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弱小吹奏楽部を追いかけた軌跡 第9話 マイ楽器を買う!

個人レッスンに通い始めて約2ヶ月が経過した頃、やはりというか当然というか、マイ楽器購入のおすすめがやってきた。
元々買うつもりではいたけど、まだ本気にはなっていなかった。

それまでは学校から楽器を借りてレッスンに臨んでいた。
その楽器はYAMAHAのSEモデルで、娘の実力からすれば充分すぎるくらいの楽器だ。
ただし10年以上前の楽器であり、誰がどんなメンテナンスを施してきたのか、どれくらいのペースで調整していたのか、全くの謎である。

マウスピースだけは購入していた。バンドレンの5RVライヤー。しかも選定なしで、一つ渡されただけのもの・・だけど。

レッスン部屋は楽器店の3Fにあり、1Fは楽器販売のショールームになっている。
娘がレッスン中、私は1Fショールームの店員さんへ質問攻めをしていた。大した知識がなかったが、色々聞いて良かった。この際、恥ずかしいなんて言ってられない。

クランポンR13、同RC、YAMAHAのSE-V MASTER、同アーティストモデル、こんなラインナップだったかな。現物がそこにあった。

『市内のR中学校は、全員V-MASTERを個人持ちです。』

いきなり何言ってんだこのオヤジは!?
R中学校の吹奏楽部は全国大会へ何度も出場している超強豪校だ。
親として負けてられん‼️
金銭感覚がおかしくなっていく。
その日はありったけのパンフレットと、営業マンの名刺をもらい、会場を後にした。

購入に関しては妻にも当然相談した。娘から母親へ話が伝わり、だんだんと話が大きくなってきた。
中学校と高校を乗り切れる楽器という観点で考えてみた。
YouTubeでクラリネット奏者のチャンネルを見まくって、プロ達が最初に選んだ楽器を勉強したり、比較動画を見たり。

学校によってはメーカーや、そのモデルを指定するところもあるらしい。プロはその考えを否定的に論じる方もいる。楽器販売と顧問の関係性などあるかもしれない。まあ、色んなしがらみがあって成立している世の中。
親子で納得すればそれで良いじゃん。結論はこうなった。

次のレッスンでは実際に試奏させてもらえることになった。上限50万で準備してもらった。
私にとって今までの人生で一番高い買い物はマイホーム。次は何台か乗り換えたがマイカー。
生活に必要な物だし、納得して購入したものばかり。
勢いで言ったけど、50万、お金が無い😢

予算50万に対して妻や私の両親は断固反対だった。
『そんなプロになるわけじゃないし・・』
『15〜20万くらいで充分でしょ?』
完全に四面楚歌状態。
娘が貯めたお年玉と、私のヘソクリで何とか工面し、50万を用意した。

試奏している途中、モデルによって響きや音の違いがわかった。素人の私でもわかるくらいだから、なかなか感動的な時間を過ごした。

そしてYAMAHAのSEVマスターを購入した。
あー!もう後戻りはできないぞ!

時は中学校1年の終盤3月、こうして部員全員が学校の備品楽器(マウスピースさえも備品!)でコンクール出場をする弱小吹奏楽部に、道具だけは上位大会レベルの1人が誕生した瞬間だった。

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