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私達は常に周りの期待に応えながら生活している

「好きなことをして生きていく」とか「やりたいことをやる」といった言葉にインチキ臭さを感じるのは、デタラメなことを適当に言っているように聞こえるからでしょう。

我々は主体的に生きているように見えても、無意識では周囲の(隠れた)期待に応えて生きているのだと。

己の無意識は社会が作り出しているとは社会学の考えですが、どうやらこの期待には2種類あるようなのです。

私は2種類の役割期待を理解するまでに2日かかったので、復習も兼ねて書くことにします。


役割期待はピグマリオン効果とほとんど同じ

ピグマリオン効果とは、生徒(部下)は教師(上司)が期待した通りの成果を出しやすいという現象です。

心理学用語ですね。

役割期待の場合は成果を出しやすいではなく、行動を起こしやすいとなるでしょうか。つまりほとんど同じです。

ここまでは普段の生活でも馴染みがあるので、誰でもスムーズに理解できると思います。

次に2つの役割期待について書きます。


2つの役割期待 中身と外見

中身・外見とは性格とルックスの話ではありません。

 ・中身=役割=ロール=成果

 ・外見=役柄=キャラクター=演技

といったものです。

全然ピンと来ませんよね? 私も全然わかりませんでした。

そこで2つの役割期待を、世の中に溢れるソーシャルゲームプレイヤーに例えてみましょう。


ソシャゲおじさんと役割期待、中身編

ソシャゲプレイヤーの

・中身=役割=ロール=成果

とはなんでしょうか。


次の2点です。

・毎日デイリーを消化している

・定期イベントも消化している

この2つさえこなしていれば、とりあえずそのゲームをプレイしていることになります。数ヶ月プレイしていれば、やり込んでいるとさえ言えます。

誰が言い出したのか、デイリーやイベントを消化することを義務と言いました。

役割に失敗した時の感情は罪なので、これは非常にマトを得た発言です。

私達は義務と言われていることができなかったら、罪の意識を感じますよね? 初めて小学校をズル休みした時の感情は、まさに罪でした(体温計を素早く抜いた)。

中身の役割期待の説明を終えたので、次は外見の役割期待に移ります。


ソシャゲおじさんと役割期待、外見編

・外見=役柄=キャラクター=演技

これは何か


・最新キャラクターを持っている

・全てのキャラクターをコンプリートしている

・高難易度クエストを全てクリアしている


これが外見となります。

よっぽど出来が悪いソシャゲでもない限り、毎日プレイしていれば無課金でもイベントは全く問題ありません。月パスくらいの課金をしたら、さらに楽にイベントをクリアできます。

しかし世の中には信じられないくらいソシャゲに課金する人がいる。

それは外見の役割期待に応えているのでしょう。

ソシャゲの世界では最新キャラクターを持っているほうが、偉いのです。最新キャラを持っていないというのは外見の役割期待に応えられていない、つまり失敗しています。

外形の役割期待に応えられない時の感情は恥なのです。

面と向かって役割期待はかけていない

しかし当のプレイヤー達からしてみれば、「別に最新キャラを持っているほうが偉いとは思わないし、他のプレイヤーにそういうことを押し付けてもいない」と言うでしょうし、それは大半のプレイヤーにとって本当だと思います。

ピグマリオン効果も同じです。

あなたは学校の先生が生徒に

「君には期待している、成績も伸びると思う」

「君には期待していない、成績が伸びることはないだろう」

と言っているのを聞いたことはないでしょう?

前者はともかく後者は問題ありすぎますよね。

しかし生徒は教師の期待を敏感に感じ取ってしまうそうです。


罪と恥では恥のほうが心へのダメージが大きい

毎日やっているソシャゲのイベントを少しサボったところで、心にダメージをおう人の話は聞いたことがありません。多少は罪の意識を感じるかもしれませんが、全然たいしたことはないでしょう。

※ 罪を感じない=怠けもの 確かに思い当たります。

私も含めて大抵の人間は自分の決めたことを毎日サボりまくっているので、あまり罪の意識を感じないのだと思われます。

逆に周りのみんながもっているものを持っていなかったりすると、途端に恥の感情が沸いてきて、耐え難いほどの苦痛を感じます。

人間は罪には鈍感だけど、恥には敏感であると。


昭和・平成のヤンキーのような価値観

普段は別に気にしていない素振りを見せても、私達は面子(メンツ)・体面・自己イメージを非常に気にする生き物だったようです。

相手に舐められることを良しとしない、昭和のヤンキーのような価値観が我々の本性でしょう。


終わりに 中身よりも外見が大事

ゴフマンという学者は、面子・体面・自己イメージをフェイスと呼びました。

現在人はフェイスが壊れやすく、フェイスが壊れてしまえば対人関係や日々の生活で常に居心地の悪さを感じ続けるのだと。

現代人の自殺はフェイスが失われること(フェイス・ロス)が現代自殺の主な原因だというのが、今読んでいる新自殺論の内容です。

現代人にとっては外見こそが重要だという話でした。


おまけ

ピグマリオンインザクラスルームの論文(英語)


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