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関数男物語〜インターミッション04〜
「乾杯!」
と、流田は勢いよくジョッキをぶつけくる。連休明け、ようやく迎えた週末。数男は、流田と居酒屋にいた。Googleチャットを導入するために、表計算小の職員分のGoogleアカウントを準備してくれた流田を個人的に慰労しようと思ったのだ。
「それにしても、申請から一週間で導入できるなんて、すげぇな。」
数男は、流田の行動に心底驚いた。すると、流田は、飄々と答える。数男自身も職場では「飄々としている」と評されることが多いが、それ以上に流田は、飄々と無理難題に答えてくれる。
「いや、実は、教育委員会の方からもGoogleWorlSpaceについて相談されていたんですよ。あの、GIGAスクール構想ってやつに備えるって意味で。」
GIGAスクール構想ー
政府が進めている一大プロジェクトらしい。学校現場でのICT活用が他国に大きく遅れをとっている現状を打開する案とのことだ。しかし、正直なところ、数男はイマイチよくわかっていなかった。そんな数男にお構いなしに流田は続ける。
「その、GIGA推進の一環として、サポートデスクとしても試験運用してくれる学校を探していたんです。そこに、関さんから連絡があったので、渡りに船って感じでした。だから、市教委の方も普段はめちゃくちゃ仕事が遅いのに、今回は、対応、速かったでしょ。」
と言ってジョッキを飲み干した。流田は、昔から酒豪だった。ペースが早い。「それにしても、一週間で…」と数男が考えているうちに運ばれてきた二杯目に手をつけている。
「でもね、実は、チャットだけじゃないんすよ。Googleアカウント作ったんで、一通りのことができるようになってますよ。関さん、Google詳しいっすか?」
と嬉々として話をする。流田は、本当に楽しいのだ。学生時代も、自作PCを作ったり、パソコンで音楽を作成するための環境(DTM)を整えて自作曲をネットにアップしたりしていた。そして、それらのガジェットやソフトについて話をするときは、目の色が違った。
「いや、スマホがAndroidだから、Googleマップやカレンダーは使っているけど、正直、そこまでは…。」
と数男は返答した。すると、流田は、大きな声で
「やべぇ、それ、まじ、もったいないっすよ!」
と学生の頃と同じテンションで返してくる。賑やかな居酒屋なので周りを気にする必要はないかもしれないが、流石に数男も少し恥ずかしくなった。
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