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「スナックの先生」が五島列島の夜を駆ける!【S1-Day3】

五島海のシルクロード芸術祭のレセプションパーティーが終わり、お疲れ気味のハルさん、Aki yoさん、嵯峨さん、そしてうちの家族はホテルに戻り休むことにしました。

まだ元気だった僕と茂呂さんと鈴木君は夜の五島の街へGO。
繁華街へ向かう道を歩いていると鈴木君が
「茂呂さんにいつも面白いお店に連れて行ってもらって・・・」
と話を切り出し、聞けば茂呂さんは「スナックのプロ」であるとのこと。



「え、どういうお店が良いお店なのか、なにか判断基準のようなものがあったりするんですか?」
といったことを茂呂さんに迂闊に聞いてしまったが最後。
茂呂さんのスイッチが入り、ここから怒涛の夜が始まっていきました。



五島の街にはたくさんのスナックがありました。
本当にそこら中にスナックがあります。
たくさんありすぎて、どのお店に入ったら良いのか僕なんかは全くわからなかったのですが​。
僕が呑気にスナックの看板たちを見上げていたその時、茂呂さんがスッと動きました。



一番近くのスナックのドアをガチャリと開けると、一瞬で店内を見回し、一度ドアを閉める。
この行為を何軒か繰り返しました。


「え?それは一体どういう・・・?」


茂呂さんいわく、良いお店というのはお店の努力だけでは成りえないそうなんです。
お店の佇まい、お客さんの顔ぶれ、その時間その瞬間の雰囲気、自分たちのメンバー構成・・・
全てが奇跡的に絡み合った時に、最高の瞬間がやってくる、と。


なので、ドアを開けてみないと、店内を見てみないとお店が良い状態にあるのかどうかはわからないのだ、と。
ドアを開けて閉じるそのわずか1-2秒間に全集中で店内の情報をキャッチし、スタッフやお客さんに気づかれることなく、風のように立ち去る。
「何か音がしたかな?」と店内の人がドアの方に目をやった時には、もうそこには誰もいないのです。



「天地人・・・まるで天地人や・・・」

そう呟いた僕と鈴木君は、この瞬間から夜が終わるまでずっと、茂呂さんのことを「先生」と自然に呼ぶようになったのでした。


五島に数あるスナックの中から、先生は「今日はここだな・・・」と一軒のお店を選んでドアを開けました。
入った瞬間に店内の熱気がぶわーーーっと伝わってきて、僕の気持ち的には下からの風にあおられまくっている時のマイケルジャクソンの心境です。
広めの店内には若い世代の男女が何組もいて、めちゃくちゃ盛り上がっていました。



スナックといえば「ママ」の印象がありますが、このお店はマスターが一人で切り盛りしていました。
僕ら3人がカウンターに座ると、マスターは

「うるさくてすみませんね、彼らは五島の若いやつらなんですけど、僕は全員の親のことも知っているから子供たちみたいなもんなんです」

と仰っていて、どうやら愛が深い、めちゃくちゃいい人でした。


そこに、誰かが入れたカラオケの曲のイントロがチャララーン♪とかかりました。
その瞬間に先生が突如立ち上がって

「ナイスチョイス!」

と叫びだし、ちょっと遅れて鈴木君も「ナイスチョイス!」と慌てて続きました。



先生いわく、他の方が良い選曲をしたらその瞬間に「ナイスチョイス!」と反応する、そうしたら場が一つになってもっと楽しくなる、と。

な、なるほど、メモをとるのが追い付かないザンス!
必死に心のメモをとる僕ら生徒二人。

先生はマスターにスマートにお酒をご馳走し、流れるようにみんなで乾杯すると
「カラオケのデンモクをください」
と、今度は歌う気満々であります。



「先生、こういう時は1曲目はどういう歌から入るとよいのでしょうか?」

僕は、先生に聞きました。
先生いわく、北海道からきているから北海道らしい歌とか、一発目は自己紹介みたいなものだから、場が盛り上がる歌が望ましい、と。


なーんて言っていたのに、いざ先生が入れた曲がかかると!なんと!
流れてきたのはBIGINの「島人の宝」である!!

えーーーー 沖縄の歌だーーーーーーーーーー!!!
しかも微妙にしっとりしている歌だーーーーー!!!

ところが・・・

イントロが流れると場内のあちこちから
「イーヤーサッサー」「イーヤーサッサー」
と聞こえてくるんです。

サビとかはもうみんなで大熱唱。笑



そうか、先生は自分が何者であるかをアピールする前に、島の人間の、島を愛する魂にまず火をつけたんや!!!
自分、自分じゃないんや、まずは皆さんがあってこその場なんや!!

なんて感心していたら、サビの歌い終わりで一言
「僕たち北海道から来ました、よろしくお願いしまーす!」

「おおーーー北海道ですか!!!」
「遠路はるばる!!!」

ドおおおおおお

熱気が、
ドおおおおおおおお


・・・今日一番の盛り上がりでした。笑

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