北斎漫画 イカ編 #イカ室たぎった
花粉症など微塵もない江戸の春は長閑なもんで春画の花盛り 時に北斎てぇ絵師がでぇっけぇ蛸を長屋に連れ込んで 海女と絡ませて画いたもんだから これがもう引っ張りだこ
ウハウハで北斎酔っくらってると 戸口から仄白いはんなりした手が伸びてきて結び文 見れば、
たこのみかきてわれもかくべし
とある さすが北斎、これはイカだとピンときて 地図を見つつ楼閣に来ると案内嬢が理科室まがりイカ室へという ここかと障子を開けると これがイカしたイカ姉妹だった
2匹はさあ画けと肌も露わにポーズをとる 北斎それではと懐より出したのは筆ではなく箸だった おまけに床に落ちたのは本わさびチューブ 妹は腰のボトルを巻き取り、醤油よ、お姉様!イカ室は姉妹の怒りでたぎった 逃げる己の身に2匹の足が絡みつき、万事休すで北斎、目が覚めた
寝汗を拭きつつ眼に入ったのは 破れ障子に貼った俳諧の摺物
たこつぼやはかなき夢を夏の月
さては 芭蕉の夢は蛸か
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