見出し画像

S&P 500 CY 2022年決算プレビュー。2022年の純利益率は過去最高の見込み。 ファクトセット

2022年の収益成長率:9.0

 過去最高の収益成長率となった2021年の45.1%との比較は難しいですが、アナリストはS&P 500の2022年の収益成長率を一桁台の高水準と予想しています。CY2022の予想収益成長率(y/y)は9.0%で、過去10年間(2011年~2020年)の平均収益成長率5.0%を上回っています。セクター別では、資本財、一般消費財、エネルギーが牽引し、11セクター中10セクターが前年同期比で増益となる見込みです。一方、前年比で収益が減少すると予測されているのは、「金融」セクターのみです。

 資本財セクターは35.9%と、全11セクターの中で最も高い収益成長率を予測しており、同セクターの12業種全てが前年同期比で増益となる見込みです。 航空業界は、CY21年に赤字が予想されるため、成長率は算出していません。しかし、CY2021年の-150億ドルに対し、CY2022年には黒字+45億ドルと予測されています。残りの11業種のうち10業種が二桁成長を予測しており、航空宇宙・防衛(29%)、建設・エンジニアリング(26%)、工業コングロマリット(22%)が牽引します。また、CY2022年の同セクターの収益成長に最も貢献するのは航空業と予想されます。この業界を除いた場合の工業セクターの推定収益成長率は16.9%になります。

 一般消費財セクターは、全11セクター中、2番目に高い32.2%(前年比)の収益成長率が予測されます。このセクターに属する10業種すべてが前年同期比で増収となる見込みです。この10業種のうち7業種が2桁の増益となり、「ホテル・レストラン・レジャー」(1,209%)、「自動車部品」(48%)、「インターネット・通信販売」(24%)などが牽引します。また、CY2022年の同セクターの収益成長に最も貢献するのは「ホテル・レストラン・レジャー」業界であると予想されます。この業界を除いた場合の消費財セクターの推定収益成長率は14.2%になります。

 エネルギーセクターは、全11セクター中3番目に高い28.4%の収益成長率が見込まれます。サブインダストリーレベルでは、同セクターの5つのサブインダストリーのうち4つのサブインダストリーが二桁の収益成長を示すと予測されます。石油・ガス精製・販売(128%)、石油・ガス機器・サービス(56%)、石油・ガス探査・生産(39%)、統合石油・ガス(16%)です。一方、石油・ガスの貯蔵・輸送(6%減)は、今年の収益が前年比で減少すると予想されている唯一のサブインダストリーです。

 金融セクターは、前年同期比で減益が見込まれる唯一のセクターで、-8.9%の見込みです。業種別では、このセクターに属する5業種のうち3業種が減益となる見込みです。「コンシューマー・ファイナンス」(19%減)、「銀行」(15%減)、「キャピタル・マーケット」(4%減)です。一方、「ダイバーシファイド・ファイナンス」(8%)と「保険」(3%)の業界は、年間の収益が前年比で増加すると予測されています。また、銀行業界は、CY2022年の同セクターの収益減少に最も大きく寄与すると予想されます。この業界が除外された場合、金融セクターの推定収益減少率は、-8.9%から-3.3%まで改善されます。

CY2022年の売上高成長率:7.3

 アナリストは、過去最高の売上高成長率となった21年の15.8%との比較は難しいですが、S&P500の2022年の売上高成長率は1桁台の高水準になると予想しています。2022年の売上高成長率(y/y)は7.3%となり、過去10年間の平均売上高成長率3.5%を上回ります。全11セクターの売上高が前年同期比で増加すると予測され、「一般消費財」と「資本財」セクターが牽引します。

 一般消費財セクターは、全11セクター中最も高い14.1%の売上高成長率が見込まれています。産業別では、このセクターに属する10業種すべてが前年同期比で増収となる見込みです。また、10業種のうち6業種が2桁の増収を見込んでいます。「ホテル・レストラン・レジャー」(39%)、「自動車」(21%)、「インターネット・ダイレクトマーケティング」(17%)、「自動車部品」(15%)、「繊維・アパレル・高級品」(11%)、「家庭用耐久財」(11%)。また、ホテル・レストラン・レジャー、インターネット・ダイレクトマーケティング・リテイル、自動車は、CY2022年の同セクターの売上高成長に最も貢献をすると予想されます。これらの3業種を除いた場合の一般消費財セクターの推定売上高成長率は6.1%になります。

 資本財セクターは、全11セクター中2番目に高い11.4%の売上高成長率となる見込みです。産業レベルでは、このセクターに属する12業種すべてが前年比増収となる見込みです。この12業種のうち、4業種が2桁の伸びを示すと予測されます。航空会社(50%)、建設・エンジニアリング(25%)、機械(11%)、航空宇宙・防衛(11%)。また、航空業界は、CY2022年の同セクターの売上高成長に最も貢献すると予想されています。この業界を除いた場合の資本財セクターの推定収益成長率は8.2%になります。

CY2022年純利益率:12.8

 S&P 500の2022年の推定純利益率(売上高と利益の推定値を集計したもの)は12.8%です。労働力不足、インフレ率の上昇、サプライチェーンの混乱などが懸念されますが、もし2022年の純利益率が12.8%となれば、ファクトセットがこの指標の追跡を開始した2008年以来、最も高い純利益率(年間)を記録することになります。現在の記録は、CY2018年に記録した11.5%です。アナリストは現在、2021年の純利益率を12.6%と予想しています。セクター別では、工業(10.3% vs. 8.4%)、エネルギー(9.3% vs. 7.6%)を筆頭に、11セクター中6セクターが、CY2022年の純利益率をCY2021年の予想に比べて高くなる予測しています。一方、2022年の純利益率が2021年の予想に比べて低下すると予想されるセクターは5つあり、金融(17.6% vs. 19.8%)セクターがそれに該当します。

 企業レベルでは、S&P500の71%が、CY2021年の予想純利益率に比べ、CY2022年の予想純利益率が高くなると予測しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?