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最近泣いたこと

 最近よく泣く。
何かといったらすぐに涙が落ちてくる。
映画やアニメでもすぐに泣けちゃう。
 昔と違って、悲しい話や辛い話よりも、一所懸命やっている話や、ひたむきな努力、人のためにと頑張っている話なんかのほうが すぐに泣けちゃう気がする。何が変わってきたんだろう?

 3月に、今年から大学生になった長男の高校で 3年間取り組んできた部活の卒部式があった。
 保護者会の会長をしていたんで、少しスピーチをすることになって。
 コロナの影響で 試合自体も減ってしまっていたし、みんなで集まって応援するような機会もほぼ無かったんで、スピーチなんてこともこれまですることがなかった。 
 それがコロナも下火になって、最後くらいは って、生徒 保護者や監督、コーチ、トレーナーだけじゃなく、OBも何人も来てくれるという ちょっと久々にまともな集まりになりそうな感じだったから、気合いいれて 前日から 何をしゃべろうかと原稿を作っていった。
 当日、車で40分程かかる高校までの道程を、妻に運転してもらい、私は助手席でスピーチのリハーサルをすることにした。

 前日の夜に考えた文章って、朝見るとなんか間抜けだなぁとか思いながらも、とりあえず声に出して読んでみることにした。
 それが声に出して読んでいると、この3年間の出来事が思い出され、胸が苦しくなる。目が潤んでくる。声が詰まってくる。
 助手席で声をつまらせ目を潤ませている私を、横目で見ながら妻は「ナニ❓❓❓」と少し怪訝な顔をしている。
 保護者会の会長とは名ばかりで、子供達の世話、飲み物や補食の準備(買い物から仕分けまで)などのサポートをしていたのは 母親達で、実際に私がしたことなどほとんど何も思い出せない。
 そんな名ばかりの会長の私が「何をそんなに感極まるようなことがあるのだろう」という至極当然な反応である。
 いや、それほど素晴らしい出来のスピーチなのか❗❓
 そんなわけがない。

 実際のところ そこまでの思い入れもない人間の書いたスピーチなど どれほど表面を取り繕った文章を並べたところで 端から聞けば「もったいぶった長い話」でしかないことは自明のことである。

 そんな 自分の作った与太話に、声を詰まらせ 目を潤ませて 読み進めなくなるなんて 我ながら驚きの現象であった。

 結局のところ実際の卒部式では、私の前にスピーチをした 監督やOBの 本当に心のこもった 感動的な言葉の前に 力なく消え去るのだった。
それこそが泣ける話だ。

 

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