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賀正 初打ち編

引き続き生粋です。

前回で無事2023年を迎えた私ですが、正月気分は終わりません。

今回はそんなお話。

私もお年玉を渡す側になってしまった。
悲しくて仕方がない。

渡すこと自体はそんなに嫌じゃない。ちびっ子が浮かれているところを見るのは好きだ。

問題は貰えなくなってしまったことだ。
サンタが来なくなった時と同じ気分になった。
あと純粋にお金が欲しい。

サンタのおじさんは私が中学校に上がると同時に急に来なくなってしまった。

急に、という表現には語弊があった。
予兆はあったのだ。5年生のとき、天体望遠鏡を頼んだにも関わらず、急須が来た。

思えばあれが赤玉だったのだろう。
そのときお茶にハマっていたのは父親だった。

私は大人になんかなりたくない。
サンタは毎年来てほしいし、お年玉だって欲しい。働きたくもない。

そんなことを言ったって生きてるだけで大人にはなってしまうので、せめて権利を享受しようと思って打ったり呑んだりしている。

しかし悲しいかな。
金がないとそれすらもできない。

お酒も飲めない、サンタもこない。
一体何のために生きてるんだ。

きっとこういう大学生が自分探しの旅とかに出るんだろうなと思った。サンタと酒以外の娯楽を探しに。

しかし私はここで諦めるようなタマじゃない。
ここで諦めるようなやつは、旅に出たってホームシックで泣いて帰るだろう。

無ければ無いなりに、知恵を使うしかない。

サボテンをやや上回るIQを誇る私の脳みそは、一つの正解を導き出した。

御神酒があるじゃないか。

初詣に行った神社に御神酒がないことはリサーチ済みだ。狙うはもう一ヶ所の神社。

なんせ金がないので、別の神社で拾った小銭をお賽銭として投げ入れた。善行と悪行が打ち消しあって、最終的には氏神バトルになると思う。

この神社にはちゃんと御神酒が置いてあった。
しかも甘酒じゃなく美味い日本酒だった。

日本酒にしては大きいカップを飲み干すと、神主だか何だかのおじいさんからもう一杯勧められた。

勧められなくたって呑むつもりだ。ありがたくいただく。

4杯目も行けるかどうか微妙なラインだったが、自分を常識人だと思っているので辞めておいた。あとつまみがないとキツい。

コンビニで駄菓子を買ったあと、二軒目に行くことにした。この時点で顔は真っ赤だ。

酒に弱いほうでもないと思うが、赤くなるのはめちゃくちゃ早い。かわいいと評判だ。
見たい人は飲み屋に連れて行ってください。

2軒目は一駅歩いたところにある神社だ。
ここもしっかり御神酒を置いていた。相対的にのど飴神社の株が下がっていく。

ここでは初詣をしないと御神酒が貰えない仕様になっていたので、仕方なく2回並んだ。

7回目の初詣を終え、5杯の御神酒を飲んだ私はもはや神だった。

神は金がないので自宅に降臨した。

翌日、母は私に近隣のパチンコ屋と昨今の情勢について尋ねてきた。

パチンコ大辞典は全ての問いに完璧に答えた。
使えるやつだと思われれば、初打ちに連れて行ってもらえると思ったのだ。

「息子の方がパチンコに詳しいなんて嫌だ。」

とパチンコOGの母は吐き捨てて、初打ちに出かけて行った。これが世代交代というやつか。

その際母は私に「パチンコ代にできないように」と言って二千円札をくれた。お年玉だろう。

私はこのセリフを完全にフリだと思った。

この日打ったのは1ぱちの金富士。

これ以上初打ちにふさわしい台はない。
新年だってのにエヴァとかを打つやつはバカだ。えとたまと金富士以外打つな。

音沙汰なく流れるさかなを眺めていると、後頭部にえらい衝撃が走った。

当たったか!?と思ったのでとりあえず脳汁を出しておいたが、どうも違うらしい。

振り返ると不動明王みたいなおばさんが立っていた。母だった。

しばらく目を合わせていたが、母は去っていった。どうやらフリじゃなかったらしい。

ほんとに怒ってる時の痛さだった。
フィーバー家庭崩壊だったら80%くらいのリーチだろう。玄関のドアが開かなければ当たりだ。そんな台ないけど。

ヘソに入らない銀の球を見ながらそんなことを考えていた。

あとは母親が勝って帰ることを祈るばかりだ。

帰ってきた母はご機嫌だった。それもそのはず、私は帰り際に母の台のフリッカーが上がっているのを確認している。

ありがとうギンギラパラダイス。

怒られるどころか小遣いまでもらった。
このようにパチンコは家庭の平和にも貢献しているのである。

翌日、私はパチンコ屋ではなくドトールにいた。賀正①の執筆のためだ。

三が日だってのに2日連続でパチンコを打つようなやつはもはや人ではない。

呑気な時間を過ごしていると一件のラインが入った。

天啓

虫の知らせだ。

私はすぐさまパチンコ屋へ向かった。1人で。
なぜなら私は人ではない。神だ。

2000円使ったところでサハクィエル大先生を呼び出すことに成功した。

信頼度はサハクィエルだけで65%。
四捨五入すれば100%の熱いリーチだ。

神は当たりを掴み取り、2万発出した。
当然だ。神なんだから。

語りたいことはたくさんある。ST残り4回転で沸いた赤保留、かと思えば止まらないインパクトフラッシュ、弱いリーチで突如震えるレバー…

こうして私の初打ちは8人の諭吉を迎える結果となった。

金富士打ってたじゃないかとか言う人はもう一度義務教育を受け直してきてほしい。

2000円じゃ台と同じ土俵に上がれないことくらいわかるだろ。2万用意して初めてパチンコと呼べるようになるんだ。人間風情が。

気を良くした神は、下界の人間に施しをすることにした。

友人の弟や、バイト中の後輩なんかにお年玉を配って回った。回ったと言うと語弊がある。
その2人だけだ。他に手近な人間がいなかった。

私の中のジンクスで、当たった金を人に使うと次も当たると言うのがある。

そりゃそうだろう。パチンコの神様だってそういう人間に当たりをあげたいに決まっている。

あとはマネーロンダリング的な意味合いもある。と言っても別に怪しいことをしているわけではない。

泡銭は身につかないと言うように、明日の私がこの金を有意義に使うとは到底思えない。

しかしこの金は人に渡すことによって、博打で勝った泡銭から、人に貰った泡銭に昇格する。

後者の方が若干ありがたみがあるだろう。しかも綺麗な金になった。
これを私はマネーロンダリングと呼んでいる。

同じ理屈で地震のあったトンガに合計8万募金したこともある。このあとめっちゃ負けたのでこれに関してはちょっと後悔している。やりすぎた。

とはいえ今回のは後悔するほど入れてない。
私のオカルトに付き合わされているだけなのでもらった人はパチンコ代にでもしてほしい。
要望があれば付き合って教えることもできる。

初日の出から初打ちまで、私の正月も無事に終わった。

無駄に分割したので賀正②が尻すぼみになってしまったことだけが正月唯一の後悔である。

そんな私ですが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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