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【コラム】クラフトビールペーパーを作ったきっかけ

初めまして。株式会社kitafukuです。

私たちは、クラフトビール醸造過程で廃棄となる「モルト粕」を紙に混ぜたアップサイクルプロダクト「クラフトビールペーパー」の開発をしています。

クラフトビールペーパーについては、これまでnoteで色々なお知らせを書いてきました。

今回は、そのクラフトビールペーパーを開発した経緯について、改めて書きたいと思います。

きっかけは2020年の夏

弊社は2020年夏に会社設立から一年を迎えました。
二期目を迎えるにあたり、会社の方針やチャレンジしたいことなんかを考えていた時期でした。

社内でもたくさん意見を交わしていく中で、そのとき一致した意見が「自社プロダクトやサービスをつくりたい」ということ。

社内二人ともエンジニアとしてこれまで色んな会社やサービスに携わってきました。その経験の中で、自分たちもゼロからサービスやプロダクトを作りたいと考えるようになっていったのだと思います。

なかでも、プロダクト(実際に人の手に届く、有体物としてのモノ)への関心が強くありました。
年齢を重ねていって自分自身の購買行動にも変化があり、プロダクトのストーリーや生産者の方の想いが伝わるものたちを愛用することが増えてきたこともきっかけかもしれません。

アイデアの発端は散歩から

「自社プロダクトをつくる」ことを二期目の目標のひとつに掲げ、その頃は普段の生活でも「作るのならばどんなものがいいだろう」とよくアイデアを出し合っていました。

その頃に気づいたのが、自分たちの住む横浜のフードロスの課題。
(調べものをしていた時か、はたまた貼ってあるポスターなどで知ったのか、今ではうろ覚えですが)

二人で散歩中に、ゴミ捨て場にどっさり積んである様子を横目に、そのことを思い出して、なんとなくその話題になりました。

「食べ物の廃棄はもったいないね」「コロナの影響で飲食店にも食品ロスが出ているのかな」「廃棄ってなんとか減らせないのかな」

色んな話題が出ていく中でふと思い出したのが、前職の同僚の仕事でした。

「そういえば、彼はいま製紙会社で、廃棄になってしまうものを紙に混ぜて再生紙にする、というのを研究しているらしい」
「そんなことができるの?!気になる!!」

そこから、製紙会社ではたらく前職の同僚に連絡して、紙を作ってみようか、という話になったのは割とすぐだった記憶があります。

紙製造の様子

エンジニアである我々ですが、手書きのメッセージや手紙、年賀状のやり取りなど、手書きでのやり取りは好きです。アイデアを出すときも、書籍も紙派です。
ペーパーレスが進んでいったとしても、紙という存在そのものはそうすぐには無くならないものだと考えています。

そして、レジ袋有料化などにより包装の代替が検討される昨今でも、注目を浴びている紙の素材はとても関心がありました。

なにより、その元同僚が会社を辞める頃には自分たちも会社を辞めていたので、「今後なにかいっしょに仕事が出来たらいいね」と話していたことも思い出し、それが実現できるかと思うとわくわくしました。

散歩でのアイデアがきっかけで、凄まじいスピードで話が進みました。

横浜を代表するもの

横浜でデザイナーをしている知り合いの元へも伺いました。
もともとは地元(旭川)が一緒ということで出会いましたが、今回のようにしっかり仕事の話をするのは初めてでした。

プロダクトの話も交えつつ、せっかく横浜で暮らしているのだから横浜の街とも関係するプロダクトをつくりたいね、とざっくばらんな話をしました。
そこでは特に「横浜はクラフトビールの醸造所が多くあるよね」という話で盛り上がりました。
その後調べてみると、横浜はクラフトビール発祥の街とも呼ばれている、まさにクラフトビールの街とも呼べる場所でした。
(なにより私たちはお酒、特にビールが大好きです)

「クラフトビールを作る過程でモルト粕というものが大量に出ていて、それがすべて廃棄になってしまうらしい。」
デザイナーの方が何気なく話してくれました。

醸造過程で出るモルト粕は基本的には廃棄となる。

「廃棄となるものを再活用」という観点も、元より考えていた再生紙のプロダクトイメージとも合致していましたが、クラフトビールの紙をつくるというのコンセプトが、なんだかわくわくしました。(正式には廃棄となるモルト粕ですが)
きっと酒好きの血が騒いだのかもしれません。

そこでまず、モルト粕提供やペーパーづくりについてご意見を伺うために訪問させていただいたのが、横浜の農家さんをはじめ地域と深い関わりながらクラフトビールをつくっている、横浜ビールさんでした。

横浜ビールさんの”伝えたいのは「物」ではなく「人」”という想いは特に共感するものがあり、地域にまつわる仕事をつくりたい私たちの想いと(勝手ながら)通ずるものがあると感じました。

初回製造で提供いただいたモルト粕(横浜ビールさん)

紙の完成

そんな経緯ではじまり
横浜ビールさん、デザイナーさん、そして(同僚のはたらく)製紙会社さんのご協力があり、クラフトビールペーパーが完成しました。

デザイナーさんと製紙会社さんとの打合せ

きっかけは小さなアイデアですが、
課題を知り、クラフトビールを知り、地域を知っていくと、本当につくりたいプロダクトだなと日々感じています。

人や地域との繋がりがあって生まれた弊社初の自社プロダクトは、自分たちにとっても大切な存在となっています。

クラフトビールペーパーは、うまれて一年も満たないまだまだ小さなプロダクトです。しかし、これからたくさんの方に届くよう育てていきます。

実際に製造するにあたり、苦労したことやたいへんだったことなんかも、後日また書きたいと思います。

それでは!

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