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関数男物語〜インターミッション02〜

 多少懐具合が暖かいからといって、安易に家電量販店へ行くものではない。そこでは、多種多様な電化製品が手招きしているからだ。普段の数男であれば、そのことを十分に心がけていた。しかし、連休を前にし、疲弊し切っていた数男は、つい、引き込まれるように夜の家電量販店へと入ってしまった。

 最新式の掃除機は、留守中に自動で室内を掃除してくれる。冷蔵庫は、Wi-Fiと接続することができる。テレビの画質は、年々向上していく。何か必要な家電があるわけではないが、新製品を見ているのは楽しい。ふらふらと店内を回っていると、時間はあっという間に溶けていく。まさに至福の時間だった。

 ふと、あることを思い出し、数男はPCコーナーへと向かった。実は、自宅のノートPCがそろそろ限界を迎えようとしていた。そもそも、学生の頃、DTM(PCを使った音楽作成)に興味をもってノートPCを購入したのだが、当時の知識や財力では、本格的なスペックのものなど購入できるはずもなかった。
 かれこれ10年近く、騙し騙し使ってきてはいたが、そろそろ限界である。そこで、数男は、新しいPCを購入するための下見をすることにしたのだ。最近の使い方を考えると、ノートPCでなくデスクトップでも良いのかもしれない。などと考えながら、PCコーナーを物色していると、数男の目にあるものが飛び込んできた。

それが、数男とiPadの出会いだった。

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