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クリスマスのあっち側とこっち側

ドラマ「グランメゾン東京」にだだはまりの令和元年12月。
どれくらいハマっているかというと、
毎回、はじまったらテレビの前で正座やし、
毎回、山下達郎の「レシピ」が流れるタイミング合わせて涙を流すし、
毎回、誰にも聞かれていないのに「私、丹後さんがグイグイきてる」とか言い始める。(一方の丹後さんのほうはグイグイきてるつもりは毛頭ない。)

何がいいってね。
だいたい普通のレストランが舞台のドラマは、料理が出来上がってからその先のドラマなの。
大きなお皿の上にキレイな料理がちょこっと載っていて、それをお客さんが食べてどうたらこうたら……。

いや、もちろんそれでいいんですけど。
料理は食べてナンボやし。
でもね、お皿の上にキレイな料理が乗っかるまでがドラマだと思うのよ。
生産者のドラマがあって、作り手のドラマがあって、やっと料理が完成して、お客さんの口に入る。

その一皿が出来上がるまでにものすごい数の人間ドラマと、動物の命と、人の手間と時間が関わってる。
そこまでのストーリーがすごく丁寧に描かれているのがグランメゾン東京なのです。

いやー、このドラマのおかげでフレンチブームがきちゃうんじゃないの?
深刻な人材不足が叫ばれるレストラン業界に志高き若者が来るようになるんじゃないの?
回を重ねるごとにそんな期待が高まってくる。

……あぁ、まだ私、亡霊のように「こっち側」におるな。

クリスマスのあっち側とこっち側

クリスマスと言うと、キラキラのイルミネーションの下で愛を語り合ったり、オシャレしてレストランで食事したり、アクセサリーが入った小箱を開けたり閉めたりする「あっち側」と、朝から晩までご飯も食べず立ちっぱなしで、毎日栄養ドリンク飲みながらがむしゃらに働く「こっち側」がある。
私は大学生の時、レストランでバイトを初めてからこの春にホテルの仕事を辞めるまで「こっち側」一筋20年。
1歩も「あっち側」へ足を踏み外すことなく、純血の「こっち側」を歩いてきた。

そしてある時気づいた。
なんで私はどっぷり「こっち側」やねん! と。
どこで道を誤ったのか?
思い返してみたです。

とある街場のレストランでアルバイトをしていた頃、クリスマスの時期が近づいてくると予約がじゃんじゃん入り、普段の倍の価格設定のコースがじゃんじゃん売れ、フロアは常に満席。
1日の売り上げのケタは1コあがる。
その状況にアドレナリンが噴出し、興奮した。
若い私は「あっち側」よりも「こっち側」に興奮を覚えてしまい、以来すっかり「こっち側」の住人である。
「あっち側」にはない興奮が「こっち側」にはある。(もちろん「あっち側」にある興奮は一切ないけれど、笑)

なので「あっち側」の人たちには声を大にして言いたい。
ここぞとばかりにお金を使ってください、と。
使ってなんぼでしょ?と。
今年は23日も24日も25日も平日だし?
知らんがな。

フレンチを食べなさい、フレンチを。
とびきり良いレストランで食事をしてください。
レストランは普段から高級食材を使い慣れてるお店がオススメ。
シャンパンは景気よくボトルでいっときましょ!
泊まる部屋がついてたらなお良し。
どこがいいのかわからなかったらご相談ください。
お兄さん、ええとこ紹介しまっせ。

さて「こっち側」の皆さん、今が頑張り時です。
終わらない繁忙期はない。
目が回るくらい忙しくて何がなんだかわからなくなってくる時期ですが、体調にはくれぐれも気をつけて、手洗いうがいはしっかりと。
帰ったらちゃんとお風呂につかりましょう。

どっち側を彷徨う亡霊

さて、気づけば「こっち側」目線が抜けない私ですが、それは去年までの話。今年は「あっち側」でも「こっち側」でもない、「どっち側!?」なクリスマスを迎えようとしています。

ずっとね、世の中にはあっち側とこっち側しかないと思って生きてきたのに、いざこっち側を抜けてみたらアレ!?みたいな。

こっち側を卒業したら、自動的に目の前にレッドカーペットが敷かれ「さぁさぁ、あっち側へどうぞ」と誘われるのかと思ったら一向にお迎えがくる気配もなく。

でもね、周り見てみたら結構いたわ(笑)
どっち側でもない人たち。
うんうん、どっち側でもいいよね。
平和で。
どっち側でもない人は1月中旬以降に気の置けない仲間たちとフレンチを食べましょう。
まるで戦場のような繁忙期の厨房からシェフたちが戻ってきて、ようやく元気を取り戻した頃に。

そんなこんなでもうすぐクリスマス。
どっち側を亡霊のように彷徨う私の魂はいつ成仏できるのでしょうか。

おまけ(グランメゾン東京についてもうちょい語りたい)

グランメゾン東京の料理は、テレビにありがちなフードコーディネーターの監修ではなく、本物のフレンチのシェフが監修しているところが大きなポイント。
料理そのものだけじゃなくて、食材の仕入れの仕方や、サービスの仕方、PRの仕方もリアルなレストランに近い。

例えば前回(12月15日放送回)のノロの話。
レストランが食中毒を出すと、一定期間営業停止になる。
そうなると数日間の売り上げが止まるだけでは済まされず、お客さんが離れて致命的なダメージを受ける。

だからもしレストラン内でノロの患者が発生したら、自主的に保健所に届け出て、その時の食材を全て検査に出し、徹底的に消毒をし、同時期に来店したお客様一人一人にその後の体調を伺い、保健所からのOKが出るまで自主的に臨時休業する。
リアルすぎてなんかいろいろ思い出して冷や汗出たわ。

そんなグランメゾン東京のnoteがこれまたおもろくて。
監修を担当している北品川のミシュラン三ツ星「カンテサンス」の岸田シェフのリアルコメントが盛りだくさんで、ドラマと同じくらいハマって読んでます。

いつか行きたいな~!カンテサンス!


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