです。ところが、掲載先の媒体がフリーペーパーであることを理由に一度は断られてしまったのだとか。その背景には、「誰でも無料でもらえるフリーペーパーへの掲載は、ブランディングの観点から原則NG。」という取材先の方針がありました。けれども、「京都のお土産を紹介する上でその取材先は絶対に外せない」という目的を伝えて熱心にアプローチしたところ、特別に協力を得ることができたそうです。

なお、アポ取りの連絡を入れる時は先方の公式サイトやSNSからメールを送ります。電話する場合、相手が忙しいと予想される時間は避けるなどの気遣いが必要です。さらに、写真撮影が必要な場合は先方の準備もあります。取材時に何を撮りたいのかを伝えて、必ず事前に許諾を取っておきましょう。

質問リストの作り方

どんな原稿を書きたいかという目的によって、取材の内容も変わります。よって、質問リストを作る時はゴールから逆算するのだと教えていただきました。例えば飲食店の取材でも、掲載媒体がリフォーム会社の運営するWebサイトで、フォーカスするポイントがお店の内装について、という例もあるかもしれません。となれば、壁の色や素材について聞くべきかもしれないですよね。このように、記事のテーマに沿った素材を集めるためには何を聞けば良いかを考えてみることが大切なのだそうです。

加えて、相手に気持ちよく答えてもらい、なおかつ質の良い素材を引き出すための工夫について教えていただきました。

まず最初の基本は、取材先についての前提知識を頭に入れておくこと。ちょっと調べればすぐにわかることを知らずに伺うのは先方に対して失礼ですし、当たり前のことをわざわざ答えてもらう時間も無駄になってしまいます。多くのライターさんは、取材前にホームページやネット上の過去記事、出版されている書籍があれば直近の数冊を読んで頭に入れておくのだそうです。たとえばパン屋さんの取材なら、お店の歴史や店主がどこで修行したのかなどを調べておきましょう。

こちらに前提知識があれば、「公式サイトに●●のような記載がありましたが、詳しく教えてください」といった質問が可能になります。相手にもきちんとリサーチを行った上で質問していることが伝わりますし、一歩踏み込んだことを教えてくれるかもしれません。

また、忙しくて時間がない相手や、取材に慣れていない相手から良い素材を集めるためには、事前に質問リストを送っておくことも有効だそうです。特に、質問リストに対して一度メールで回答をもらっておき、メールの回答内容を当日さらに深掘りするというテクニックは目からウロコでした。

良い話を引き出す聞き方のコツ

相手に気持ちよく話してもらうためには、話を聞く姿勢が大切です。具体的には笑顔でいることや相手を名前で呼ぶこと、リアクションの取り方など、江角さんがこれまでの取材経験の中で見つけた10のコツをまとめて伝授していただきました。

中でも印象に残ったことは、「質問を細かく分ける」ことと、「いいと思ったことは自分の感想を伝える」こと。

例えばデザイナーさんに取材するとして、「今回のデザインでこだわったことは?」という質問はざっくりしすぎているそうです。むしろこだわりが多すぎて、何から答えていいか、お相手も迷ってしまうかもしれません。ですが、質問のポイントを細分化して「今回のデザインは色味がすごく綺麗ですが、色についてこだわったことは?」と聞けば、より具体的な答えが返ってくる可能性が高まります。

また、自分がいいと思ったことを取材相手に伝えると、「よくぞ聞いてくれました」とばかりにとっておきのこだわりやエピソードを教えてもらえることが多いそうです。私自身、ふらりと入ったお店で素敵だと思った点を伝えたところ、店員さんから色々教えてもらえたり、親切にしていただいたりした経験があります。人は誰でも自分がこだわっているところについて聞かれれば嬉しいし、それについてつい話したくなってしまう生き物なのではないでしょうか。もし取材の中でそういう瞬間をたくさん作れれば、お互いに幸せな時間になるだろうなと感じました。

江角さんからも「日常のコミュニケーションでの姿勢が取材に生きる」と教えていただきましたが、相手が人である以上、取材であってもなくてもされて嬉しいこと・嫌なことに大きな違いはないのかもしれません。

ちなみに、話を聞く時の基本姿勢については、主に心理カウンセリングの分野で普及している「傾聴術」が役立つとのこと。江角さんおすすめの書籍を教えていただいたので紹介しておきます。


おわりに

今回の講座を受けて感じたのは、まず純粋に「インタビュー取材って奥深くて面白そうな世界だな」ということ。多種多様な道を極めている人たちから、ネットや本だけでは知り得ないことをマンツーマンで話してもらえるなんて、ワクワクします。そして、取材相手からどれだけ良い素材(エピソード)を引き出せるかも自分次第。

相手は生身の人間だからこそ、寡黙で言葉数の少ない人、反対に話しすぎて脱線してしまう人、はたまた機嫌の悪い人など様々です。全く同じシチュエーションは二度とないからこそ、コミュニケーションは面白くも難しくもあるし、日頃からのインプットの引き出しや人間性、想像力が問われます。それって、なんとも追究しがいのある世界ではないでしょうか。

前回のレポートでも少し書いたのですが、私はライター塾が始まって以来、これといって強く書きたいテーマがないことに悩んでいました。自分の専門分野を確立するためにも、その点は今後も継続的に向き合っていくべきところでしょう。

ただ、今回の講義では心からわくわくすることの小さな種に出会えたようで、とても嬉しかったです。自分の専門分野があり、なおかつインタビュー取材を楽しめたらきっと幸せな職業生活になるだろうなと。

そんなわけで希望と課題がより明確になり、今までよりも一段深いところでエンジンがかかったような第4回でした。

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