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太田記念美術館に行ってきました①月岡芳年

日記です。


月岡芳年と関連作品

太田記念美術館『月百姿』展

 原宿の太田記念美術館にて5/26(日)まで開催されていた、「月岡芳年『月百姿』展」に行ってきました。

ラフォーレの真裏にあります

 月岡芳年(1839~1892)は幕末から明治にかけて活躍した、『最後の浮世絵師』と呼ばれる画家です。
 人物と月をテーマにした全100点のシリーズ『月百姿』は芳年が晩年に精神を病んでいった中で描かれました。

 画題は歴史に名を成した人物だけでなく、江戸時代に有名だった侠客や遊女、また火事やお風呂上がりなど当時の風俗を描いた絵もあって、明治中期がまだ江戸と地続きの時代だったことがうかがえます。
 著作権が切れているのですべてWikipediaで見られますが、個人的には直接月を描いていない20の山中幸盛ゆきもり(鹿之介しかのすけ)と57の源頼政よりまさが好きです。

『光る君へ』視聴者向けには、24夕顔(源氏物語の登場人物)・41藤原公任きんとう(町田啓太さん)・42赤染衛門あかぞめえもん(凰稀かなめさん)・66藤原義孝よしたか(行成ゆきなり(渡辺大知さん)の父)・76紫式部(吉高由里子さん)・88花山院(本郷奏多さん)と藤原道兼(玉置玲央さん)が描かれています。
 見出し画像が義孝になります。匂い立つイケメンオーラは生だともっと強かったです。

 スマホゲーム『Fate/Grand Order(FGO)』プレイヤーに親しみやすい人物は、6九紋竜史進・14武蔵坊弁慶・17明智光秀・34坂上田村麻呂・40武田信玄・46ヤマトタケル・60牛若丸(源義経)・67豊臣秀吉・79豊臣秀次・80謙信・85金太郎(坂田金時)です。

京極夏彦先生『書楼弔堂』

 私が芳年を初めて知ったのは、2014年に読んだ京極夏彦先生『書楼弔堂 破曉』でした。

『弔堂』は不思議な本屋の店主が明治時代の有名人に合った本を勧めるシリーズで、現在第3作の『待宵』までが刊行されています。

 実はこの作品、岡田以蔵ファンの間では『以蔵生存if話が載っている話』として有名です(謎めいた登場シーンがありますが、公式が明かしているので書いてしまいます)。
 また馬糞が怖い泉鏡花、妖怪に惹かれる自分との折り合いをつけられない井上圓了えんりょう(東洋大学初代学長)など、魅力的な人物が描かれています。

 芳年の名前を知ってからWikipediaの人物ページを見て、神武天皇を筆頭にあれも! これも! 芳年が描いとる! という衝撃を味わいました。

田亀源五郎先生への影響

 また私は漫画家の田亀源五郎先生が好きです。
 20年ほど前に同人誌を買っていたガチムチ受け二次創作の作家さんがゲイ向け雑誌で描いていると知り、購入して読むうちに先生と出会いました。

 田亀先生は容赦のないバッドエンド作品をよく描かれます。
 ガチムチ成金が没落して男女郎おとこじょろうにさせられた末発狂する、SMプレイを楽しんでいたら騙されて本当に性奴隷にされる、など。

 芳年を調べて『無残絵』に行き当たって、一目で「田亀先生のリスペクト元だ!」と気づきました。

『無残絵』は、臨月の妊婦を吊るす、吊り下げられた人間を解体するなど流血沙汰を大胆に描く、グロ耐性がなかったら目を背けたくなるような絵のジャンルです。
 様々な画家が書いていますが、芳年はその第一人者として知られています。

 田亀先生がかなりダイレクトに芳年をリスペクトしている、若武者が解体される話もあります。
 よく見たら骨格の描き方にも面影がある……と、今までよく認識していなかったことが繋がる感覚に襲われました。

 ちなみに、田亀先生にもハッピーエンドの作品はあり、ローマの剣闘士が戦いの末に心を通わせる『ウィルトゥース』は読後感がさわやかです(えらいプレ値になってて驚きました)。

 また、一般向けではドラマ化もした『弟の夫』もありますが、バッドエンドの香りを感じて最終巻まで読めていません。ポルノのバドエンは楽しめるんですが、リアルの不幸展開は身につまされるのです……
 もしハッピーエンドになるなら、途中のつらさを乗り越えてでも読みます……
 評判はとてもいいので、主人公周りの不穏なフラグが怖くない方はぜひお読みください。

『僕らの色彩』はそれぞれ『普通』にはなれない登場人物たちが己を見つめ直して癒しを得るいい話でした。

まとめとつづき

 それまで知らなかった、点と点でしかなかったことが繋がって線を描いて絵として立ち上がるのは、とても心が浮き立ちますよね。
 場合によっては奥行きも加わって3D画像になることも。
 勉強は成績を上げるためにすることではなく、世界を広げて豊かに生きるためのものなのだなと、歳を取ってからも強く感じます。

 23年11月に、やはり太田記念美術館にて葛飾北斎の娘・応為の真筆『吉原格子先之図』を見てきました。
 その際に思ったことや応為推しの気持ちも、そのうち書ければと思っております。

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