関数男物語〜インターミッション03〜
まさに一目惚れだった。もちろん、iPadの存在は知っていた。また、音楽制作を趣味にしてきた数男は、「音楽作成は、macが強い」ということもなん度も言われてきた。しかし、WindowsのPCとAndroidのスマートフォンを使っている数男にとって、Apple製品は未知の領域だった。そして、数男は、頭の片隅で「Apple製品は、なんかオシャレな人が使うもの」という変な固定観念をもっていたのだ。
ところが、展示されている「iPad mini」を見た時、数男の頭に稲妻が走った。
「持ち運びしやすそう!」というのが第一印象だった。数男は、手帳やファイルの類を持ち歩くことが苦手だった。以前は、手帳を購入し、スケジュール管理をしたり、日々の雑感を記録したりすることに挑戦したこともあった。しかし、いずれも長続きはしなかった。そこで、そういったものをデジタル化できないかと考え、AndroidのタブレットやWindowsのタブレット端末に手を出したこともあった。
しかし、それらのタブレットは、アプリの性能や挙動が緩慢でストレスが溜まったり、手頃なサイズではなく持ち歩きに苦労したりした。そして、何よりも「手書きの性能が低い」ということが不満だった。もちろん、数男の選択ミスもあったのだが、結局、「タブレットは不要」と認識していたのだ。
しかし、展示されていたiPadでは、信じられないくらいスムーズに手書きができている。Apple Pencilの性能が格段に向上したらしい。展示機の滑らかな描写に心奪われた。そして、サイズもちょうど良い。
気づいたときには、数男は店員に声をかけ、iPad miniを購入していた。そして、ここから、数男の「脱・紙計画」が始動したのである。